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アイテムボックスのおはなし


 ボスの死体とアイテムボックスを収納してボス部屋を後にする。

 今度は入り口ではなく、ちゃんと出口から出る。

 そのまま階段を下りると「安全地帯」に到着したが、ここの安全地帯には他の階層とは違う所があった。

 部屋の真ん中に柵で区切られたスペースがあり、その中に光る魔法陣が浮き上がっている。

 エリアポータルだ。

 エリアポータルとはダンジョンの入り口と、ボス部屋の次の安全地帯に存在しているいわゆる転移装置で、同じダンジョン内なら一度通過したエリアポータルの間を一瞬で移動できる。

 ダンジョンに入る際に入り口のエリアポータルは通過してきているので、これを使えば入り口まで戻れるし、入り口からここまで一瞬で来ることができる。

 つまり一度でもボスを倒せば、それまでの5階層分をスキップして、次の階層からスタートすることができるようになっている


「本当にお疲れ様でした。それではこちらへどうぞ、」

  

 千代さんの案内で柵の中に入り魔法陣の上に立つ。

 するとスキルと時と同じように脳裏に使い方が浮かんできた。

 頭で念じれば入り口まで飛べるようだ。

 

「ん?」


 隣にいた小春の姿が無い。


「小春なら真っ先に入り口まで飛ばれましたよ」


 なんですとっ!

 相変わらず行動が早い、もう少し慎重にしてもいいと思うんだけどなぁ……

 とりあえず私も追いかけよう。


 え~っと~、入り口まで飛んで?


「うわっ!」


 一瞬の浮遊感があり、次の瞬間には私はダンジョンの入り口に立っていた。

 隣には先に飛んできた小春がいる。

 と、思ったら消えた。

 そしてまた現れる。


「綾姉、これすごいっ!」


 どうやら、エリアポータル間での転移が気に入ったみたいで何往復もしている。

 少し遅れて千代さんも転移して来た。


「それでは受付で報告をして、()()()()()()()()を開けるといたしましょう」


 協会の迷宮探索隊は獲得したアイテムボックスはその場で開けずに、ボックスごと協会へ提出するルールになっている。これは協会設立時にその場で開けて、貴重なアイテムが出た時に、それらを巡っての争いや横領が起きた為に作られたルールだ。


 とは言っても、武器が壊れたりポーションが切れたりして、身を守るためにその場で開封して使用したとしても、きちんと報告すれば問題は無い。

 その上パーティごとに空間収納のスキルに似た能力を持つ「魔法の袋」が貸与されていて、さらに申請すれば事前にポーションなども格安で購入できるため、その場でアイテムボックスを開ける必要性は少なくなっている。


 横領に関しては、今ではダンジョンの出入りの際のチェック体制が整っている上に、所有が制限されているアイテム以外はアイテムごとに支払われる報酬で買い戻すことができるので、そういった不正を行う職員は少ない。

 協会設立時に決められたルールが改定されずに今まで残っているだけみたいだ。

 私達も協会の職員としてダンジョンに潜っているので、今回獲得したアイテムボックスは開けずにそのまま回収している。


「お疲れ様でした。死傷者や異常があれば先に報告をお願いします」

「「「大丈夫です。ありません」」」


 仮面を外して受付の人にダンジョンから戻った報告をする。

 被っている感覚がまったくしないから、つい忘れそうになる。


「では、あちらのスペースへダンジョン内で獲得した素材やアイテムを全て出して下さい」


 小春が「魔法の袋」に手を入れて、()()()()()()()()()()()()()()()()()、【無限収納】からモンスターの素材とアイテムボックスを出していく。

 受付の人にも能力のことのは伝わっているはずだけど、周りの目もあるので協会から貸与されている「魔法の袋」を利用して小春の【無限収納】のスキルを隠すつもりだ。

 受付の横に用意された専用のスペースに今回の成果が並べられていく。


「ありがとうございます。ではこちらが鑑定している間に着替えと、この書類へ記入をお願いします。記入が終わりましたらあちらの受付へお願いします」


 シャワールームでシャワーを浴びて、持ってきていた私服に着替える。

 戦闘服やボディーアーマーは目立った傷も無いので、小春に収納してもらい、後で汚れと別々に収納から出してもらうことにする。

 

