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エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
15/98

15.ゆずれない想い

 私は椅子に座ると、何事も無かったように食事を続けた。

 戸惑った様子のエイミーだったが、ふっと笑って話し始める。



「リリアーナ様、変わられましたね」


「え?」


「話し方や雰囲気もそうですけど。以前は、アレフレッド殿下のことも、何と言うか。誰とお話していても気にされていなかったですわ」



 以前の、リリアーナ本人だったらそうだろうな。

 ゲームの中でリリアーナの恋愛感情を表現しているシーンは特に無いから。

 全てにおいて楽しそうに振舞っては、主人公にダメージを与えるのが仕事であり、役割だ。

 だから、アレフ様が好きになった主人公に興味を持ち、友情エンドにも行き着く。

 婚約者の心が離れても、平気だってことなのよね。



 でも、私は違う。

 私はアレフ様が好き。

 君セナだって、パッケージのアレフ様が気に入って買ったんだから。



「そうね。以前は気にならなかった。だけど、今は――今の私には、アレフ様が特別な存在になってるの」


「まぁ……」



 エイミーは驚いた様子で、目を大きくする。



「だから、アレフ様に『ダンスは嫌だ』と、断られたのはショックだったわ」



 ゆっくり胸の中の息を全部出し尽くすように言って、グリーンティーを一口飲む。

 氷が解けて薄くなっていた。



「そうでしたの」


「うん」



 少し、会話が途切れる。

 綺麗なテーブルマナーで食べるエイミーと、ときどきカチャカチャと音を立ててしまう私。

 多分、リリアーナはもっと上品に食べていたんだろうな。



「でも、ドレスも届いたことだし、OK貰うまで頑張るわ!」



 暗くなりかけていたが、私は明るく宣言する。

 そうよ。

 こんな機会、いつまた訪れるのかわからないんだから。

 女は度胸って言うじゃない。



「リリアーナ様、その意気ですわ」


「ありがとう。頑張るわ」



 そう言って、2人で笑う。

 エイミーがいてくれて、良かった。



「おいしいね」


「当然ですわ。マキシ様が運んでくださったのですから。おいしさも跳ね上がります」



 エイミーの言葉に、つい笑ってしまう。



「マキシ様は運んでくれただけじゃない。作ってくれたのは、シェフでしょ」


「いいえ。マキシ様が運んでくださったからですわ」



 エイミーは、ほぅっとため息をつく。



「エイミーは、マキシ様みたいな方が好みなの?」


「こ、好みとは言いませんが、素敵な方だと思いますわ」



 少し照れたようにエイミーが言う。



「へぇー」



 確かに、あの鳶色の瞳で見つめられちゃうとドキドキするのはわかるかな。

 いやいや、私はアレフ様一筋よ。



「そう言えば。先程、マキシ様がおっしゃっていた、『特別なお部屋』ってどこですの?」


「多分、カフェの3階にあるお部屋だと思うわ」


「まぁ。3階がありますの?」


「うん。ここからじゃ見えないだろうけど、植物が置いてあるのは見えるでしょ?その奥に席があるの」


「そうでしたの。気付きませんでしたわ」


「当然よ。秘密のつくりにしてあるんだから」


「隠しごとなんて、良くないですわ」



 少し拗ねたようにエイミーは言う。



「じゃあ。今度、マキシ様に頼んでみようか?」


「まぁ。それはとてもいい案ですわ!」



 ちょっと図々しいかな?

 丁度、近くを通りかかったマキシ様に頼むと快く了承してくれて、明日案内してくれる約束になった。

 私たちは王族じゃないけど、カフェで働くマキシ様がいいって言うんだし、問題無いわよね。



 そう言えば、ドレスを頼んだ『マジカルシュシュ』と言うお店の話をしたら、エイミーは知らなかったらしい。

 あんまり有名なお店じゃなかったのかな?

 あんな態度で話す妖精と、貴族が付き合うわけないわよね。


読んでくれてありがとうございます。

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