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エクリプス  作者: 元蔵
第3章 全身全霊をかけてあなたを祝福します
93/98

93.言いにくい悩みごと、遠慮せずに話してよ

 6月最初の月曜日。

 食後のお茶をミセスブラウンが運びながら言った。



「お嬢様、明日はクリフトス様のお誕生日でございますが、プレゼントはこちらでご用意をいたしますか?」


「クリフ様の誕生日? 明日なの?」


「はい。こちらは、お嬢様のお誕生日プレゼントを下さった方でございます」



 受け取った紙はリストになっていて、誰から何をいただいたのか記載されている。

 あれ?

 私、ルカ先生からいただいたこと、話していないのに書かれているわ。

 ちょっと怖いよ。

 って言うか、ほとんどが知らない人の名前だ。

 お付き合いで送られてくるものなのね。

 これ、いただいた方の誕生日に全部送り返すのかな?



「そうね。直接いただいたことですし、今年は私がプレゼントを選んでお渡しします」


「かしこまりました。アレフレッド殿下には昨年同様、テディーベアを作成しております」


「ええ、お願いします。それと、印をつけた方の誕生日を教えてください。私が直接お渡しいたしますわ」


「かしこまりました」



 さて、攻略したとは言え、全キャラの誕生日は覚えていないし、プレゼントもシャムエラが渡す物と同じでいいはずがないよね。

 どうしようか。

 私は一気に紅茶を飲み干した。



「お嬢様! 何ですか、その品の無い飲み方は。もっと優雅にお飲みくださいませ」


「はーい。ごちそうさまでした。いってまいります!」



 カップを置くと、私は慌てて部屋を飛び出す。

 後ろからミセスブラウンが叫ぶ声が聞こえていたけれど、知ーらない。


 歩きながら、プレゼントについて考えていた。

 変な物は渡せないし、シャムエラのプレゼントと被ったらライバル令嬢っぽい。

 毎月誰かの誕生日はあるし、やっぱりミセスブラウンに頼んじゃおうかな?



「おはよう! リリアーナ」


「おはようございます。シャムエラ様」



 横道からシャムエラが顔を覗かせていた。



「どうかしたの? 悩んでいるように見えたよ」


「ええ。明日、クリフ様のお誕生日なのですが、プレゼントをまだ用意していませんでしたの。何をお渡ししようか、考えていたところですわ」


「クリフトス様って明日が誕生日なんだ」


「そうなんです。シャムエラ様はプレゼントされるのですか?」


「私? しないよ」



 キョトンとした顔でシャムエラが言う。

 クリフ様狙いじゃないから渡さないんだ。



「あのね、リリアーナ」


「はい」


「あの、ね……」



 言いにくいの?

 鞄を握りしめ、シャムエラは落ち着きなさげだ。



「どうかしましたか? シャムエラ様?」


「うん。あの……っく」


「く?」


「ああああ~と、アレフ様のお誕生日っていつなのかな?って思って。うん」


「6月28日ですわ」


「あ、そうなんだ。今月なんだね。あはは」


「ええ」


「はは……ははは、はぁぁぁ」


「シャムエラ様?」



 大きくため息をつき、シャムエラは華組の教室のドアを開けた。



「何でもない。またね、リリアーナ」


「ええ。ごきげんよう」



 教室に入って行くシャムエラを見送り、私も自分の教室に入る。

 シャムエラ、違うことを聞きたかったのかな?

 それとも本当にアレフ様の誕生日を知りたかっただけ?



 授業が終わり寮に戻った私は、クリフ様の誕生日プレゼントはミセスブラウンに頼むことにした。

 クリフ様には悪いけれど、アレフ様の誕生日プレゼント選びに専念しよう。

 テディベアは毎年贈り合う約束になっているからいいとして、他に何かインパクトがある物はないかな?

 アレフ様と言えばスポーツが好きだからスポーツに関連するグッズがいいんだけれど、実際のアレフ様はスポーツと言うより冒険好きよね。

 冒険する時に役立つアイテムって何だろう?



「ねぇ、カナン。冒険のお役立ちアイテムって何かあるかしら?」


「冒険の、でございますか? 誰がお使いになるのでしょうか?」


「アレフ様よ。誕生日プレゼントにどうかと思って」


「アレフレッド殿下……。そうですね。護符アミュレットなんていかがですか?」


「アミュレット?」



 MSGにそんなアクセサリーがあった。

 確か、ステータスが増減するのよね。



「お守りでございます。何個あってもいいと思いますよ。落としやすいので」


「それって、暗にいらないって言ってないかしら?」


「冗談でございます。種類も豊富でございますし、護符ならロナウド様かルーク様に頼むと良いアドバイスを頂けるでしょう」



 嫌な笑顔でカナンは言うが、他にいいと思える物は無かった。



「ありがとう。後でお兄様に相談してみるわ」



 お守りなら神様よね。

 ロナウドお兄様に相談してみよう。

 どんなものがあるのかな。

お読みいただき、ありがとうございます。

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