「千代さんって普段着は和服じゃないんですね」


 てっきり千代さんは着替えても和服だと思い込んでいたけど、ロッカーから取り出したのは普通の洋服だった。


「ふふふ、ありがとうございます。和服の方が着慣れていますが、こういった服も嫌いではありませんよ」


 そして、今まで気づかなかったけど大きい。

 なにがとは言わないが私より明らかに大きい。


 モミモミ


「綾姉より大きい」


 小春が千代さんのを揉み始めた。

 こらっ! 知らない人のを揉んじゃ駄目って教え……てはいないけど、やめなさい。

 

「あの、小春……何をなさっているのですか?」

「……スキンシップ?」


 そんなスキンシップは存在しない。


「なるほど、()()()()()()ですか」


 もみもみ


 千代さんが私のを揉み始めた。


「あの、千代さん……何をしてるんですか?」

()()()()()()()()


 そうですか……。


 ちなみに小春は揉める大きさじゃなかった。





  ☆    ☆    ☆




 

「ほっぺ痛い」

「綾乃はいけずです」


 2人のほっぺたをむっにぃぃぃ~ってやった後、私達は着替えて、受付でもらった書類を記入している。

 内容は現在のレベルやスキルで、レベルアップして更新したところを記入していく。私と小春のスキルのところには()()という判子が押してあった。

 

「それでは「真偽判定」を行いますのでこの杖を持って下さい」


 受付の人から丸い石が先端に付いた杖を受け取る。

 これは真実の杖と呼ばれているダンジョン産のアイテムで、普段は白く透明な先端の石が、所有者が本当のことを話すと青く、嘘を話すと赤く、判別不能だと黄色く光る。

 日本のとあるダンジョンでのみドロップするアイテムで、探索者協会以外では警察や裁判所など決められた所でしか使用が許可されていない。一般人が所有することができない所有規制アイテムの一種だ。


「これから質問を行います。こちらからの指示が無い限りは、質問には()()()()()で答えてください。」

「はい」


「ダンジョン内で獲得したアイテムは全て提出しましたか?」

「はい」


 杖は青く光った。


「ダンジョンで他の人間に対する攻撃を行いましたか?」

「いいえ」


 杖は青く光った。

 先ほどのほっぺたをむっにぃぃぃ~はダンジョン外にカウントされるみたいだ。


「ダンジョンでその他の犯罪行為を行いましたか?」

「いいえ」


 杖は青く光った。


「先ほど提出した書類は真実ですか?」

「はい」


 杖は青く光った。


「ダンジョンで――」


 その後、幾つかの質問に答え、小春と千代さんにも同様の質問がされた。

 

「それではアイテムボックスを開封します。欲しいものがあればその分を報酬から引いてお渡しできますが、所有制限されている物はその対象外となり、全て協会で回収させてもらうことになります」

「わかりましたお願いします」


 受付の人達がアイテムボックスを開封して中身を取り出していく。

 今回の探索で私達が獲得したアイテムボックスは合計7個、その内約は――


 下級ポーション ×3本

 状態異常用の下級ポーション ×1本

 5回だけ火の玉を飛ばすことができる腕輪 ×1個

 無限にインクが補充される羽ペン ×1個

 【魔術装甲】のスキルシード ×1個


 だった。

 アイテムボックスの中身が全部下級ポーションだった、なんてこともよく起こるダンジョン探索で、これは当たりの部類だ。


 【魔術装甲】は魔力でできた鎧を着ることができるスキルだ。

 ゲームと違い、ちょっとした攻撃が致命傷に繋がりかねないダンジョン探索において、防御スキルはかなり重要視されている。【魔術装甲】は硬度はそれなりだけど防具召喚系のスキルと違って重量が無いから、動きを阻害しないと評価の高いスキルだ。


 さて、どうしよう……。




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