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エクリプス  作者: 元蔵
第3章 全身全霊をかけてあなたを祝福します
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94.バースディ

 土曜日。

 私はロナウド兄様とソシオと言う街に来ていた。

 領地リスロアにある緑豊かな森と湖に囲まれた街、ソシオ。

 ここで作られる護符アミュレットは冒険者にも人気があるそうだ。

 兄に連れられて1軒のお店に入る。

 色や大きさ等、形で分けられた護符が整然と並んでいた。



「いらっしゃいませ。何かお探しですか? おや、ロナウド様。本日は何をお求めでしょうか?」



 カウンターに座っている女性が声をかける。



「ああ。今日は仕事で来たのではない」



 兄がそう言って私を見る。



「ごきげんよう」



 兄の横に並び、礼をすると女性は目を丸くした。



「おやまぁ、リリアーナ様。護符をお求めと言うことは、リリアーナ様も冒険者になられたのですか?」


「いいえ。違いますわ。今日はアレフ様へのプレゼントを買いに来ましたの」


「それは大変光栄でございます。どのような物をお探しでしょうか? 一番いいものをお出し致しますよ」


「ありがとう。そうですね。冒険で役に立つような、危険から身を護れるものはありますか?」


「ございますよ。こちらのは属性攻撃を半減する物、その上に並んでいるのは無効化致します」



 彼女が手を向けた所に、6色の宝石が上下2列に並んでいた。

 さすがに光属性を防ぐものはないのね。



「これは、6色全て持つと全ての属性攻撃が無効になりますか?」


「いいえ。そうしますと石が互いに干渉しあって、効果が無くなってしまいます。さらに、同じものを2つ持っても、効果は相乗されないのですよ」


「では、どれがいいかしら。ロナウド兄様は護符を使用されてますか?」


「私か? 私は光属性を高める護符を使っている」


「癒しではなく、光属性なのですか?」


「癒し属性は回復魔法には莫大な効果を発揮するが、攻撃魔法には効果がほとんど無いからだ。私は仕事で旅に出ることもあるから、普段は光属性を使っている。」


「どうしましょう。他に何かお勧めのものはありませすか?」


「護符は既にお持ちになってるだろう。……そうだな。これはどうだ?」



 兄は魔晶石でできた鈴を取った。



「鈴、ですか? あら? 音は鳴らないのですね」


「ああ。身代わりの鈴と言って、持ち主に命の危険や災いが起きた時に、文字通り身代わりになってくれる鈴だ」


「身代わりに?」


「ああ。持ち主の代わりに割れて消えてしまうのだ。プレゼントにするには縁起が悪いだろうか?」


「いいえ。ロナウド兄様、それにいたしますわ。」


「お決まりですか? まぁ、これをお選びになるとはさすがにお目が高いですわ。では、こちらへ」


「はい」



 見え見えのお世辞を聞き流し、お会計を済ました。

 割れてしまうものは縁起が悪いかな?

 それでも、アレフ様が冒険に行かれて帰ってこなくなる方が嫌だ。


 6月28日。

 出来上がったテディベアに身代わりの鈴を持たせ、ラッピングをし直す。

 日本だったら男子にテディベアや鈴をプレゼントなんてしないよね。

 苦笑いしながら鞄にプレゼントを入れ、私は学園に向かった。


 こんな日もあるのね。

 今日はアレフ様とすれ違ってばかりだ。

 華組の教室に行ってもアレフ様はいらっしゃらない。

 次は移動教室だから、早めに行かれたのかな?

 諦めて戻ろうとした私に、シャムエラが駆け寄って来る。



「リリアーナ、どうかしたの? さっきから入らないで行っちゃうけど」


「アレフ様を探していたのですが、今日は会えなくて。また後で参りますわ」


「そう。私から伝えようか?」


「いえ、ご迷惑になりますもの」


「別に遠慮しないで言ってよ?」


「ええ。ありがとうございます」



 とは言ったものの、1度も会えずに放課後になってしまった。

 やっぱりシャムエラに頼めば良かったかな?

 私は諦めて学園を出ると、何やら騒がしい音がする。

 裏側かな?

 私は帰るのを止めて、学園の裏側へ向かった。

 嫌な予感がする。

 不安な気持ちを押さえながら歩いて行くと、2人の男女が言い争っているのが見えた。


 2人は、アレフ様とシャムエラだった。


お読みいただき、ありがとうございます。

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