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エクリプス  作者: 元蔵
第2章 全身全霊をかけてあなたについていきます
61/98

61.GWイベント 〜告知〜

初の主人公不在の話になります。

 車から見える景色をアレフ様は眺めていた。



「本当に、よろしいのですか?」



 バックミラー越しにマキシ様が問いかける。



「ああ。リリーを連れて行ったら、午前中に終わらないだろう。それに何が起こるかわからないからな。家にいてもらいたい」


「ですが」


「着いたな。すぐに戻る。マキシは車を停めて、そのまま待機だ」



 アレフ様はまだ動いている車のドアを開ける。



「殿下!」



 マキシ様が慌てて車をその場に停めると、アレフ様は車から降りて店内へと入って行った。

 後を追うようにドアを開けた時、後続車からクラクションが鳴らされる。

 店の前の通路に車を停めることはできない。

 マキシ様は後を追うのを諦め、車を空いている駐車スペースに停めた。



 探し物は、エリクサー。

 大きな店でなら売っている、ポーションの一種だ。



 そのはずだった。



「売っておりませんね」


「みたいだな」



 王都のドラッグストアを全て回ったと言うのに、売っているどころか取り扱っているお店は無かった。

 車は、ナビの指示では無く、アレフ様の指示する道を走る。



「アレフレッド殿下、こちらの道でよろしいのでしょうか?」



 車は、道幅の狭い道路を走る。

 道行く人々は王都に住む人々から、武器や防具を装備している冒険者の姿へと変わっていった。


 同じ王都なのに、ここまで雰囲気が異なるのですね。

 確かに、リリアーナ様のようなお嬢様を連れて歩くには不安になります。

 運転をしながら、マキシ様は思った。



「そうだな。もう少し行った所に駐車場があるだろう? ナビに出ている、そこに停めよう。そこからは少し歩く」


「かしこまりました」



 駐車場の入り口にある発券機から駐車券を取り、マキシ様は空いているスペースに車を停めた。



「殿下、やはり危険でございます」


「ここもソルシティだ。少し冒険者が多いだけのな。さすがに身分バレはしたく無いから、殿下とは呼ぶな。で、ん、か……。でんでんでいいや。俺のことは、でんでんと呼べ。ほら、剣持って行くぞ」


