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エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
20/98

20.負けないんだから! 明日から・・・・・・

 帰ろう。

 今日のところは、邪魔をしないであげる。

 そう。

 邪魔をしないであげるだけよ。

 アレフ様には私もアタックし続けるんだから。

 繰り返し自分に言い聞かせて、私の部屋がある寮に戻ることにした。



 遠いなぁ。

 ゲームだと、行きたい場所を選択すれば、一瞬で画面が切り変わるのに。

 しばらく歩いていると寮のある方向から、黒髪の背の高い男性が歩いてくる。

 王族の誰かに用があるのだろうか?

 近付いてきて、顔がハッキリとわかるようになってきた。



 ジョナス様だ。

 ソルーア王国軍の元帥である、プライア公爵家の長男。

 2年生の生徒会副会長、ジョナス・プライア様。

 生徒会長である、クラウディオ様にご用なのかな?

 2人は学年が違うけれど、とても仲が良く、お互いを信頼しているのよね。



 剣の柄を握る主人公プレイヤーの手を上から、触れるように優しくにぎりしめ、反対の左手はさり気なく腰に回して抱き寄せて囁くの。


 この剣に誓おう。俺は生涯、君だけを愛しぬく。と


 目を大きく見開く主人公が頬をポッと染めて頷く。

 俯いた顔をジョナス様が指で軽く上向かせ、恥ずかしそうに見つめる主人公だが、恥ずかしさのあまり目を閉じてしまう。

 その様子に、紫色の瞳を細めて笑うジョナス様。

 2人は更に寄り添っていき、ジョナスの後ろ姿が画面一杯に広がる。



「おい」



 そんな私の回想は、簡単に吹き飛ばされてしまった。

 目の前に厳しい表情をしたジョナス様が立っている。



「はい。なんでしょうか」



 本人を前にしてエンディングシーンを回想していたからか、何となく疚しい気持ちになる。

 そんな私の気持ちを知らずしてか、ジョナス様は怪訝そうな声で言う。



「君がいた方向は、一般生徒は立ち入り禁止になっている。知らなかったのか?」


「申し訳ありません。アレフレッド殿下に用事がありましたので。立ち入り禁止とは知りませんでした」


 言い終え、ぺこりとお辞儀をする。

 後ろで1つに編み込んだ三つ編みがパサっと落ちた。



「ん? その髪の色は。もしかして、ベンフィカ嬢か?」


「はい。私は、リリアーナ・ベンフィカでございます。ジョナス様」


「そっか。ベンフィカ嬢だったのか。髪型が違うから、誰だか気付かなかったぜ。すまなかったな」


「いいえ。構いませんわ」


 先程の厳しい表情から、穏やかな笑顔のジョナス様。

 一瞬、回想していたエンディングムービーを思い出してしまうわ。


「ジョナス様はクラウディオ様のところへ行かれるのですか?」


「ああ。生徒会のことで確認したいことがあってな」



 ハラリと落ちた髪を無造作に掻き上げる姿もサマになっている。



「そうでしたか。それでは、私はこれで」



 そう言って、頭を下げる。



「ああ。またな」


「ごきげんよう」



 歩き出しても、しばらくはジョナス様の視線を感じて、少し緊張気味に歩く。

 笑うととても優しげな表情なのに、普段は少し鋭い目つきのためか、きつめの印象を受ける。

 視線を感じなくなったので後ろを振り返ると、丁度、ジョナス様が歩き始めたところだった。




 部屋に戻り、机に向かう。



 これまで会った攻略キャラは、10人の内4人。

 魔法学教師のナザリト先生。

 第2王子様のアレフレッド殿下。

 宰相のご子息のクリフトス様。

 元帥のご子息のジョナス様。

 隠しキャラ2人の内の1人、第1王子様のクラウディオ様。 

 ふと、マキシ様のことを思い浮かべる。

 カフェでのこと。

 もしかして、彼は隠しキャラの1人だったのかも、と。



 私が君セナの世界に、

 ううん。

 この『君セナっぽい世界』に来てから、5日が過ぎた。

 皆既日食が起こった元の世界と同じ、4月9日からこの世界での生活が始まったのだ。



 君セナのゲーム開始日は4月1日の月曜日。

 学園の入学前はムービーが流れ、実際プレイ開始は入学式からとなる。

 入学式は4月5日。

 4月9日から始まったのは、やはり、もとの世界と同じ日だったからだろうか?



 4月9日。



 そこで、ふと思い出す。

 そうだ、私がプレイしていたゲームでの日時が、4月9日だった。

 と、言うことは……コレは私がプレイしていたゲーム?

 ううん、やっぱり変よ。

 ゲームなら、私とシャムエラが会うのは同じクラスになった2年生のときのハズ。

 どのルートをやっても、1年生で私とシャムエラが会うことはなかったのだから。

 それとも、攻略キャラクリアーした後のセーブデータだと、違うのかな?


 ダメね。

 考えても答えが出ないんじゃしょうがないじゃない。

 気分転換に散歩に行こう。

 ミセスブラウンに声をかけてから、外を出た。

 柔らかな日差しが降り注ぐ。



 森に行けば、クリフ様はまだお昼寝中かな?

 散歩をするのに森っていい場所よね。

 確か、大きな池があったし、もしかしたら桜も見れるかも。

 よし、森に行こう。

 目的地を決めると、私はさんぽを口ずさみながら歩き出す。

 くよくよしたって、しょうがないもんね。

20話となりました。

もう少しキリのいいところで終わらせる予定だったのですが……。

お読みいただきありがとうございます。


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