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エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
33/98

33.意中の人以外からの壁ドンは、恐怖でしかありません(イケメンでも不可)

 新歓ダンパ当日。



 昨日の夜からマッサージです、エステです、と身体をもみくちゃにされ、夜は夜で気が休まらず、よく眠れなかった。

 食事もコルセットを付けることを考慮してか、コラーゲンや酵素が入ったスムージーとビスケットのみ。

 おいしいけれどすぐに飽きてしまって、多くは食べられない。

 


 新歓ダンパはアレフ様よりも、他のキャラの出会いが中心だし、1年目のリリアーナは片隅にも出てこないけれど、こんな大変な思いをしてダンスパーティに参加していたの?

 主人公じゃないから仕方ないのかもしれないけれど、ゲームでも語られないなんてリリアーナは不憫ね。



 そんなことを考えていたら、マッサージの最中に眠ってしまっていた。



「お嬢様。そろそろ起きてお支度を始めませんと、殿下がお迎えに来てしまいますよ」



 ミセスブラウンに揺り起こされて、私は流れ作業のようにバスルームへ連れられ、バラとオレンジの香りがするオイルを全身に塗り込まれる。

 入浴は必ず1人で入っていたのに、マッサージ等を受けているうちに羞恥心は捨て去られてしまったよう。

 柔らかなバスローブを着せられて、早めの夕食となった。



「会場でも食事はございますが、あまり食べる時間はないと思われます。今、お食べにならないと恥をかくことになりますよ」



 ミセスブラウンは、サンドイッチと赤、黄、緑色のスムージーを運びながら言う。



「食べたくなかったわけでもないのだけれど、ビスケットじゃ飽きてしまって、沢山は食べられなかったのですわ。いただきまーす」


「言葉は伸ばしませんよ」


「ふぁい」



慌てて返事をすると、更に怒られてしまった。



 ちょっとした休憩の後、今度は着替えが始まる。

 ビスチェタイプのコルセットを付けられ、背中や腕の元々少ない贅肉をかき集められバストメイクをされる。



「い、痛い。いたた」



 思わず、声に出すと、



「お嬢様、我慢くださいませ」



 その一言で済まされてしまった。

 恥ずかしいし、こんなことしなくていいのに。



 その後、着替えが終わり、髪型は右サイドアップにして毛先を巻いて少しだけ垂らす。

 私の目の色に合わせ、エメラルドで作られたアクセサリーを付け、唇にはグロスをつける。

 昨日からのエステが功を奏したのか、濡れたようなグロスの艶で特別なメイクをしなくても、とても美しく仕上がっていた。

 支度が整い、部屋にある大きな姿見の前でクルリと回れば、青いドレスが軽やかに舞う。

 最初は不安で仕方が無かったこの世界だったけれど、新歓ダンパがあったから、悲観するのを止めれたのよね。

 元の世界では、ダンスパーティなんて出たことが無い。

 ダンスと名が付くものは、フォークダンスくらい。

 フォークダンスは男子と手を繋ぐのが恥ずかしかったな。

 今夜はダンスが楽しみなのは勿論、シャムエラやエイミーが誰と踊るのかも興味がある。

 早く時間にならないかな?



 クルクル回っていたら、ふと、何か大事なことを忘れているような気がした。

 何だろう?

