表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/21

アメを貰ったおはなし



 川内千代さんの第一印象は「ミスマッチ」だ。

 確かに協会ではダンジョンに入る際の戦闘服にはある程度の自由が認められているけど、和服の大振袖に協会支給のボディーアーマーとヘッドギアを付けているから違和感がものすごい。

 艶やかな黒髪や、透き通るほどの白い肌、そして均整の取れた身体付き、間違いなく美人のカテゴリに入るのに、この違和感のせいで台無しになっている。


「えっ……と、よ、よろしくお願いします。西風田綾乃です」

「東雲小春です。よろしくお願いします」


 いきなり初対面で末永くと言われたので頭が追いつかなかったけど、会長さん曰く()()()()()()()()らしいので、一旦忘れてこちらも挨拶を返すことにした。 


「あの、川内さんが今日私達を案内してくれる人ですか」

「その通りです。探索者協会より、お二人に迷宮内を案内するよう申し付かりました」

「さっきの末永くって言うのは……。

「ふふふ、それでは準備をして早速迷宮へに参るといたしましょう」


 はぐらかされてしまった。

 とても素敵な笑顔だが、聞き出せる気がしないので、諦めてダンジョンに入る準備をする。


 小春の収納から武器を出してもらおうと思って思いとどまる。

 川内さんって私達のこと知っているのかな?

 

「お二人の()()()の事なら伺っております。他言厳禁と申し付かっております故ご心配なく」

「そうでしたか。小春お願い」

「はい、綾姉」


 小春が私の小太刀二振りを出してくれたので、戦闘服のベルトに鞘を固定する。

 使い慣れた武器の重さを感じて、気持ちが切り替わる。

 小春も同じようだ。

 先ほどまでの好奇心が鳴りを潜め、獲物を狩る目になっている。


 川内さんはウンウンと頷くと、近づいてきて


「すばらしきやる気ですね。良き事です。この飴ちゃんを差し上げましょう」


 手から飴を出した。


 えっ???


 どうやって出したの?手品?

 スキルだとすれば【空間収納】?

 いや、魔法陣が現れなかったと言う事は、まさか小春と同じ――


「綾姉、この飴すっごくおいしい」


 私が考えている間に、小春はもう食べちゃってた。

 知らない人から食べ物をもらったらダメって教えたでしょうっ!


「ふふふ、これは(わたくし)()()()仙糖生成(せんとうせいせい)】で作られた飴です。舐めると短時間ですが能力を向上します故、重宝しております」


 スキルだったんだ。

 これもはじめて聞くスキルだ。

 どのくらい能力が向上するのか気になったので私も舐てみる。

 

 コロコロ

 

 うん。おいしい。

 市販品より多くの糖蜜が出るから舐めるのが楽しい。

 私のはりんご味かな。

 

「おっ!?」


 舐めてると身体が熱くなってきた。

 身体も軽く感じる。これが能力向上の効果なんだろう。


「ふふふ、こちらでは迷惑が掛かる故、迷宮で試すといたしましょう。でもその前にこちらを」


 そう言うと、川内さんは袖の中から箱を取り出した。


「なんですかこれ?」

「お面?」


 中にはキツネとネコのお面が入っていた。


「この仮面は迷宮から獲得された特殊な()()()()です。装着しても視界を遮らず、違和感も感じないという力があります故、できるだけお二人の正体を知る者を少なくしようと思い用意させていただきました」


 そう言いながら川内さんもお面を被る。鬼のお面だ。

 確かに、会長さんが手配した一部の人にはもう知られているけど、それ以外の人にはできるだけ隠した方がいいだろうしね。


「それでは、いざ、出陣です」

「わかりました」

「おーっ」


 そのまま、ダンジョンの中に入っていく川内さんを私たちも追いかける。

 私がキツネ、小春がネコを被って、川内さんに付いて行くとそこは洞窟だった。


「一階層は洞窟です。蝙蝠と犬の物の怪が出てきますが、お二人の敵では無いでしょう。魔石も西風田さんは実験ですでに食していると伺っているので、早々に下の階へと向かおうと思います」


「わかりました」

「うん」


 そう、すでに私はこの階層のモンスターの魔石を食べて、スキルをラーニングしている。

 協会で【魔石喰い】のスキルを調べる際に、「倒していないモンスターの魔石からラーニングできるのか」と言う実験で、職員がこのダンジョンで倒した魔石を食べたからだ。

 結果は、「倒してから一時間以内なら、他人が倒した魔石からでもラーニングできる」だった。

 時間が経った魔石は、味が薄くなってスキルを得られなかった。



 スキルは蝙蝠からは『吸血』を手に入れた。

 その名のとおり血を吸うスキルで、吸うと少しの間パワーアップするらしいが、正直に言って人の血を吸いたいとは思えない。

 それと気になるのが名前だ。てっきり『蝙蝠の吸血術』や『吸血蝙蝠の尖歯』みたいに、『○○の●●』で表されるスキル名になるとと思っていたから、予想が外れてしまった。


 そして、犬からはスキルを得られなかった。

 実際には、『灰狼の牙』のスキルが『灰狼の牙+』になっていたので、上位スキルに統合されたのだと思う。

 じゃあどうして、『子鬼の角』と『突撃兎の角』の角系のスキルは一つに統合されないのかな?

 実験に協力してくれた人も、明確にはわからないって言ってたし……


「二階層に到着しました。こちらは草原になっており、()()()()と毒蛇が出てきます。草が高いので毒蛇の奇襲に注意してください」

 

 私も小春もレベルが5あるから一階層じゃ苦戦のしようが無い。

 川内さんに案内されながら特に苦労せずに、下の階への階段に到着した。

 

 さあ、ここからが本番だ。






ステータス


川内千代(せんだいちよ)

種族 :【人間】

レベル:【[未判明]】

スキル:【仙糖生成】

    【[未判明]】

    【[未判明]】





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