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End  作者: 平光翠
第二階層 アザピース研究所
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第28話 チートの真価

久しぶりの補足のコーナー


火魔法や水魔法と言った属性特化魔法スキルは、魔法を1つの属性しか使わずに極める必要があります。

例:『火魔法』を取得するためには、【ウォーター】や、【ストーム】を覚えてはダメ!

なお、クエイフは例外です。

盗賊共を片付け、いい準備運動になったので、二階層へ向かう。

「あ、レイ。ちょっとこっち来い」

「……?もしかして抱きしめてくれるの?」


残念なことにヘタレボーイの俺は抱きしめてはやれない。それはイヴに頼め。いや、さっきやってたか…。


「抱きしめない。けど、代わりに頭撫でてやるよ。怖かったろ?」

「…うん。」

レイの美しい深紅の髪に触れると、猫のようでもあり、犬とも狐とも言えないような、狸耳の手触りが指をくすぐる。


なんか、意外とクセになってくるな。柔らかい部分と硬い部分が絶妙なバランスであって、女の子特有の柔らかさと、耳という重要な器官を守るための硬さが、クリクリとした感触で…ずっと触ってたくなる。それに、レイの緋色の髪が指を擦ってきて、どっちが撫でてるのかわかんなくなる。


フニフニフニフニフニフニフニフニフニ……

コリコリコリコリコリコリコリコリコリ……

グニグニグニグニグニグニ……


「クエイフ、手つきがアレ…」

「アレってなんだよ、ヘーパイストスかよ。」

「手つきがえっちぃ…」


その日の塔では、「すんませんでしたぁ!」という、男の絶叫が響いたという。


「…何も土下座までしなくても、プライドとかないの?」

レイから辛辣な一言をいわれるも、今の俺はないも言い返すことが出来ない。


「いや、ホントに申し訳ない。セクハラとかそういうつもりは全くなかったといえば嘘になるけど、そんなに無かったです。」

「イヴ姉のおっぱいと、私の耳、どっち触りたい?」

「レイさんの耳です!最高でした!」


彼女が満足気に、イヴの方をチラ見し始めたので、俺もいい加減立ち上がる。


「ッ!スライム………6…?」

「多いな…」


俺とレイは、舌打ちをして武器を構える。最も俺は篭手を装備したままだったので、構える必要も無いのだが…。

イヴは、少し眉をひそめたあと、流れるような仕草で杖を構えた。


「凍らせますか?」

「そうだな、その方が早いだろ。」


スライムがビチャリビチャリと、気味の悪い水音を立てながら接近する。

二階層に入ってすぐのところでの交戦ともなれば、それなりに緊張感の走るものであった。


「квÅッ!」

「【フリーズ】ッ!」


彼女のチートによるものか、普通よりも早い速度で新たな魔法を覚えているらしく、その威力は絶大だった。

「фтмлкэ?нтулщрнфюфймздвеЮ!」

「何言ってんのか、分かんねぇな!【プロヴィケーションスマッシュ】ッ!」


相手を挑発し、引き付け盾役になるガーディアンのスキル、『盾術』と、その素早さで相手を翻弄し、仲間に攻撃が向かわないようにするモンクの『拳術』スキル、この二つを取得し、一定のレベルまで上げると、新たなジョブ『武闘守護者』に就くことが出来るようになる。


あいにく、俺はまだ条件を満たしていないので、『武闘守護者』のジョブを解放していないが、さっき使ったのは、その前段階の技である。


「クエイフ、来てる!」


イヴの魔法は、運悪く大したダメージになることがなかったようで、先制攻撃こそしたものの、囲まれてしまい劣勢であった。

「【дв・юмулщ】」


……?まて、今の叫び声…。ゲームでも聞いたことのあるものだ。この叫び声は、スライムの必殺技、【スラ・ストライク】と同じだ。


つまり…。

「レイ!伏せろ!」

レベルアップにより、2枠に増えた特殊インベントリを操作し、大きな盾を呼び出す。

一気にレイの元へ走ると、レイの目の前に盾が出現する。

そう、特殊インベントリのアイテムは、視界の中なら、どこにでも出現させられるのである。

〔意志を確認…能力(チート)発動。【ジョブチェンジ〈モンク→ガーディアン〉】これにより、装備条件から外れるものがあります。『獣皮の篭手(じゅうひのこて)』が、インベントリに収納されます。〕

謎の声の長い状況解説を聞き流し、目の前の少女を守るために、盾を掴み彼女をかばう。


「【衝撃吸収の盾(ショックアブソーブ)】ッ!」

ヘーパイストスが制作し命名した特別製の盾は、スライム必殺技の威力をほとんど消失させる。


スライムで作った盾で、スライムの攻撃を受けるとは、なんとも皮肉なものだが、柔らかく、衝撃を殺すことに特化した盾は、スライムの必殺技をものともせずに、俺たちの前に堂々たる姿で、佇んでいた。


