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ただいまのおはなし



「それで、親父言いたい事はあるか?」

「……すまなかった」

「すまなかったじゃねぇっ! 親父が封鎖を無理やり突破してダンジョンに突入したせいで、地上は大混乱なんだからなっ!」

「……綾乃達が心配だった」

「気持ちはわかるが、止めようとした奴等、全員返り討ちにするのはやりすぎだ。」

「……怪我はさせてない」

「そういう問題じゃなくてだな――」


 ただ今お父さんによるおじいちゃんへのお説教中。

 私達を助けるためにおじいちゃんは、警備していた人達を気絶させて無理やりダンジョンに入ってきたらしい。日本でもトップクラスの探索者が暴走した事で、色んな人に迷惑が掛かっているそうだ。

 すでに『従魔融合』を解いてるので、ヤマトも一緒にお説教中を受けている。オーガが正座して(´・ω・`)(こんな) 顔で反省している姿は言葉にし辛い物がある。

 

 そのまま長時間のお説教も覚悟してたけど、一緒に来た隊員の人がお父さんを諭してくれたおかげで、お説教は一旦保留して地上を目指す事になった。

 

「ねぇ、お父さん。後で誰にも知られたくない話があるから、出来れば小春のお父さんも一緒に」

「……わかった」


 途中、隙を見て小声でお父さんに話しかけると、何かを察したのか真剣な顔で頷いてくれた。

 スキルの事とかを相談したいけど、周りにいる隊員の人達に聞かれるリスクは犯したくない。

 この場は誤魔化して、後で相談しよう。


 ダンジョン内では大勢が一箇所に集まっていると、周囲にモンスターが湧き出してくるが、このレベルなら何匹来ようと何の問題もなくお父さん達に殲滅されていた。

 途中何個かアイテムボックスが出て、お父さんが『空間収納』にしまうのを見たけど、やっぱり小春の『無限収納』とは別物だった。


 休憩中におそらくお父さんの部下と思われる隊員の人達から、どうやって生き残ったのか聞かれたけど、小春と口裏を合わせて誤魔化した。


「私と小春は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なので、戦う事なんてできません。戦いは探索者協会の隊員さんに任せますよ。」

「ここまで来れたのは? 運よく戦わずに逃げ隠れして来れたからです。本当ですよ?」

「スキル? モンスターを倒していないのにスキルなんて持ってるわけないですよ」

「ご飯ですか? 鞄の中に運よくお昼の残りがあったんですよ。鞄は途中で置いてきちゃいました」


 どう考えても不自然だけど、ダンジョンに飲み込まれたかわいそうな女の子に厳しく追求する事はできなかったのか、釈然としない顔で納得してくれた。


 その後は特に何の問題もなく地下1階を経由して出口の階段に着いた。


 地下1階は迷路じゃない普通の洞窟だった。

 私達が見つかった報告を聞いて幾つかの部隊は撤退していたけど、まだ安全のためにモンスターを掃討してくれている部隊がいたので死体しか見えなかったけど、モンスターはネズミとコウモリだと思う。

 う~ん。ネズミとコウモリのスキルってなんだろう。後で魔石だけでも分けてもらえないかな。


 考えながら階段を上っていくと、急に視界が開けた。

 眩しい。グレムリンの光じゃなく太陽の光だ。

 周りを見る。バリケードの隙間から見覚えのある建物や街路樹が見える。

 

「小春っ!」

「綾姉っ!」


 おじいちゃん達と合流できた時点で確実に帰還できるとは思っていたけど、実際に地上に帰ってこれたのを実感すると、胸が溢れてなんともいえない気持ちになってしまう。

 これでようやく家に帰れる。

 まず帰ったらおいしいご飯食べて、温かいお風呂に入って、お布団で好きなだけ寝て――


「では、こちらの救急車に乗ってください」


 え?

 バリケードの出入り口に救急車が停まっていた。


「いえ、特に怪我とかしてないから大丈夫です」

「そういうわけには行きません、ちゃんと検査しないと。何かあってからじゃ遅いんですよ」


 軽い疲労があるだけで、なんの怪我も病気もしてないので断ったけど、強制的に乗せられてしまった。


「すまないが俺は身内として娘に同行する。後の処理は任せていいか?」

「「「「了解しました」」」」


 お父さんも仕事を部下に丸投げして一緒に乗ってきた。


「西風田道和さんですね。探索者協会本部までご同行願えますか?」

「いや……」


 おじいちゃんは連れていかれた。



 ああ、ご飯とお風呂とお布団が遠のいていく……


「安心しろ、この救急車はシノノメの病院に向かう。小春ちゃんのお父さんも待っているから、色々と話せるぞ」


 あっ! そうだった。

 危ない、危ない。帰還できた嬉しさで忘れてたけど、私と小春のスキルについてお父さん達に相談しなきゃいけないんだった。


 車内のベッドに腰掛けて深呼吸。気持ちを落ち着かせる。

 窓のカーテンを開けてもらって外の景色を見る。

 救急車が走り出す。バリケードとパトカーでダンジョンの入り口はもう見えない。

 

 隣の小春を見る。


「小春」


 ――目が合った。


「綾姉」


 ――声が重なった。


「「ただいま。」」

 





ステータス


西風田綾乃

種族 :【人間】

レベル:【 5】

スキル:【魔石喰い】

    『豚鬼の召喚剣』

    『兵隊蜂の毒針』

    『子鬼の角』

    『灰狼の牙』

    『大蜘蛛の粘糸』

    『突撃兎の角』



東雲小春

種族 :【人間】

レベル:【 5】

スキル:【無限収納】



西風田道和

種族 :【人間】

レベル:【 37】

スキル:【従魔術: (オーガ)】

    【妖刀召喚】

    【従魔融合】

    【[未判明]】



西風田政利

種族 :【人間】

レベル:【 32】

スキル:【空間収納】

    【[未判明]】

    【[未判明]】

    【[未判明]】


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