表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクリプス  作者: 元蔵
第2章 全身全霊をかけてあなたについていきます
73/98

73.GWイベント第2弾 ~告知~

 ひっそりと静まり返った王城の中にある神殿。

 空に昇った下弦の月と星の明かりを頼りに、奥にある泉へと歩いた。

 羽織っていたショールを置き、白いキャミワンピ姿になった私はゆっくりと泉に足を入れる。



 冷たい。



 女神の涙と言われるこの泉には、様々な浄化作用があるそうで、明日の儀式の前に禊をする必要があるらしい。

 こんなに冷たいのに、どれだけ入っていればいいの?

 ゆっくりと深くなるにつれて水温も低くなっていくようだった。

 明日になったら、風邪をひいて儀式なんてできないんじゃ?

 私は思い切って水の中に潜り込んだ。

 しばらく水の中にいると、水の冷たさにも慣れてくる。

 静まり返った神殿に、水しぶきの音が響いた。



 バシャッ。



 水面を割って顔を出した。

 来た時から比べて、月の位置が移動している。



 もういいよね?



 禊をするように言われたけれど、実際に何をしていればいいのかわからなかった。

 額に張り付いた前髪を払い、立ち上がる。



「君は誰? ここで何をしているの?」



 私しかいないはずの神殿に、声が響いた。

 声がした後ろを振り返ると、フェルナンド・テェゼーナ様が立っていた。



「水の中から失礼致します。私は、ベンフィカ公爵家長女、リリアーナ・ベンフィカでございます。禊をしておりました」


「君がリリアーナ・ベンフィカ……。初めまして。僕はフェルナンド・テェゼーナ。儀式のお手伝いをする為に、お城に来たんだ。よろしくね、リリアーナ嬢」



 屈託なく笑うフェル様の笑顔。

 私も自然と笑みがこぼれる。



「よろしくお願い致します。フェルナンド様。」


「うん。もしかして、僕、邪魔しちゃった?」


「いいえ。もう出ようと思っていたところですわ」



 フェル様が立っている近くに置いたショールの所へ歩いて行くと、少し照れた風にフェル様が顔を逸らした。



「月の姫リリアーナ……。本当に泉の精か、女神様かと思っちゃった。良かったらコレ着て」



 フェル様は、着ていた上着を脱いで私に差し出す。



「お気持ちだけいただきますわ。濡れてしまいますもの。それに、ショールがありますから」



 私は泉から上がると、ショールを羽織った。

 歩きにくいと思ったら、Aラインのスカートがピッタリと体にくっついている。

 当然のように、上半身も体のラインにピッタリと張り付いていた。



「お見苦しい姿を晒して申し訳ありません。私はこれで。ごきげんよう、フェルナンド様」



 泉から離れると、私の身体や服が乾いていく。

 身体に張り付いていたスカートは、元のふんわりとした綺麗なラインになっていた。

 不思議な泉ね。



「あ、おやすみなさい。リリアーナ嬢!」



 フェル様のかわいらしい声が、後ろから聞こえる。

 振り返ると、フェル様が手を振っていた。



「おやすみなさいませ。フェルナンド様」



 静まり返った神殿を通り、王宮のアレフ様の私室に戻った。

 もう遅い時間だと言うのに、アレフ様とマキシ様の姿が見えない。

 広いリビングでお茶をいただいていると、部屋にいたメイドの1人が近付いてきた。



「リリアーナ様。アレフレッド殿下より連絡がございました。今、王城にいらっしゃるそうで、しばらくお時間が掛かるそうにございます。リリアーナ様は先に休まれるようにと。バスルームにご案内致します。こちらへお越しください」



 メイドの言葉に私はソファーから立ち上がった。



「アレフレッド様はこんな時間に何をなさっておいでなの?」


「執務室にいらっしゃるそうです。詳しくはわかりかねます」


「そうですか。その執務室に行くことはできないかしら?」


「確認して参ります。少々お待ちください」


「お願いします」



 職務に忠実そうなメイドは他の執事に伝え、すぐ戻って来た。



「申し訳ありません。ハメス様に伝えましたが、殿下からのお返事はすぐにいただけないかと。さぁ、お返事を待っている間にバスルームへ参りましょう。出る頃には、殿下から連絡があるはずですわ」


「ええ。わかりました」



 一緒に入ろうとしていたメイドを断り、1人でバスルームに入る。

 早く上がるつもりだったけれど、禊で冷えた身体は中々温まらなかった。

 用意されたキャミワンピースに着替え、バスルームを出たがアレフ様は戻ってなく、ハメスさんが部屋に来ていた。



「リリアーナ様。殿下はただいま、書類と格闘しております。手伝えることも少のうございますし、見ていてもおもしろいものではございません。どうか、お先にお休みになってくださいませ」


「書類ですか?」


「はい。本来なら夏季休暇の時に行うことなのですが、殿下の公務に関する書類を確認されておいでです。やり始めますと、途中で止められない性格なのでございます。明日は儀式の為、朝早くに起きなくてはなりません。リリアーナ様はお先にお休みしてほしいとおっしゃっておいででした」


「わかりました。皆様、おやすみなさい」


「おやすみなさいませ」



 納得したわけではないけれど、何を言っても無駄なことはわかった。

 私は寝室に入ると扉を閉め、奥の寝室へ入る。



 何かあったの?

