第10話 奴隷のイヴとレイ
今回はちょっと長いです。
それと、前書きでこの作品の補足なんかをします。多分次回からかな?
怪しげな男─奴隷商はいやらしい笑顔を浮かべて、
「お客さん、見たところ冒険者か探索者じゃないですか?どうです?鬱憤晴らしに奴隷を買ってみては…?」
ふむ、どちらかといえば、魔法が使えたり、戦闘ができる奴隷の方が嬉しいのだが…。
「あー、済まないが、困ってるといえば困っているが、そっちに困っている訳では無いんだ。少し道に迷ったんだが、最寄りの武器屋はどこか分かるか?」
「……道を教えるのは構いませんが、商売人にタダで道を教えろとおっしゃるのですか?」
たしかに少し図々しかったかもしれない。小銭をいくらか出しながら、それを商人に向ける。
「すまん、今手持ちが大きいのしかなくてな。小銭はこれしかなかった。」
100Gもあれば子供の駄賃より少し多いくらいで十分だろう。
「いえいえ、チップをよこせというわけではありませんよ。ただちょっと商品を見てもらいたいのです。そして、気に入ったのがあれば、購入頂きたいなと思いまして…。もちろん、お気に召すようなものが無ければ無理にとは言いません。」
なんとなくこの男の前から逃げ出したくなってしまうのは、檻の中の女性達を商品だとか、物というような言い方が気に食わないからだろう。
「はぁ、見るだけだぞ?」
奴隷商の薄気味悪い笑顔と、恐怖的な殺意に当てられ、つい了承してしまう。
奴隷商の店そのものは、扱うものとは似つかわしくない小綺麗な外観でこそあれど、その裏側は酷く劣悪な環境で、塔の中かと思うほど薄暗く薄気味悪かった。
まぁ、今俺がいるのは地下なので、そのせいなのかもしれないが。
上の綺麗な女性達は俺の所持金では到底買えないような、いわゆる、客を集めるための招き猫の様なものらしく、最初から見せてもらえなかった。
「ここは地下ではありますが、まだ仕込みの済んでいないような性奴隷でして…。専門商売人の私としては、そんなものをお客様に出すのは心苦しいですが、戦闘に役に立つとなると、まだ何も覚えさせてないような奴の方が使い勝手もよろしいでしょう?」
奴隷商の聞きたくもない胸糞の悪くなるようなくだらない奴隷自慢を聞き流しつつ、戦闘が出来そうな、または、俺が塔に入っている間留守を任せられそうな家事のできる奴隷を探してみる。
30分ほど店の中を見るが、めぼしいものは見つからなかった。
「ふーむ、やはり当店では戦闘用や家事雑務用の奴隷は取り扱ってませんからねぇ。いても、それなりの値段になってしまいますし……。呪い子でもよければお連れしますが…?」
ふむ、この店に来てから、存在こそゲームで言われているが、実際のキャラクターがいないというパターンが多いな。
ゲームでも、奴隷そのものは持ってるやつは持ってたし、それを取り扱うやつもまた然りだ。ストーリーには、あまり関わらなかったがな。
呪い子というのは、たしか…2作目か3作目に出てきた気がする。それも、ある冒険者のセリフでチラリとだけ。
たしか、『呪い子みてぇに気持ちわりぃ目をしてやがる』みたいなセリフだったと思う。
という事は呪い子はゾンビのような目をしているのだろうか?
「呪い子っては、具体的にどんな奴らなんだ?」
「あー、あまり良く知らないという方多いんですよねぇ。ご説明致します。
まず、呪い子は、『チート』と呼ばれる悪魔の力を持っています。そして大抵がハーフです。もちろんクォーターのやつもいます。しかし、混合種とは呼べないほど血筋が薄いのです。そして、多くの場合、親の種族はあまり関係ありません。うちにいる呪い子は、人工的に作られているので、お安いですよ?チートも不明ですし…。」
「そいつはどんな奴なんだ?」
どうやら俺もここの空気に当てられたようで、口調が荒々しくなっている。
「1人は、『魔力』と『人間の女』を混ぜたものです。魔力が人間の女を孕ませたらしいですよ?産まれてすぐに、彼女を作った研究所が潰れてしまい、奴隷として転々としてきたらしいですね。こいつのチートは魔法に関するものですんで、お客様にはピッタリかと…」
「もう1人は、『魔物と獣のハーフ』と、『人獣と魔物のハーフ』です。チートがなんだかは、何度鑑定しても分かりません。」
なんだが回りくどい言い方だが、魔法生命体と、もう1人は魔物と獣のハーフにほんの少しだけ人間らしさを混ぜた奴がいるということか。二人いるとは言っていなかった気もするが、まぁそこは気にしないでおこう。
「二人とも買うとしたら幾らぐらいだ?」
奴隷商は黙って指をパーに開いた。
……買えないな。
「はぁ、…とりあえず会わせてくれ。使えそうな方を買う。」
やはり一刻も早くここから出るべきだろう。さっきからきつい口調になっている。
「こいつが、魔法系のチート持ちの呪い子『イヴ』です。」
ふむ、くすんだ金髪だが、洗えば綺麗になるだろう。それなりに整った顔立ちで、スタイルもまぁ、そこそこだ。
奴隷商の話では、チートを上手く使って、そういうことを逃れたらしいが、戦闘させるとなるとむしろ頼もしいぐらいだ。
「いくらだ?」
「1万Gです。」
ぎりぎり変えなくもないな。まぁ、表の招き猫共の百分の一と考えれば、安いのか。
「お願いです。私ではなく隣のレイを…お願いです。罰なら受けますから!どうか、レイに食事を!」
あげてないのか?という目で見ると、慌てて首をふり、
「そいつはえらく大食漢でして、いくら私が少食の方といえど、その倍ぐらいは食べるんですよ。」
と、奴隷商は叫ぶ。まるで自分は悪くないとでも言わんばかりだ。
奴隷商なんてやってる時点でそこそこだあくどい奴だろう?その奴隷を買おうとしている俺も大概だが…。
「二人とも買うんでしたら、5000Gでお売りしますよ?」
「まて、なぜ安くなっている?」
意味ありげに微笑んだあと、奴隷商はキメ顔で
「呪い子ですから」
と呟いた。
……To be continued
次回予告
イヴです。
前の話では『イブ』と紹介されましたがあれは間違いです。でも、話のネタになるからと言ってそのままにされてしまいました…。
…あのご主人様に買われればレイは助かるのでしょうか?レイを助けてくれるならこの身を捧げることも厭いません!
次回!レイの呪い
私には魅力がないのでしょうか…?




