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エクリプス  作者: 元蔵
第3章 全身全霊をかけてあなたを祝福します
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91.登校イベント

 月曜日。

 静かに降る雨の中、普段、誰とも会わない通学路にロイク様が立っていた。



「おはようございます。降り出してしまいましたね」


「そろそろ梅雨に入るそうですわね。よろしければ、どうぞ。濡れますと、お風邪を召されますわ」


「ありがとうございます。まだ降らないでほしかったので、願掛けを込めて持ってこなかったのです」


「それで、傘をお持ちでは無かったのですね」



 差し出した傘の中に入ると、ロイク様は傘を持って歩きだした。



「久し振りにリスロアに行かれたのですよね。どうでしたか?」


「楽しかったですわ。沢山の方がお祝いしていただきました。」


「私も参加したかったです」



 ロイク様の言葉にハッとする。

 リスロアでのしきたりを重んじる為、友達も呼べなかったんだ。

 当然のことだけれど、ロイク様も招待していない。



「申し訳ありません。今年の誕生日は、色々と決まり事がありましたの」


「知っていますよ。承知している上で、呼ばれる存在になりたかったのですよ」


「え……?」



 ロイク様を見上げると、天気の所為か表情まで陰っていた。

 そんなに楽しいものでもなかったけれど。



「ロイク様がよろしければ、来年はお越しくださいませ。儀式めいたことは行わないと思いますわ」 


「ええ。楽しみにしていますよ。ああ、すみません。傘を持っていていただけますか?


「はい」



 傘を受け取ると、すみませんともう一度言ってロイク様は鞄から取り出す。



「1日遅れてしまいましたが、これを」



 ロイク様が取り出したのは君セナにも出てくる、シルバーの鎖に国教のシンボルがついたペンダント。

 ダイヤの形をしたシルバーの中に、ピンク色のハートで形作られた四つ葉のクローバーがぶらさがっている。

 オープンハートならぬ、オープンダイヤのペンダント。




「誕生日プレゼントです。」



 このペンダントって、誕生日イベで貰うプレゼントだ。

 しかも、好感度が一定のランクを超えないと他のプレゼントになってしまう。

 ロイク様の攻略では、このペンダントが貰えるか貰えないかでエンディングの分岐点となるアイテムだ。



「かわいいです。チャームがシンボルになっていますのね」


「はい。……女神の祝福がリリアーナ嬢に届きますように」



 ロイク様は私にペンダントを掛けた。

 攻略している時は中々貰えないアイテムなのに、リリアーナは1年目の時から貰えちゃうのね。

 苦労せず貰えるなんてライバル令嬢ってずるい。



「ありがとうございます。よろしいのですか? いただいてしまって」



 誕生日イベントのスチルよりは少し小さめかな?

 触れるとダイヤの中で、四つ葉のクローバーが揺れた。


 

「はい。……色々悩んだのですが、それにして良かった。それでは行きましょうか」



 私の傘を再び持つと、ロイク様が歩き出す。



「おはようございます。ロイク様。あら? リリアーナ!」



 振り返ると、驚いた表情をしたシャムエラが立っていた。



「おはようございます」


「おはようございます。シャムエラ様」


「珍しいですね。2人が一緒にいるなんて」


「寮から学園までの道はこの通りだけですから。今まで会わなかったことが珍しいくらいなんです」



 シャムエラの疑問にロイク様が答える。

 まるで、参考書に書かれている回答を言うかの様だ。



「ふぅーん。あっ! 私、今日、日直だったんだ。先に行きますね」


「えっ? シャムエラ様?!」


「またね! リリアーナ」



 シャムエラは雨の中、元気良く走って行った。

 ピンク色の傘があっと言う間に遠ざかって行く。



「彼女はいつも騒々しいですね」


「元気があっていいと思いますわ。シャムエラ様と一緒にいるととても楽しいですよ」


「快活と、騒々しいのは意味が異なります」



 校舎に入って行く彼女の姿を見つめるロイク様の視線は、冷たい色をしていた。

 まだ5月だからかキツイセリフだなぁ。


 あっ!

 これって、好感度が下がるイベントだ。

 攻略キャラに声をかけたら陰からリリアーナが出てきて、一緒にいたお相手の好感度が下がる。

 当然ながら、ある程度の好感度をクリアしないとこのイベントは発生しない。

 ……もしかして、シャムエラの好きな人はロイク様?

 友達の恋を邪魔したくないのにな。



「私たちも行きましょうか」


「ええ」



 それで、通学路でロイク様に会ったのか。

 朝からライバル令嬢キャラ発動しなくてもいいのに。



「……何か、私の顔に付いていますか?」


「え? ……何も付いて無いですわよ」



 私は思案にふけって、ロイク様をずっと見つめていたことに気付いていなかった。

前回の投稿から2カ月過ぎてしまいました。

待ってくださっていた貴重な人、い、いるの……かな?

遅くなりまして申し訳ありません。


お読みいただき、ありがとうございました。

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