90.青い月夜の調べ
今回はかなり短めです。
何の曲だろう?
パーティも終わり静まり返った外から、かすかに楽器の音が聞こえた。
バルコニーへ出ると、隣でアレフ様が何かを吹いている。
ハーモニカ、かな?
君セナの設定には、ハーモニカを演奏するなんて無かったよね。
青く光る月の夜に、ゆっくりと流れる音色が心地良い。
静かに聞いていると、ふいに曲が止まった。
「リリー、いるなら声を掛けてくれよ」
「すみません。演奏を止めてしまいたくなかったものですから」
「そうか。あ、ちょっと待ってて」
「ええ」
アレフ様は部屋に戻ると、すぐに戻って来た。
「リリー。少し離れて」
「え? こう、でしょうか?」
少し後ろへ下がると、アレフ様はバルコニーを飛び越えて移って来る。
「危ないですわ。ここは5階ですのよ?」
「大袈裟だな。これくらいどうってことないよ」
アレフ様は笑うと、かわいくラッピングされた袋を私の手に乗せた。
「誕生日プレゼント。今日中に渡せて良かった」
袋の中には、テディベアが入っていた。
足の裏には、5月18日 16anosと刺繍が入っている。
沢山あったテディベアは、アレフ様からのプレゼントだったのね。
テディベアは手に小さい箱を抱えていた。
「これは?」
「開けてみて」
リボンを解き、箱を開けると宝石箱が入っている。
中には、大小2つの指輪が入っていた。
「どうかな? 俺が作ったんだけど」
小さい指輪を私の薬指にはめると、大きい指輪をアレフ様は自分の薬指にはめた。
「とても綺麗」
シンプルに細いシルバーの環にダイヤが填められている。
翳すと月の光にダイヤが煌めくように輝いた。
「ありがとうございます。大事に致しますわ」
「俺たちの婚約指輪は儀式用で、宝物殿に保管されているだろ? それで、ギルドで作ってみたんだ。『プラゼール』と唱えたら、どんなに離れていてもパートナーを呼ぶことができるんだ」
「呼ぶことが? 一瞬でと言うことでしょうか?」
「ああ。冒険者に伝わるマジックアイテムなんだ。どちらかが寝ていたり、指輪を外していたら呼べないから、外さないようにな。」
「わかりました」
「何かあったら、すぐに呼べよ」
「ええ」
「何もなくても呼んでいいから」
「はい」
「……本当にできるか試してみよう」
ふふ。
早く試してみたかったのね。
アレフ様は隣のバルコニーに飛び移る。
ココ、5階なんですけれど……。
隣のバルコニーの中央まで行くと、アレフ様は私を見る。
「リリー、『プラゼール』って唱えてみて」
私は頷くと、次の瞬間には隣のバルコニーにいたアレフ様の隣にいた。
「え? どうして?」
「悪い。今、俺が言ったので発動したみたいだ」
「ふふ。予想していなかったので驚きましたわ」
「悪いな。ワープして大丈夫?」
「ええ。私が移動したのではなく、私の周りが移動したように感じましたわ。オーブでのワープとは違うようですね」
「そうか。発動するのはわかったけど、間違って言わないようにしないとな」
そう言って私を抱きかかえると、隣のバルコニーへ飛び移る。
だから、ココ、5階なんですってば!
1話の文字数や、文体の書き方を考え直していると、段々執筆スピードが遅くなってしまいました。
最初から書き直そうか、悩んでいます。
そうすると、サブタイトルを沢山考えないといけなくなるから大変かも。
と、思ったり。
100話を目処に、途中で書き直すか、このまま続けるか決めようと思っています。
気付けば90話になりました。
お読みくださる皆様、いつもありがとうございます。




