表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
16/98

16.秘密の場所

投稿が遅くなってすみません。

これからは不定期に更新することが多くなります。

ご了承ください。

 翌日。



 金曜日の今日は、午前授業で終わり。

 曜日の感覚は日本と一緒で、土日はお休みになる。

 その為、週末を家で過ごす生徒も多く、金曜日の午後は比較的、カフェが空いていた。



「お待ちしておりました。リリアーナ様、エイミー様」



 入り口にマキシ様が立ち、優雅にお辞儀をしている。

 いつものスーツではなく、燕尾服と言うのか、とてもフォーマルな装いだ。

 マキシ様の隣には、ゲームにも登場しているボーイもいて、彼も同じ服装だった。

 王族専用スペースでも、カフェの制服は同じスーツだったような?



「今日は、お願いを聞いていただきまして、ありがとうございます」



 私たちがお礼を言うと、



「いえ。私どもも、楽しみにしておりました。では、ご案内致します」



 私たちの手を取り、マキシ様方の案内の元、2階へと上がる。

 そして、並ぶ個室の一番奥へと進み、部屋に入ると下へ降りる階段があった。



「階段?」



 驚いて、出てしまった疑問にマキシ様が答えてくれる。



「はい。私たちの大事なお客様だけをご案内する、特別室でございます」



 王族専用スペースじゃないの?

 エスコートされながら階段を降りると、どことなく淡いピンク色で統一された部屋に着く。

 可愛いカフェカーテンがかかる大きな窓の向こうには、満開の桜が1本見える。



「きれい……」



 思わずつぶやくと、後ろから



「本当。綺麗ですわね」



 と、エイミーも桜にくぎ付けになったように見て言った。



「お気に入ってもらえて光栄です。こちらの枝垂桜は、学園が創設されたときに植樹したものですが、カフェの増改築により、このお部屋からしか見ることができなくなっているのです」


「こんなに見事なのに、ほとんどの人から見てもらえないなんて」



 よく見ると、桜の周囲は他の種類の木とその奥に窓の無い壁が続いている。

 私たちのいる特別室に、小さい森。

 この部屋からか、森から見ないと、この桜は見れないだろう。

 更に、桜は咲いている期間が短い。

 昨日、マキシ様にお願いしていなければ、この桜を見ることはできなかっただろう。



「今日は趣向を凝らして、こちらでお寛ぎいただきたいと思います」



 マキシ様がドアを開け、桜が咲いている中庭へ案内してくれる。

 付いて行くと、桜のそばにラグやクッションが沢山置かれていた。

 そっか。

 お花見だ。

 私たちがクッションの上に座ると、マキシ様方は建物に戻る。



「驚いたわね」


「ええ」



 森の奥には大きな池があり、岸辺には色とりどりのチューリップが咲いている。



「王族専用スペースじゃなかったね」


「そうですわね。王族専用スペースも見たかったですが、こちらも素敵ですわ。今日は、この特別室に案内していただけたことが嬉しいですわ」


「そうだね。この満開の桜が見れるのは今だけだし」



 桜を見上げると、春風に垂れた枝が揺れ、花弁がふわふわと舞い降りている。



「お待たせいたしました」



 黒地に白や淡い色で描かれた桜の重箱を持って、マキシ様方が戻ってきた。

 重箱の中には、取りやすいようにカップに入ったちらし寿司や手まり寿司に、煮エビや伊達巻など、お節料理みたいな和食が並ぶ。

 デザートは和洋折衷に、春を意識したケーキやゼリー、お団子が入っていた。



「お花見なのね」



 透明なサイダーに桜の花びらを浮かべたグラスを受け取りながら話す。



「はい。この季節にしか楽しむことができませんから」 


 桜をバックに微笑みながら話すマキシ様。

 まるで、イベントのスチルみたいだ。



「さぁ、どうぞお召し上がりください。今日は、私たちも一緒に楽しませていただきますよ」



 カチン



 乾杯するように私たちのグラスを鳴らしてから、マキシ様は飲み物を飲む。

 どことなく危険な香りがただよう。

 エイミーは完全に見とれてるよ。

 これは、応援してあげないとね!

 ちびちびと飲みながら、エイミーの恋に、ニマニマと笑っていたが全く気付かれないので、私はお料理を食べることにした。

 別に、相手にされなくて寂しいわけじゃないんだからね!

 ぐいっとグラスを傾け、サイダーを一気に飲み干す。

 甘いサイダーの後から、ふんわりと桜の香りが追ってくる……。

 桜は見るのは好きだし、桜餅も大好きだけど。

 苦手なんだよね、桜の味。

 グラスに残った桜の花を、どうしたものかと見つめていると、ボーイがサイダーを継ぎ足してくれた。

 桜の花の追加は無く、ほっとする。



「ありがとう」


「どういたしまして」


「あの。失礼かもしれませんが、お名前を聞いてもよろしいですか?」



 そう言えば、彼の名前は紹介されていない。



「私は、ロビン・フラガと申します。お好きなようにお呼びくださいませ」



 ん?フラガ?

 


「マキシ様と同じ名前?」


「はい。マキシは私の兄でございます」



 ニコッと笑った顔は、どことなくマキシ様に似ていなくもないけど。

 瞳の色がマキシ様の鳶色と違い、ロビンさんは青い。

 マキシ様は青い髪に対し、ロビンさんの髪は茶色だ。


「あまり似ていないね」


「ははは。よく言われます」



 あれ?

 私、変なこと言ってない? 言ってるよね?

 似てる似てないとか。

 笑うロビンさんを見ると、唐突に悲しくなった。



「変なこと言ってごめんね。でも、似てないって、悲しいねっ!っう……」



 涙まで溢れてきた。

 ロビンさんにハンカチを貰って涙を押えるが、全然涙は止まらない。

 なぜ泣いているのかも、なぜ悲しいのかもわからない。

 泣いている私と驚いているロビンさんに気付いたエイミーが、軽やかに笑う。



「まぁ。リリアーナ様。放ってしまって、申し訳ありませんわ」



 と言って、私に抱き付いてきた。



 そっか。

 私はエイミーを取られたから、悲しくて泣いたんだ。

 理由がわかって、私は更に泣き始めた。



「うっ。エイミー、悲しいよぉ~」


 子供のように泣く私をあやし、エイミーは、言った。



「リリアーナ様は泣き上戸なのですわ。本日は、案内していただきまして、ありがとうございます」



 泣き上戸?

 何それ?

 エイミーが私を抱きしめたまま、立ち上がる。



「こちらへ」


「ありがとうございます。ごきげんよう」



 私は、エイミーに抱きかかえられるようにして、寮の部屋に戻ったのだった。

未成年の方はお酒を飲んではいけませんよ(笑)


お読みいただきましてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