「は、はい」



 マキシ様は緊張した面持ちで刀を腰に差す。

 アレフ様はバスタードソードを背中に吊るし、フードの付いた外套を羽織ると車から降りた。



「殿下、お待ちください!」



 マキシ様も同じように外套を羽織り、先に歩いていくアレフ様を追った。

 従者であるマキシ様でさえ、躊躇する街中をアレフ様は迷うこと無く進んで行く。

 時折すれ違う者たちが絡んでくるのではないかと、マキシ様は気が気では無かった。



「殿下」


「でんでんだ」


「失礼。でんでんは、以前にもここへお越しになられたことがおありでしょうか?」


「……いや、初めてだ」


「そう、ですよね」



 殿下が出かけていたとなると、自分が知らないはずが無い。

 どんなお忍びだろうと、自分だけは必ず随行してきた。

 専属の従者であると言う、お互いの信頼の証と言える。

 しかし。

 公務で出かける以外で王宮からほとんど出たことが無い殿下の、まるで通い慣れた道を歩く姿に、マキシ様は不思議に思った。

 アレフ様が1軒の店の前で足を止める。



「ここだ。入るぞ」


「はい、殿……でんでん」



 アレフ様がドアを開けると、薬や香辛料のような刺激臭が漂ってくる。



「ひどい匂いだな」



 アレフ様が顔をしかめて言うと、同意するようにマキシ様も頷いた。

 曲がりなりにも一国の王子が、こんな店に用事があるとは思われないだろう。

 アレフ様の後を警戒しながらマキシ様は歩く。

 中は薄暗く、所狭しと薬やハーブが積み上げられていた。



「いらっしゃい。見ない顔ね」



 店の奥から、老婆の声がする。



「ああ。最近始めたばかりなんだ」


「そう。何をお探し? あら。いい男ね。サービスするわよ」



 奥から、しわがれた声からは想像できない美女が歩いてきた。



「エリクサーが欲しい。ギルドに入りたいなら、買ってこいってパシらされたんだ。ここで売ってるからってきいたんだけど」


「そうだったの。しかし、エリクサーは高価よ。お兄さんたちに買えるかしら?」



 艶やかな笑みを浮かべ、美女は近くに吊るされたハーブを手に取る。

 ふわりと林檎のような甘酸っぱい香りが広がった。



「ああ。金はもらってきたから心配ない。それより、あるなら出してよ」


「わかったわ。はい。これがエリクサーよ」



 少しして、紫色の液体の入った瓶を前に置いた。

 アレフ様はその瓶を品定めするように見てから、女を睨みつける。



「なぁ、ミーシャ。俺はエリクサーって言ったんだよ」


「あら。違いがわかるとはね」


「これくらいわかるだろう。赤ポと青ポを混ぜたものを出すなよな」



「初心者って言ったじゃない。騙されなさいよ。エリクサーね。今あるのは2個だけなのに。どうぞ」



 ミーシャと呼ばれた女はアクアマリンのような薄い青い色をした瓶を2個取り出した。

 今度はアレフ様も頷く。



「いくらだ?」


「闇に呑まれる前に小さき姫を救い出せ」


「は?」



 ミーシャの唐突な言葉に、2人は驚く。



「ミーシャ?」


「エリクサーは1個10万。2個だから20万よ」


「あ、ああ」



 支払いを済ませながら、気のせいだったのかとアレフ様は思案する。

 ミーシャは話した素振りを見せない。



「気を付けてね。お兄さん」


「エリクサーは、今度いつ入荷するんだ?」


「冗談言わないでちょうだい。滅多にある物じゃないのよ。今だって、2個もあったのは幸運なんだから」


「そうなんだ。しかも結構高いな」


「当然よ。調合できる人もあまりいないし、材料だって知られていないんだから」


「そっか。また来るよ」


「ええ。今後もご贔屓に」



 アレフ様とマキシ様が店を出ようとした時、また声が聞こえる。



「……タイムリミットまで24時間。店を出たところから開始致します」



「マキシ、聞こえたか?」


「姿は確認できませんでしたが、彼女以外の声がしました」


「タイムリミットまで24時間とか、聞こえたんだが」


「はい。私にも聞こえました。『闇に呑まれる前に小さき姫を救い出せ。タイムリミットまで24時間。店を出たところから開始致します』で、ございました。どういう意味なのでしょうか?」


「わからないな。何だか、嫌な予感がする。ベンフィカ邸に戻るぞ」


「かしこまりました」



 2人は駐車場へと急ぎ歩きだした。

 駐車場に面した広場のような所に、冒険者が集まっていた。



「殿下。あそこに集まってる冒険者たちは、何をしているのでしょうか?」


「掲示板があるから、それを見ているんだろう」


「掲示板ですか」


「ああ。その掲示板からクエストやシナリオを進めて、報酬を受け取ったりするんだよ。どこの街にもあるんだ。そうだ、掲示板。さっきの言葉は、新たなクエストだったのかもしれない。マキシ。俺、掲示板見てくる」



 言うが早いか、アレフ様は掲示板のある、冒険者がいる方へ走って行く。



「アっと、でんでん。私も参ります」


 

 マキシ様もアレフ様の後を追って走り出した。

 アレフ様は不思議と冒険者の中に溶け込み、王族の特徴的なゴールデンブラウニッシュブロンドの髪もあまり目立たなかった。

 クエスト、シナリオ、イベント、おおまかなページだけでも種類は3つ、それぞれのページにも沢山書き込まれていた。



「これは、どこを見たらいいかわかりませんね」



 思わずマキシ様が呟くと、横にいた女性が声を掛けてきた。



「最初はわかりにくいわよね。慣れるとそうでもないんだけど。今日から始まるイベのページを探しているの? それだったら、イベントの3ページ目よ」


「ありがとうございます」


「いいのよ。最初は誰だって初心者なんだから。じゃ、頑張ってね!」


「はい。ご武運を」



 女性が去り、マキシ様は教えてもらったページを見る。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 GWイベント第1弾!

 称号を手に入れろ!


 悲劇のお姫様、リリア。

 彼女が持つ、魔晶石を作り出す不思議な力。

 その高い魔力を狙って、闇の軍勢が彼女を連れ去ってしまった。

 彼女が闇に落ちてしまう前に、闇の手より救い出せ。


 報酬


 魔晶石 5個

 称号  姫の騎士 5月31日迄、全ステータス +5

 ※6月1日からは+2になります。


 イベント期間、本日4月27日の正午より4月29日24時迄。

 時間内にイベントマップに行かれた方までと致します。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「GWイベントか。リリア……。リリアーナと関係があるのか?」


「リリア姫。少なくとも、近隣の姫君に同じ名前の方はいらっしゃいません。」


「貴族令嬢の中には、いるか?」


「貴族の中でも、いらっしゃいませんね。唯一、リリアーナ様のお名前が、似ているくらいでしょうか」


「そうか。関係ないといいんだが。そろそろ行くぞ」



 2人は掲示板の前から足早に立ち去った。


PCが何とか復旧しました。


それは、とっても嬉しいのですが。

名前や、攻略キャラの公開していない決め台詞、誕生日などなど。

思い出せません。

没にしたので、一から考え直しってところでしょうか?(ノД`)・゜・。

時間割とか、選択授業とか、先生は……矛盾だらけになりそうで恐ろしいです。


寒くなってきました。

どうぞ、風邪など引かれませんよう、ご自愛ください。

お読みいただきまして、ありがとうございました。


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