 少し考えても思い出せない。

 思い出せないってことは、重要ではないわね。

 再び、クルクル回りだすと、



「お嬢様。いまからそんなに動き回っていますと、早々に疲れてしまいますよ」



と、ミセスブラウンに窘められてしまった。



 17時を少し過ぎたところで、アレフ様が到着したと連絡が入る。

 私はミセスブラウンに連れられて、寮のエントランスまで降りて行った。

 会場は18時からだからまだ早い時間なのに、3~4人の男子生徒が正装をして迎えに来ている。

 まだ少し早い為か女子生徒の姿は無く、それぞれ意中の人が来たのかと思ったのか、私に注目が集まった。

 よっぽど退屈していたのか、頭の先から靴の先まで見られてるのを感じ、気恥ずかしさよりも少し怖く感じる。

 私は元々地味なタイプだったので、あまり注目を浴びたりする経験がほとんど無かった。

 今の私は杉本和香ではなく、リリアーナ・ベンフィカ侯爵令嬢よ。

 どんなときでも、堂々としていなければ。

 俯きがちになった顔を上げると、ため息が聞こえた。

 外にいた男子生徒も中に入ってきたのか、人数が15人位に増えている。

 結構頑張ったのに、ため息をつかれちゃうのね、と、私はちょっぴりブルーになった。



 階段を降りてすぐのところに、アレフ様がいる。

 私に気付いたアレフ様がこちらを見上げると、髪がさらっと流れるように動く。

 普段とは違い、ゲームの様に髪をそのまま自然に流していたのだ。

 ただし、服装はゲームでの1年生の新歓ダンパの服装では無く、黒のタキシード姿だ。

 よく見ると、ベストと蝶ネクタイだけが深緑色だった。

 もしかして、私の瞳の色に合わせてくれたのかな?

 目が合うと、優し気に微笑まれる。

 その姿は、ゲームでのアレフ様そのものだった。

 アレフ様の前まで行くと、私の前を歩いていたミセスブラウンが、後ろに下がる。



「お待たせしました」


「ああ。待ってはいないよ。準備があるとは言え、早い時間に悪いな」



 私たちは、アレフ様が新入生代表の挨拶がある為、開場の30分前に会場入りすることになっている。



「挨拶がありますもの。仕方がありませんわ。それに本音を言いますと、開場前に入れるのですから、とても嬉しいです」


「そう言ってくれたら助かるよ。じゃ、行こうか」


「はい」



 差し出された腕に手をちょこんと乗せて、私たちは寮を出る。

 視界の隅で、静かに頭を下げているミセスブラウンの姿が見えた。



 寮から新歓ダンパ会場の、学園ホールまでの距離をゆっくりと歩く。

 まだ開場まで1時間程あるけれど、何組か着飾ったカップルがいて、私たちを見ているようだった。

 私は注目されることに慣れていないけれど、アレフ様に気にした様子は無く、平然としている。

 威風堂々と歩くアレフ様と一緒に歩く私は、周りから見てお似合いのカップルに映っているのかな?

 それとも、やっぱり不釣合いに見えるのかな?

 見た目はリリアーナだけど、中身は違う。

 本人だったら、見られているのに気付いて微笑みかけるくらい造作もないことだろう。

 元々、クラスでも目立たない存在の私は注目されたことがないので、どうしてもおどおどとした態度が出てしまう。

 きっと今も、少し見られているだけなハズなのに、不安が押し寄せてくる。

 私はリリーでしょ?