 禊に行く前は、アレフ様は執務室に行くとも言っていなかった。

 私はベッドに横たわると、2人のテディベアを抱いて部屋の電気を消す。

 普段ならとっくに寝ている時間だったけれど、気になって中々寝付けない。

 しばらくゴロゴロとしていた私は、ベッドから降りた。

 リビングへ歩いて行くと、私に気付いたハメスさんが驚いた声で話す。



「リリアーナ様。まだ起きていらっしゃったのですか?」


「ええ、眠れなくて。カモミールティーをいただけますか?」


「かしこまりました。すぐにお持ち致します」


「お願いしますわ」



 ハメスさんがお茶の用意をしに行き、私はソファーに座った。

 程なくして、ハメスさんがカモミールティーを運んできた。


「どうぞ」


「ありがとう」



 カモミールティーを受け取ると、私はすぐに口を付けた。



「ハメスさん。アレフ様はまだお戻りではないの?」


「はい。殿下も困ったものです。お戻りになられましたら、きつく言っておきます」


「その必要はありませんわ。私のわがままですもの」



 にわかに部屋の外が騒がしくなり、リビングの扉が勢いよく開く。



「まだ、起きていたのか」



 少し息の上がった様子でアレフ様が言った。



「おかえりなさい。眠れなくてお茶を淹れていただきましたの」


「ただいま。コーヒーをくれ」


「かしこまりました」



 ハメスさんが用意の為キッチンへ行くと、アレフ様は私の隣に座る。



「悪かったな。1人にして」


「私こそ、ごめんなさい。忙しいのでしょう?」


「いや。せっかく城に戻ってきたからと思って、書類を見たのが間違いだったよ。急ぎのものではないのにな」



 笑って話すアレフ様は、どことなく無理をしているようにも見える。



「お待たせいたしました」


「ああ、ありがとう。リリー、先に寝てていいからな? シャワー浴びてくる」



 コーヒーを一気に飲み干すと、アレフ様はバスルームに向かった。

 カモミールティーを飲んだからか、アレフ様が戻られたからなのか、急に眠気が襲ってきたので、私はベッドに戻ると、すぐに眠りについた。



「ハメス、リリーは?」


「寝室に戻られました」



 アレフ様は寝室に行って、再びリビングに戻る。



「全く、ぬいぐるみのベッドで寝ていたよ」


「リリアーナ様らしくて、よろしいではありませんか」



 ハメスさんが笑いながら話す。



「良くないよ」


 アレフ様はポツリと呟く。

 先週に起きたウサギの家での出来事を思い出したようだった。


「マキシ、悪いが俺も寝る。どうせ、ギルドからの返事も今日は来ないだろう。明日の朝、一番に、国王とプライア元帥、兄上に報告だ。なんで、こんな時に限って……。マキシも休めるうちに休んでくれ。何が起こるかわからないんだから」


「かしこまりました。おやすみなさいませ」


「ああ。おやすみ」



 アレフ様が寝室に入ると、ハメスさんはマキシ様に尋ねた。



「マキシ、アレフレッド殿下がおっしゃる、イベントとは一体、何のことだ? リリアーナ様に関係するかもしれないとおっしゃっておいでだが?」


「私も詳しくは理解できていませんが、ギルドシステムによると、明日の午後から強いボスがソルシティ周辺に現れるそうです。おじい様、これがイベントの詳細です」



 マキシ様が持っていたタブレットを見せる。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 春の嵐が吹きすさぶ!? 


 GWイベント第2弾 メイストーム


 四季の移ろいが美しい、ソルーア王国王都ソルシテイ。

 快晴の行楽日和から一転して、突如発生した暴風雪が猛威を振るいだす。

 王国の調査・研究の結果、風の谷に住むモンスターが原因だと判明。

 モンスターたちは何かを探し求めて、王都に接近しているようだが?



 さあ。

 今こそ、冒険者諸君の出番だ!

 突如現れた、モンスターの軍団を一掃せよ!



 イベント実施期間

 5月3日金曜日正午~5月6日月曜日24時迄


 更に強力な新レイドボスが登場!!

 レイドボス出現時間


  13:00

  15:00

  17:00

  19:00

  21:00

  23:00



 時間帯によって、出現するボスが異なります。

 パーティーを組んで敵に挑め!!


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