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エクリプス  作者: 元蔵
第2章 全身全霊をかけてあなたについていきます
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40.はっぴーたいむ 幸せな時間

「リリアーナ!」



 呼ばれて振り返ると、シャムエラがストロベリーブロンドが目を引く、女子生徒と一緒に、こちらへ走ってきていた。

 


「ごきげんよう、シャムエラ様」


「こんにちは。リリアーナ、エイミー。これからカフェに行くなら、私たちも一緒にいい?」


「ええ。ぜひ。ところで失礼ですが、そちらの方は?」


「あ、ごっめーん。紹介してなかったね。友達のメリッサよ。同じクラスなの。で、こっちは雪組の、リリアーナとエイミーよ。」



 シャムエラが言うと、紹介されたメリッサが少し前に出てくる。



「はじめまして、メリッサ・ファジアーノです。どうぞ、よろしくお願いします」



 ファジアーノ?

 聞いたことが無いわね?



「こちらこそ、はじめまして。リリアーナ・ベンフィカでございます。よろしくお願いいたします」


「はじめまして。わたくしは、エイミー・フォーセットでございます。よろしくお願いいたしますわ」


「え? リリアーナ・ベンフィカ様です? ベンフィカ侯爵家の?」


「ええ。そうですわ。我が家をご存知なのでしょうか?」



 もしかして、知り合いだったのかな?

 一瞬、不安に思ったけれど杞憂だった。



「そうよ。リリアーナは、アレフレッド殿下の婚約者フィアンセなの」



 シャムエラの言葉に、やっぱりですか、とメリッサが言う。

 なんだ。

 知り合いって訳ではなかったのね。

 メリッサは、婚約の事を知っているだけだったみたいね。



「実はね。私たち、殿下のあの騒動で仲良くなったのよ」


「ええ。席が近かったんです」



 お互いの顔を見合わせながら言う様は、とても微笑ましい。



「そうでしたの」



 不幸中の幸いとでも、言うのかな?

 そう言えば、アレフ様と席が近い女子が口ぐちに不満を言っていたよね。

 その中の1人だったのかな。



「あの時は、他のクラスの女子生徒が沢山華組に押し寄せていらっしゃったから、大変でしたでしょう?」



 エイミーが話しかけると。



「ええ。他のクラスだけではなく、2、3年生も来ていたので怖かったです。」


「あの後にも何人か来て、ベンフィカ嬢から許可を頂いたって言う人もいたの」


「そうです。それを聞いて、アレフレッド殿下がとてもお怒りになったんですよ」


「そんなことがあったのですか?」


「うん。クリフトス様が宥めて事なきを得たって感じです」


「まぁ。結果的に、それからは静かになったんだけどね」



 シャムエラとメリッサの話に、私とエイミーは顔を見合わす。

 全く知らなかった。



「アレフ様もクリフ様もそのようなことがあったなんて、一言もおっしゃらなかったですわ」


「んー。言えないんじゃない? 恥ずかしくて」



 うんうんと頷きながら、メリッサが続けて話す。



「アレフレッド殿下とクリフトス様も教室で魔法を使ってしまったんです。先生にバレないように、ロイク様が魔法で治癒したんです」



 アレフ様は、そういうキャラじゃないはずなんですけれど。

 苦笑いをしていると、エイミーがロイク様について聞いていた。

 癒の魔法を使えるのは限られた人だけ。

 その癒魔法を使えるって、やっぱりすごいわよね。

 話してる間にカフェへ着く。

 それぞれ注文をしながら、生徒手帳を機械にピッと翳す。

 適当な空いてる席に座ると、マキシ様がお水を運んできてくれた。

 たった数日見かけていなかっただけなのに、とても久しぶりな気がするわ。

 エイミーの頬がうっすらと朱く染まるのが見えた。

 自分の事じゃないと冷静でいられるよね。



「いらっしゃいませ」


「ごきげんよう、マキシ様」


「新入生歓迎ダンスパーティはいかがでしたか?」


「エスコートはしてもらえましたわ」


「そうでしたか。それは、私としては少し残念ですよ。せっかくお慰めをするチャンスでしたのに」


「まぁ。ご冗談が過ぎますわ」



 私の言葉に薄く笑って、今日のマキシ様は早々に離れて行ってしまった。

 お忙しかったのかな?

 エイミーの為にも、引き伸ばしたい所なのに。

 エイミーを見ると、心なしか残念そうにしている。



「ごめんね。失敗しちゃって」


「え? 嫌ですわ、リリアーナ様。何のことですの?」



 ごまかしきれていない様子が見え見えだった。



「リリアーナ、気にしないの! ダンパでエイミーはモテモテだったのよ!」


「まぁ。クラウディオ殿下とジョナス様と踊っていたのは見かけたけれど、他に、どなたと踊っていたの?」


「シャムエラ様! な、何を突然、言い出すのでしょうか。リリアーナ様、誤解ですわ。クラウディオ殿下は、リリアーナ様とよく一緒にいるわたくしを、気に掛けてくださっただけですわ」


「でも、とてもダンスを褒めていらっしゃったわよ。雪組の男子生徒全員から申し込まれていたよね。申し込むのも順番待ちで、諦めてため息をついている人もいたわ。それに比べて、私はクラウディオ殿下の足を踏んでしまって、血の気が引いちゃった」


