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エクリプス  作者: 元蔵
第2章 全身全霊をかけてあなたについていきます
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60.GWイベント 〜告知前〜

 我が家の車ではなく、レンタカーにアレフ様とマキシ様が乗り込む。



「いってらっしゃいませ」



 ゴメスたちが勢ぞろいして言う中、私はポツリと言葉をかける。



「お気をつけて」



 あまり感じのいい声とは言い難い。



「行ってくる。午後までには戻るから」


「わかりましたわ」



 私は視線を車に向けた。

 わざわざレンタカーを使わなくても、車は沢山ある。

 我が家の車なら、一緒に乗せてもらうことも可能だったのに。

 見かねたように、マキシ様がアレフ様に話す。



「殿下。私がお護りいたしますから、リリアーナ様もお連れされてはいかがですか?」


「説明しただろう。俺たちだけで行く」


「あのご様子ですと、ウサギの家に閉じ籠ってしまいかねませんよ」



 ちょっ! アレフ様も不安そうな顔してこっち見ないでよ!



「聞こえていますわ、マキシ様。……お約束ですもの。私のことはお気になさらず、どうぞいってらっしゃいませ」


「と言うことだ。マキシ、出してくれ」


「かしこまりました」



 車は静かに走り出し、すぐに見えなくなった。



「よろしかったのですか?」



 カナンが言った。


 良くないよ。

 王都のドラッグストアに行くくらいなら、私が一緒でも問題ないじゃない。

 実際、2人の服装も変装ではなく普通の装いだった。

 少し期待したけれど、アレフ様はいいとおっしゃってくださらなかった。



 いいわけないじゃない。

 でも、そう言ったところで困らせるだけ。



「いいのですわ。私にもやらなければいけないことがありますもの」



 もしかしたら、元の世界に戻る方法が見つかるかもしれない。

 魔力の暴走を防ぐ方法が見つかるかもしれない。

 帰れなかったときのことも考えて、リリアーナの過去も調べられたら調べたい。

 休みは3日間だけ。

 そうよ!

 やるべきことは沢山あるんだから!



「それでしたら、そのようなお顔はなさらければよろしいです」



 カナンの言葉にムッとして言った。



「膨れてはいませんわ!」


「それは、そうですが」


「泣いてもいません」


「はぁ。可愛気がありません」


「ぐっ」



 ため息混じりで言うって、どういう教育されているの!?



「お部屋に戻ります。アレフ様がお戻りになりましたら、教えて下さい」


「かしこまりました」



 何なのよ!

 酷い言い草ね!

 私は誰もいなくなった道を歩き、屋敷に戻る。

 ほとんどの者は、第2王子様であるアレフ様との昼食会の準備にかかり切りだ。

 それなのにカナンだけは、私がいるから外にいてくれたのかな?

 後ろを振り向いた私にカナンが気付く。



「いえ、私は人形遊びはちょっと……」


「私もしませんわ!」



 前言撤回。

 ただサボっていただけよ、絶対。



 私は部屋に戻ると、本棚にある本を片っ端から読み漁り始めた。

 物語や図鑑、普通の本ばかりだ。

 アルバムくらいあってもよさそうなのにない。


 引き出しの中は手紙やレターセットが出てきた。

 エイミーからの手紙だわ!

 手紙は後で読んでみよう。

 人の秘密を暴くようで、申し訳ないけれど。

 手紙の束はテーブルの上に運び、他は元の場所に戻した。

 あちこちから出てくる宝石は、何なのかしら?

 色も形も違うし、数もバラバラ。

 宝石にしては作り物のような輝きで種類がわからない。

 玩具かビジューなのかな?

 どう言った基準で分けていたのか、見当も付かないわ。



 クローゼットの中も調べていったが、何も見付からなかった。


 空振りかぁ。

 驚くくらい、何もないわね。

 逆にそれが本人の個性なの?

 何も見付からなかった所為かどっと疲れ果て、私はその場に座り込んだ。

 そう言えば、この家に帰ってきてから何も飲んでいないわ。

 気分転換に紅茶でも淹れよう。



 私は部屋の中にあるティーセットを取り出して、紅茶を淹れる。

 ふわりと広がる紅茶の香り。

 そうだ。

 不本意だけれど、ルークお兄様にアルバムがないか聞いてみよう。

 大量の写真が出てきたらそれはそれで嫌だけれど、背に腹はかえられないわ。

 あと調べていないのはウサギさんの家だけね。

 マキシ様に『ウサギの家に閉じ籠ってしまいかねない』と言われたことを思い出す。

 調べ物をするだけ。

 別に閉じ籠るつもりはないんだから!

 私は紅茶を一気に飲み干すと、クローゼットに戻った。



「おじゃましまーす」



 キッチンの引き出しにはスプーンなどのカトラリーがあるくらいで、めぼしい物は何も無かった。

 2階は外から覗く。

 階段があり、女の子のお部屋になっている。

 ベッドにウサギの女の子が座っていた。

 嫌だわ。

 何だか目が合ったように思えた。



「ちょっと、失礼するわね」



 私のおもちゃなのだろうけれど、ここは女の子の部屋だ。

 私は女の子の視線を感じながら、机の引き出しから日記帳と鍵を発見した。

 鍵はどこの鍵だろう?

