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エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
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6.イメージチェンジとは、激しく姿を変えること

 リリアーナの定番カラーだった青い制服を着て、ミセスブラウンに髪を整えてもらう。

 アレフ様に会いに行くのだから、ゲーム設定のままで行った方がいいだろうと思って。

 さすがにツインテール&縦ロールは嫌だけど、仕方がない。

 これで髪が金髪だったら、悪い世界の住人と戦うレモンの戦士になってしまう。

 弾けていいのはJC(女子中学生)までよ。


 明日からは、ツインテールだけにするか、纏めずにそのまま流すことにしよう。

 制服も違う色を着てみよう。

 今日はリリアーナとして会いに行くけれど、明日からは私を見てもらうんだ。

 そう、私は決意を新たに学園に向かった。



 チャイムが鳴ると同時に、私は立ち上がった。

 さっそくアレフ様の所に会いに行こう。

 折角だから、ランチを食べながらお話するのもいいわよね。

 私は急いでアレフ様がいる華組に行く。

 エストレイラ学園は1学年に3クラスあり、アレフ様は主人公と同じく3年間華組、リリアーナは1年が雪組、2,3年は華組となる。

 あと、もう1クラスはそら組で、所謂、問題児クラスと言う設定だ。

 華組のドア付近にはカフェに向かう生徒が列になって出てきた所で、中に入ることはできなかった。

 出て行く生徒の中にアレフ様がいないようだったので華組に入る。


 ざっと見たところ、男子生徒は2人、その近くに女子生徒が5人程いた。

 男子生徒の1人は、攻略対象キャラの1人で、クリフトス・ナシオナル様だ。

 短い淡いブロンドの髪を癖のようにツンツンとハネてさせている。

 少し釣り上がった瞳は、サファイアのような澄んだ青い色をしている。

 彼は現国王の弟で、ソルーア王国宰相であるナシオナル公爵のご子息様。

 王位継承権第5位でアレフ様の従兄弟だ。

 

 ほっとけねーんだよ、おまえのこと。

 だから、俺のそばから離れるんじゃねーぞ。


 いけないいけない。

 また遠い世界に旅立っていたわ。

 気を引き締めてもう1人の男子生徒を見ようとしたけれど、女子生徒に囲まれているし、更に机に突っ伏しているようだった。

 完璧な王子様設定のアレフ様がその様なお姿を周囲に見せるのかしら?

 もしかして、入れ違いになったかな?

 疑問に思い近くへ行くと、クリフ様が私に気付いた。



「リリアーナ。どうしたんだ?」


 

何て言おうか少し迷っていたら、机に突っ伏していた男子生徒が顔を上げた。



「りり、あーな?」


 じっと見つめてくるその男子生徒は、明るい輝くような茶色の髪をソフトモヒカン? とにかく髪をジェルかワックスで上に立たせたような髪型、深い濃紺のような瞳だった。

 誰だろう?

 ゲームには出てこないクリフ様のお友達かな?

 ちょっとかっこいいなーって思いつつ、クリフ様に向き直る。

 さぁ、リリアーナを演じるのよ。



「ごきげんよう、クリフトス様。私、アレフレッド様にお話があって参りましたの」


「ああ、そっか」



 そう呟くように言うと、クリフ様は隣のモヒカン男を見る。

 不思議に思いながらも、クリフ様の視線を追って同じく隣のモヒカン男を見ると、



 「お前もかよ。俺に何の用だよ」



 と、言ってまた机に突っ伏していた。

 前言撤回。

 少しムッとした私は


 

「誰ですの? この方は」



 私の言葉に、クリフ様は一瞬キョトンとした顔して大笑いしだした。



「ップッハッハッハハッ。アレフ、ご婚約者様(フィアンセ)もお前がわからないらしいゾ!」


「なんだよ! え? 婚約者? 俺の?! コイツが?!」


「ええ?! こちらがアレフ様?!」



 思わず2人でお互いを観察するように見合う。

 そう見たら、明るい茶髪と言うよりは金髪のような……。

 深い濃青色の瞳もラピスラズリとも言えなくない。

 でも、ゲームでは短いベリーショートのサラサラヘアーを風になびかせている彼が、ジェルでガチガチに固めた髪なのはなぜ?

 しかも、制服は青い制服を着ていたハズなのに、彼は黒い制服を着ている。

 ただただ、驚きのあまり言葉を失っていると、クリフ様が女生徒たちを連れ出すように教室から出て行ったようだ。



「リリアーナが驚くのはわかるが、なんでアレフまで……?」



 クリフ様の呟きは、私とアレフ様には届かなかった。

お読みいただきありがとうございます。

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