「え? シャム、クラウディオ殿下って、この国の第1王子様ですよね? とんでもないことをしちゃったんじゃないですか?」


「やっぱりそうだよね。『無礼講だから気にしなくて良い』って笑って言ってくれたけど、どうなんだろう!」



 テラスにいる間に、そんなことが繰り広げられていたなんて。

 見てみたかったなぁ。

 気付けば、ロビンさんが料理を運んできてくれて、テーブルに並べていた。

 目が合ったので軽く会釈をすると、返すようにロビンさんは青い瞳を細め、軽く微笑んでくれた。


「ごゆっくりどうぞ」



 と、話の邪魔にならないように小さく言って足早に去って行く。



「ねぇ。お料理も来ましたし、いただきましょう。そして、エイミーの雪組男子全員と踊った話を詳しく教えていただきますわ!」


「まぁ。いつの間に。マキシ様が運んでくださったのでしょうか?」



 テーブルの上に並ぶ料理を見て、驚いた様な、残念そうに言うエイミー。



「運んでくださったのは、ロビンさんだったわ。私たちのお話の邪魔にならないように、並べられて行かれましたわ」


「へぇ。そうだったのね。じゃ、いっただきまーす」



 元気なシャムエラの声を筆頭に、私たちも料理を食べ始める。

 メリッサはほとんどダンスをせず、料理を食べたり、テラスにいたみたい。

 エイミーは、私が中央で踊るだろうと、ホールの中央が見える所でいるために踊り続けていたと話す。

 決して、ダンスに夢中になっていた訳ではありません。と、顔を赤らめていた。

 シャムエラはアレフ様が気付いた通り、何度も相手の足を踏んでしまったそうだ。

 私には優雅に踊っているように見えていたのに。

 料理も大体食べ終わったところで、シャムエラとエイミーが顔を見合わす。

 何かな?



「ところで、リリアーナは殿下とホールから出て行っちゃったけど、何をしていたの? 色んな噂話が飛び交っているのよね」


「色んな噂話?」


「ええ。テラスで、その。人目も憚らず……って、聞いたのですが」



 遠慮がちに目を伏せて言うエイミーの言葉に、私はテラスでの出来事を思い出す。


「あ……」



 一気に恥ずかしくなって目を逸らす。



「リリアーナ。誤魔化そうとしても、誤魔化されないからね。絶対に話してもらうんだから」


「ふふ。リリアーナ様。真っ赤になっていますわ」



 シャムエラとエイミーの言葉に、何て言って話を逸らそうかと考えている私に、メリッサの言葉が耳に入る。



「実は、私。テラスで覗いていた1人なんですよね」


「覗いていたって、何を?」



 私たちがテラスに出たときは、人は結構いたけれど、庭園にはあまり生徒の姿は少なかったはずだわ。

 それに、結構遠くまで歩いたし。



「わ、私の口からは言えないです。リリアーナ様ご本人の前で、殿下と一緒にテラスを散歩される2人の後を、沢山の人が追いかけていたなんて。私も付いて行った内の1人だなんて」



 はいーー?



「う、うそ。嘘よね?」


「何とお話されていたのかは、私の所までは聞こえなかったのですが、私よりも近くにいた方たちは、何てお話されていたかも聞こえていたそうですよ。伝言ゲームの様に伝わってきましたから」



 うっとりと話すメリッサ

 そんな。



「私としては、リリアーナ自身の口からぜーんぶの詳細を聞きたいわ」



 こんなときに、主人公オーラ全開で言わないでよ。



「わたくしも、リリアーナ様自らの言葉で教えていただきたいですわ。その、わたくしをお友達と思ってくださっているのなら。親友だと、わたくしは信じておりますわ」



 チラっと上目遣いで言うエイミー。

 何、その、友達なら話せるよねみたいな。話してくれないと、親友じゃないよ的な発言は。

 当たり障りのない言葉を探そうとして、テラスでの一時を思い出す。

 その瞬間に、キスのときに感じた甘い胸の疼きが生じた。

 思わず、胸元に手を当てたけれど、吐き出した息と共に熱を帯びたような声が漏れる。

 振り返って私を見る、男子の姿が見えた。



「ちょっと、リリアーナ。そんな色っぽい声出して、じらさないでよ。すっごく気になるじゃない」


「じらしてなんか、いませんわ」


「私たちの話を聞いたんだから、リリアーナも話してよー」



 困っている私に、救いの声が入る。



「おやおや。とても楽しそうですね」



 顔を上げると、いつの間に来たのかシャムエラの横に、ルカ・ユベントス先生が立っている。



「ルカ先生」



 シャムエラが驚いたように呟く。



「どうですか?よろしければ、私の準備室でお茶でも飲みませんか?」



 突然のお誘いだった。



「いいんですか?」



 シャムエラもメリッサも驚いているみたい。

 ルカ先生の準備室に誘われるのは、初めてなのかな?

 私も、複数のグループで誘われることに驚いていた。

 君セナでは、主人公と2人きりのときにしか誘われたことがなかったから。

 けれど、この手に乗らない訳はないわ。



「ありがとうございます。ルカ先生。食事も終わりましたし、是非、ごちそうになりたいですわ」


「そうですか。そう言ってもらえますと、何だか私も嬉しいですよ。では、行きましょうか」


「はい」


 笑って返事をする私とは裏腹に、シャムエラとエイミーは何か熱い闘志を燃やしているようだった。



 席を立った私たちに、ロビンさんが少し離れた所でお辞儀をしてくれていた。

 マキシ様の姿を探したけれど、見つけることはできなかった。


投稿を始めてから、約2ヶ月が経ちました。

先週は、家族が骨折をしたり、家族の誕生日があったりと個人的なことで投稿できない日々が続いてしまいました。

すみません。

途切れてしまうと忘れられていないか、少し不安になりますね。

そんな訳で、こんな時間(4:20am)に更新してます。

これから仮眠取って仕事かぁ。

サブタイだけは申し訳ありませんが、仕事中にでも必死に考えたいと思います。


この話で、40話となりました。

ブックマーク、評価、感想、質問など、ありがとうございます。

そして、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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