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エルフのお姉さんのおはなし


 「綾姉、朝だよ起きて」


 「綾姉ぇ、朝だよ起きて~」


 「あ~や~ね~え~、あ~さ~――」



「おはよう、小春」



 小春の声で目が覚める。



 ……変な夢を見た。


 ダンジョンに飲み込まれて何とか生還できた夢だ。


 ……。


「ステータス」


 ステータスが見れた。


 【魔石喰い】の項目を意識すると、『豚鬼の召喚剣』を始めとしたスキルも揃っている。


 夢じゃなくて、現実だった。



 昨日のことを思い出す。



 あの後、救急車で小春の家が経営する東雲病院に連れて行かれた私達は、小春のお父さんの東雲龍盛(しののめりゅうせい)さんによって病院のVIPルームに入れられた。

 本来は偉い人が入院するときに使う病室のため、盗撮や盗聴対策が優れているらしい。

 

 そこで私達はダンジョンで起きた事や、手に入れたスキルについてお父さん達に相談した。

 やはり【魔石喰い】も【無限収納】も今まで未発見のスキルだったらしく、二人ともすごく驚いていた。

 そして、これからどうするかの話し合いをしようとした時に、小春が限界を迎えて眠ってしまったので、一旦解散し明日また話し合う事にしたんだった。


 時計を見る。

 どうやら半日くらい寝てしまったようだ。


「小春、お父さん達は?」

「隣の部屋で話し合ってる。私達はご飯食べてからでいいって」


 そう言うと、部屋の中のテーブル目をやる。

 朝食が用意してあった。

 昨日、寝る前に聞かれたメニューだ。

 私の席にはトースト、目玉焼き、ベーコン、サラダ、スープのモーニングプレートとデザートのヨーグルト。

 小春の席には親子丼、鶏天うどん、タルタル南蛮、チキンサラダが全部大盛りで置かれている。今日の小春は鶏肉の気分らしい。

 これから難しい話し合いをしなきゃいけないし、しっかり食べて気合入れよう。

 



  ☆    ☆    ☆




「綾乃ちゃん、改めてお礼を言わせてくれ。小春を守ってくれて本当にありがとう」

「あ、頭を上げてくださいっ! 私だって小春がいなかったらたぶん帰ってこれなかったし、」


 食事の後、お父さん達を呼んで昨日の話し合いを再開した。

 早速小春のお父さんに何度目か分からないお礼を言われた。隣では私のお父さんも似たような事をしている。それだけ小春の事が大切だという事なんだろうけど、大人の男の人に頭を下げられるのは慣れていないのでどう反応したらいいのか分からなくなる。

 話し合いのメンバーは私と小春、お父さん、小春のお父さん、それと帽子を被った見知らぬお姉さんが一人。

 えっ?この人誰?

 外見は大学生くらいに見える、落ち着いた感じの女性だ。お父さん達がここに呼ぶってことは、今回の事に関係がある人なんだよね。お父さんの部下とか、同僚の人かな?

 

「あの、この人は?」

「ああ、この人は俺の上司に当たる人で――」


 お父さんの言葉を遮るようにお姉さんが話し出した。


「私は日本探索者協会の会長をしている久和谷暁奈(くわたにあきな)と申します。西風田綾乃さん、東雲小春さん、よろしくお願いしますね」


「えっ?!」


 日本探索者協会の会長?

 お父さんの上司?

 日本の探索者で一番偉い人?


 お父さんの顔を見る。

 コクンと頷いた。

 

「本当だ。この人は俺が所属する日本探索者協会の会長だ。外見は()()()()()で若く見えるが、こう見えて俺より年上になる。今回は俺達だけで判断できる案件じゃなかったから無理を言って来て頂いたんだ」

「そ、そうだったんですか。すいませんでした。それと、わざわざ来ていただいてありがとうございます」

「いいんですよ。若く見られるのには慣れていますから」


 そう言って久和谷さんが頭の帽子を脱ぐと、そこには人と比べると長く尖った耳が存在していた。

 私はこの特徴を知っている。そしてさっきのお父さんの「とある事情でで若く見える」と言ったセリフから考えると……。


「エルフ……」

「はい、その通り。私はエルフの『転生者』です。」


 『転生者』それはダンジョンの中に低確率で生成される『転生の間』で、エルフやドワーフ、獣人などの人間とは別の種族に転生した人の事を言う。

 『転生の間』は一度使うとなくなる上、スキルシードと違って持ち帰る事ができないから、転生している探索者は全体で見ても1%を大きく下回る。私も『転生者』はテレビでしか見た事がない。


「ちなみにレベルは36で、スキルは【雷魔法】、【魔杖召喚】、【空間収納】、そして【魔断装衣(まだんそうい)】です」

「会長っ!!そのスキルのことは――」

「私はもうお二人の事情を知っていますが、あくまでも他人です。信用してもらうためにはこちらも隠し事は無しで行こうと思いまして」

 

 いきなり久和谷さんが自分のスキルを話しだした。

 基本的に自分のスキルを他人に秘匿する探索者は少ない。探索者はスキルを獲得した際に、詳細を協会に報告する義務がある上、どの道ダンジョンで使用することになるので隠し切れないからだ。

 それでも希少なスキルを持っている場合、面倒ごとを避けるためにスキルを隠す探索者もいる。


 今回はお父さんの反応からすると後者だったんだろう。

 私もネットや雑誌で色んなスキルを見てきたが、【魔断装衣】なんて名前のスキル初めて聞いた。所持しているのが探索者協会の会長で、しかも隠しておかないといけないという事を考えると、それだけ強力なスキルなんだと予想できてしまう。


「【魔断装衣】は魔法に対する高い抵抗を持った防具を生み出すスキルです」


 なるほど、魔法を使ってくるモンスターは多くないけど、魔法系のスキルは人気だから取得している探索者は多い。

 どちらかと言うと「対モンスター」ではなく「対探索者」に分類できるスキルだから秘密だったんだろう。


「そしてダンジョン内でグレムリンの干渉を防ぎ、重火器や機器を使用できる唯一のスキルです」



 ……。



 どうしよう想定の範囲外だ。





久和谷暁奈くわたにあきな

種族 :【エルフ】

レベル:【 36】

スキル:【雷魔法】

    【魔杖召喚】

    【空間収納】

    【魔断装衣】

※日本探索者協会会長



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