 カナンに聞けばわかるかな?



「しばらく借りるね」



 女の子は当然だけれど、何も言わなかった。


『いいわよ』


 なんて言われても怖い。

 私は日記帳と鍵を持って、1階の壁に寄りかかった。

 日記帳を開くと、『ようこそ』と書かれている。

 丸みがかった女の子が書くような文字だ。

 次のページを開くと、後ろ頭にゴツンと何かが当たる。

 え?

 今まで、何も無かったわよね?

 後ろを振り向くと、ただの壁だったはずなのに、ドアがあった。

 取っ手に手を伸ばすとドアはひとりでに開き、小さな真っ白な部屋に小さな白い箱が、ポツンと置いてあった。



 罠、だよね?

 どう考えてもおかしいもの。

 本当なら、ドアを開けると壁になるはず。

 それなのに、異様な雰囲気の空間があるんだもの。

 手を伸ばせば届きそうな距離にある、それっぽい箱。


 どうする?


 罠だよね?

 でも、手掛かりは何も見付けられていない。

 もしかしたら、元の世界に戻る手がかりだったりする?

 私はその真っ白な空間に入らないように、注意して手を伸ばした。

 入らなければ大丈夫だよね?

 指先が箱に触れる。

 もう少し。

 私は身体を乗り出して手を伸ばすしたそのとき、背中に何かがぶつかってきた。

 ウサギのお母さんが倒れてきたのだ。


 嘘!


 私はバランスを崩し、部屋の中に入ってしまった。

 激しいめまいと吐き気を覚え、すぐには身体を起こすことができない。

 ようやく後ろを振り返ったときには、ドアは消えてどこにも無かった。



 やっぱり、罠だよね。

 当然じゃない。

 隣にある箱を開けると、引き出しに入っていた宝石と同じような石が出てきた。

 あ、これって魔力が結晶化したものなんだ。

 色の違いはわからないけれど魔力の強さによって、大きさや輝きが異なっている。

 MSGだと、魔晶石って言ったかな?

 色は赤だけだったけれど。

 これを集めてガチャを引いたり、装備品を作る時の素材としても使う。

 プレイヤー同士での取引はできなく、クエストで集めるか課金して購入する、通称魔石。

 使う方法はあるかな?

 ここで使うことができたなら、出られるかもしれない。

 真っ白な空間を見渡す。

 壁もなくなったのか、広さや大きという感覚もわからなくなっていた。

 念の為、魔石を1つ残して5歩程後ろへ下がる。

 さっき、ここら辺にドアがあったはず。

 手を伸ばしても、壁もドアらしきものもなかった。

 諦めて、元の位置まで戻ると、溶けるように魔石は消えた。


 今の行動で、使ったことになるの?

 ただ、消えただけ?

 残りは6個。

 無くなるまでに、出なくちゃ。

 それとも、ここからは出られないのかな?

 何をどうすればいいのか、全くわからない。


 白一色の部屋に、私と黄、赤、青、緑、橙、無色の6個の魔石が転がっていた。

 出られないのなら魔力の暴走が起きても、誰にも迷惑をかけないかも。

 案外、その為の部屋だったりして。


 マキシ様の言う通り、ウサギの家に閉じ籠ってしまったわね。

 あはは。ははは。


 乾いた笑い声が、反響してこだました。



 まただわ。

 体が脈打ち始め、魔力が放出し始める。

 激しくなる痛みで動けないでいる間に、魔石は3個消えていた。

 いつのまにか髪はほどけ、銀色に鈍く光り出す。



「エル・ディ・サージュ・ベント」



 不思議と魔法は発動しなかった。

 暴走ではないの?

 手のひらを見ると、心なしか小さくなっている気がするわ。

 魔力が抜けていく感じがするのと関係があるの?

 体が重くて動くことができなかった。

 


 魔石がまた1つ消え、残りは2個。

 誰か気付いてくれるかな?

 って、無理だよね。

 都合のいいことなんて、そうそう起きるはずがないもの。

 ここのドアが消えているんだから、きっとウサギの家にあったドアも消えているわ。

 どれだけの時間が経ったのだろう?

 魔石が消えたら、私も同じように消えるのかな?


 ようこそって書いてあったわよね。

 私はどこへ招かれたの?



 元の世界には戻れず、主人公じゃないから仕方ないのかもしれないけれど、恋だって成就していない。

 自然からのプレゼントだって言われた皆既日食は、一体、なんの罰ゲームなのよ。


何とかこの話だけでも投稿できました。

明後日からしばらくは(家族が)時間が取れるので、まずはPCの設定を何とかやってもらわないと。


お読みいただきありがとうございますo(^▽^)o

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