「その氷は、火さえも凍てつかせる。熱は思い出す、その極寒を…。暖は思い知る、その冷たさを。震える大地に、雪が降り注ぎ、敵身が氷果てようと、降り続ける雪は、やがて大地を覆うだろう。【ブリザード】ッ!」


〔イヴの放った氷魔法は、多くのスライムを凍てつかせ、再起不能にする。運良く残った1匹も、どこかへ逃げ去ってしまった。〕


ふむ、吹雪で前が見えなかったが、謎の声が状況を教えてくれた。さらに、魔法について話していたということは、イヴは、既に中級魔法が使えるということだろう。


俺のチート、謎の声は、ゲームシステムによるアシストのようなものらしく、他の人が使ったチートに関することは、解説をしてくれない。

逆説的に、先程イヴの使った中級氷魔法【ブリザード】は、彼女が努力をして使えるようになったものであり、とても素晴らしいことであった。


「イヴ、中級魔法覚えたんだな。おめでとう!」

「イヴ姉かっこいい!『氷の魔女』みたいだった。」

よく知らんのに、そのネタ使うなや。


〔新スキルを取得しました。〕

はて?レベルも上がってないのに、何を取得したのだろう。

〔確認:新スキル『スライム』それにより、【スライム】のジョブを解放しました。〕


はい…?


「二人とも、なんか、おかしなスキルを手に入れた。使ってみるけど、一応用心しておいてくれ。」

不思議そうな顔をする彼女たちの頭を撫でて、ジョブチェンジをしてみる。

〔意志を確認…【ジョブチェンジ〈ガーディアン→スライム〉】〕


「なぁ、俺どうなってる?」


そのジョブに切り替わった瞬間、視界が少し低くなった。

恐らくスライムの形をとっているのかと思われるが、一応2人に聞いてみる。


「えと…スライムになりました。」

「……クエイフ可愛い♡」


そのまま、レイに持ち上げられ抱き抱えられる。

「わぁ…。クエイフ柔らかくておもしろーい。ねぇ…それどんな感じ…?」

あちこちをつつかれ、耳元で彼女の甘い声が囁かれる。

「クエイフ様!私にも抱きしめさせてください!」

「いや、待って状況を確認させて、ちょ…!」


名残惜しそうにしながら、レイは素直にイヴに受け渡す。

……ってやべぇ!俺が柔らかいのかイヴのが柔らかいのかわかんねぇ!つかなんかふよふよしてる!やべぇ!これすげぇ!


と一人心の中で興奮してると、レイに思い切り小突かれた。

解せぬ…。


「ふぅむ。どうやらスライムのスキルレベルを上げても、ステータスアップにしかならないな。あ、でもこれあれだ。どのジョブでも反映されるやつだ。」


そう、スキルレベルを上げると新しい技を使えるようになるだけでなく、『攻撃力+1』みたいなステータスアップがあるのだ。

例えば、『盾術2』での防御力上昇は、どのジョブでも反映されているものであるし、反面、『魔術6』の魔力上昇は、魔術スキルを必要とするジョブにしか反映されない。


そして、スライムのスキルは、どうやらレベルを上げても、ステータスが上がるだけのようだ。そのうえ、どのジョブでも反映されるらしい。


「一応、【スラ・ストライク】の上位互換はあるけど、遠いな。」

レベル80で、【メガ・ストライク】が使えるようになる。

今は20後半であることを考えると、遠すぎる。


〔取得条件:スライムの行動を全て確認する(4/4)〕

他のモンスターのスキルも取得出来ないかと、スライムのスキル取得条件を調べてみる。

〔詳細:スライムの行動その1【体当たり】〕

ふむ、された覚えがあるな。

〔その2【プルプル震える】〕

さっきはやってなかったが、最初の方でやってた気がする。

〔その3【スラ・ストライク】〕

ついさっきやったな。

〔その4【逃げる】〕

それも含めるのか…。


ついでなので、アクアスライムやクリムゾンスライムについて調べてみる。

〔アクアスライムのスキル取得条件:『スライム8』『水魔法8』orアクアスライムの行動を全て確認する。(5/5)〕

クリムゾンスライムも同じであった。(水魔法ではなく火魔法だったが…)


さて、次回はもう少し詳しく調べるとしよう。


……To be continued





次回予告


イヴです。

えっと、クエイフ様は魔法に関する本を読むだけで、スキルが取得出来るんですね…。

本当にチートですねぇ…。


次回

魔王の襲撃!


…ヒヒッ!ボクのこと覚えてるかな〜?

レイ、その悪趣味なモノマネはやめておきなさい。

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