 頑張って、微笑みかけるのよ。

 意を決して顔を上げたものの、たった数人の視線に耐えられず、私は顔を俯かせる。

 助けを求めるように無意識のまま、アレフ様に添えた手で服の袖をにぎるように掴んでいた。



「今日は、とても綺麗だよ」



 私を見ないで、ポツリと言ったアレフ様が言葉を、私は聞き取れなかった。



「あの、ごめんなさい。聞いてなくて。なんですか?」



 やはり、私を見ないけれど、それでも繰り返し話してくれた。



「ああ。その、今日は、とても綺麗だよ、って」


「えっ! あの、その……」



 突然の言葉に何て言ったらいいのか、わからない。

 女子同士だと挨拶みたいに言い合うけれど、男子から言われたことは当然無かった。



「えっと、今日はって言ったけれど、その、いつも綺麗だよ。ただ、今日はいつもより特別に綺麗だよ」



 私の言葉に勘違いをしたのか、アレフ様は慌てたように言った。

 その姿に、緊張しているのは私だけじゃないんだね。

 そう思うと、自然に言葉が出た。



「アレフ様も素敵ですよ。勿論、いつも素敵ですが、今日は特別に」



 恥ずかしくて、はにかんだような笑顔しか作れなかったけれど。



「本当だったら、最初に言うべき言葉なんだろうけど、さすがに少ないとは言え、人前で言うのは少し、憚られてな。悪い」



 相変わらず私を見ないアレフ様は、ほんのりと頬を朱く染めていた。



「ふふ。今日は謝ってばかりですね」


「ああ、そうだな」



 穏やかに2人で笑い合う。

 そんな私たちを、羨望のまなざしで見ているカップルたちに、私たちは気が付かなかった。



 その後も他愛のない話をしながらホールへ行く。

 挨拶のリハーサルがあるアレフ様と一旦別れ、私は邪魔にならないよう、少し離れたところに立っていた。

 クラウディオ様や先生がたとお話をしているアレフ様の姿を見ていると、ジョナス様が私を気にかけて来てくれる。



「アレフレッド殿下をお借りしてすまないな」



 ジョナス様は持っていたグラスを渡してくれた。

 私は受け取って答える。


「ありがとうございます。アレフ様のお勤めですもの。構いませんわ」


「そうかい? 少し退屈そうに見えたぜ、リリアーナ」


「退屈なのは、その通りですわ。私だけ、蚊帳の外なのですから」


「ハハッ。ではその間、俺が相手をしてやろう」



 ドキっとする気持ちを押さえつけ、にこやかに私はゲームのリリアーナのセリフで答える。



「光栄でございますわ、ジョナス様」


「へぇ。今日の君はいつもと違うな。麗しきプラチナブルー。神秘の青いバラの呼び名に相応しい」


「ありがとうございます。ジョナス様」



 答えながらも、私は思わず一歩、後ろに下がる。

 ゲームでなら『キャー!!』と身悶えするセリフも、直接言われると対応に困る。

 気付かれないように下がったつもりだったけれど、ジョナス様は私が下がったよりも大きく一歩、前に詰め寄った。

 気付かれているなら、ともう一歩下がろうとして壁に背がぶつかる。

 あっ! と思ったときには右手を取られていた。



「思わず、手折りたくなる美しさだな」



 私の様子に目を細めて笑うジョナス様。



「どうだい? アレフレッド殿下と踊った後に、俺とも踊ってくれないか?」


「いいえ、け、結構ですわ」


「新歓ダンスパーティだ。アレフレッド殿下に遠慮する必要も無いだろう。逆に君が、アレフレッド殿下を放してやらないと、怖いお姉さま方に睨まれてしまうぜ?」



 それも怖い。

 怖いけれど、今の状況をどうやって切り抜けよう?

 壁とジョナス様に挟まれて、身動きも取れない。



「ジョナス、こちらに来てくれ」



 クラウディオ様の声だ。



「クラウディオ殿下がお呼びですよ」



 震える声で私が言うと、ジョナス様は後ろを見て、肩を竦める。



「やれやれ。タイムオーバーか。またな、リリアーナ」


「はい。飲み物を、ありがとうございました」


「ああ」



 ジョナス様が離れていくのを見て、ようやく安堵する。

 壁にもたれたままだったのに気付き、身体を起こす。

 ふと、鋭い視線に気付いて顔を上げると、アレフ様が睨むように私を見ていた。

 私と目が合うと、アレフ様は視線を背けるように変えた。



「アレフ様……」



 思わずつぶやいた私の声は、誰にも届かない。

 アレフ様は挨拶の準備が終わるまで、私の方を見ることは無かった。

言い訳します。

リリアーナの髪の色であるプラチナブルー。

そのプラチナブルーで検索すると、青いバラがHITするのですよ。

何年か前に開発が成功したと記事に見ましたがプラチナかブルーでHITするみたいですね。


……何が言いたいかと申しますと、リリー(百合)なのに、バラ。

そして、皆さまの中には、「青いバラ」で思い浮かぶ方がいらっしゃるであろうこと。

……削除対象にならないか、必死にヘルプを見てからの投稿です。

タグに『ネオロマンス』と入れたらもう、アウトですよね(笑)。


お読みいただきまして、ありがとうございます。


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