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エクリプス  作者: 元蔵
第3章 全身全霊をかけてあなたを祝福します
92/98

92.それぞれの恋模様

 自然と4人で食べるのが当たり前になってきたランチタイム。



「可愛い! それをいただいたのね」


「ええ。神殿で売られているそうですわ」



 ペンダントに最初に気付いたのは、シャムエラだった。

 君セナでシャムエラの喜ぶ物なのだから、気に入らない訳がない。



「神殿って堅苦しいイメージだけれど、マークとか可愛いよね」


「居心地もとてもいいんですよ。私は試合前によく行くです」


「へぇ~」


「精神統一にいいのです」



 一周回って戻って来たペンダントを身につける。

 私は、そのまま神殿のシンボルであるトップを見た。



「こうしていますと、敬虔な信者になったような気がしますわ」



 私の言葉に3人が笑う。



「リリアーナったら。それじゃ、普段は不真面目な信者だと言っているようなものよ」


「ふふ。それではいけませんわ。リリアーナ様」


「仕方がありませんわ。本当の事ですもの」



 私も笑いながらペンダントから手を離す。



「あれっ? その指輪、アレフ様も同じのを付けていたわ」


「同じものですわ。アレフ様からいただいて……」



 ――ドキッ


 今、アレフ様って言った?



「……冒険者の間では有名なペアリングだそうです」



 前までシャムエラは、アレフレッド殿下って言っていたはず。

 私が自分の問題に捕らわれている間に、お相手との距離を縮めていっている。

 今朝のロイク様との遭遇イベントと言い、さすが主人公、侮れないわ。

 けれど、アレフ様との婚約は絶対に譲らないんだから。


 指輪を見つめ、私は闘志を燃やしていた。



 「ふふ、リリアーナ様ったら。また、自分の世界に入られてしまいましたわ」


 「アレフレッド殿下の事を思い出させてしまったシャムエラがいけないのです」


「えー? リリアーナの思考が恋愛に偏り過ぎているのよ。アレフ様とは決められた婚約なのでしょ? そんなに気になる? ねぇ、他の方を好きになったりしないのかな?」



 シャムエラはメリッサ様を見た。



「私は別に、婚約者の事なんて1マイクロレベルも気にしないのでわからないです」


「ほう。俺の前でそんなセリフを言うとはな」



 メリッサ様の肩に手を置き、ジョナス様が言った。



「私の背後に立つなです!」



 ジョナス様の手を振り払うと、メリッサ様は顔を背ける。



「威勢だけは一人前だな。こんなに簡単に背後を取られていいのか?」


「学園内は守られているから問題無いんです」


「俺は、学園内でも遠慮はしないぜ?」


「こんにちは、ジョナス様」


「ごきげんよう、ジョナス様」



 シャムエラとエイミーが言った。

 メリッサは顔を背けたままだ。



「よう! 久し振りだな」


「先週もお会いしましたよ」


「そうだったな。久し振りなのは、リリアーナとだな。ん? リリアーナ。俺に会えなくて寂しかったか」



 不意に、視界一杯にジョナス様が映る。


 え?

 ジョナス様いつからいたの?

 驚きのあまり、声が出ない。



「俺が目の前にいて驚いたか? 安心しな、俺は幻じゃないぜ?」



 持ち上げられた顎を引き寄せられ、ジョナス様のお顔がゆっくりと近付いてくる。

 この状況、一体なに?

 もしかしてキスされようとしているの?



「いやっ!」

「止めるです! ジョナス!」



 メリッサ様が平手を振るったが、ジョナス様には当たらなかった。



「気にしないんじゃなかったのか?」


「ジョナスの事は気にしていないです。リリアーナ様をお助けしただけです」


「フッ。素直じゃないな」


「本心です」



 フラついた私をシャムエラとエイミーが支えてくれる。



「大丈夫? リリアーナ」


「ええ。ありがとうございます」


「お2人はどうされましたの? メリッサ様があの様な態度をされるなんて」


「リリアーナ、知らないの?」


「メリッサ様とジョナス・プライア様は婚約者同士ですわ」



 シャムエラとエイミーは、私が知らなかったことに驚いているようだった。

 ティチェル様とならわかるけれど、君セナに出てこないメリッサ様が婚約者?

 そもそも、ジョナス様には婚約者の設定が無かったのに。



「後で校舎裏だからな」


「行くわけないです」


「そう言いながら、毎回来ているだろう」


「通り道なだけです!」


「もう、相変わらずね。ごきげんよう、皆さん」



 ティチェル様とクラディオ様が何かを持ってやって来たのだ。



「そなたたちがいる所はいつも楽し気で良いな」


「ごきげんよう、クラ兄様、ティチェル様。とても楽しんでいますわ」



 ゲームの中なのだもの、当然よね。



「そうか。これは誕生日プレゼントだ。小さい頃、リリーが気に入っていたお菓子を用意した。皆で食べるといい」



 クラウディオ様が綺麗にラッピングされた箱を置くと、隣にティチェル様も可愛らしい丸い箱を置いた。



「私はお菓子に合うお茶を用意したの。一緒に召し上がれ」


「覚えていてくださって嬉しいですわ。ありがとうございます」



 私はいただいた箱に手を伸ばした。



「そして、俺からはこのバラを。フッ、このバラの様に、リリアーナを俺色に染めてやるぜ」



 私の手には真っ赤なバラが握らされていた。

 いつの間に。

 ジョナス様と目が合うと、音が聞こえそうな勢いでウインクをしてる。

 メリッサ様は何事もないようにお茶を飲んでいるけれど、やっぱり気まずいよ。



「えっと……その様におっしゃられますと、いただけませんわ」


「遠慮は無しだぜ。それじゃあな。行きましょう、クラウディオ殿下」


「ああ。……ジョナス、リリーを困らせるのは止さぬか。度が過ぎると、プライア候に報告するぞ」


「それは、勘弁してください。クラウディオ殿下」


「それでは、またね。ごきげんよう」



 先に歩きだした2人を追い駆けるようにティチェル様が去って行く。


 はぁ。


 小さくなっていく3人を見て、誰かが小さくため息を漏らした。

お読みいただきありがとうございます。

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