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エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
13/98

13.さすがにもう驚きませんよ?

 ミセスブラウンに手伝ってもらい、ドレスを着る。

 胸元と背中が大きく開いたデザイン。

 ホルターネックになっているからドレスが落ちる心配は無さそうだけど、ちょっとセクシーすぎるんじゃない?

 レースで作られたホルターネックは繊細で小さく可愛らしい花でできていて、綺麗だけど何となく心細い。

 

 君セナの新入生歓迎ダンスパーティは他のキャラとの遭遇イベントがあり、違うクラスの攻略対象者や生徒会副会長、先生が出てくる。

 好感度を貯めていれば、アレフ様との会話イベントもある。

 リリアーナは画面にもストーリーにでも出ないし、どんなドレスを着ていたかも語られてはいなかった。

 まさか、こんなに胸元が開いたドレスだなんて。



 ドレスはアレフ様の瞳の色を意識して作ったのだろう、ラピスラズリのような青いAライン。

 同じく青いオーガンジーが幾重にも重なり、クルっと回るとふわっとドレスの裾が広がる。

 所々、スワロフスキーのようなビジューが付けられていて、キラキラと光った。

 もしかしたら本物の宝石かもしれない。

 ドレスと同じ色の手袋とハイヒール。

 私の瞳の色のエメラルドのネックレスとピアス。

 セクシーに思えたドレスはスタイルの良いリリアーナが着ると、様になっていた。


 アレフ様の瞳の色をしたドレスを着て、他の方と踊るなんてできない。

 私はどうしてもアレフ様とダンスを踊りたい。



「とても、お似合いでございます」


「ありがとう、ミセスブラウン。シャネルエ様、ブルガリエ様、とても素敵なドレスをお仕立ていただきありがとうございます」


 私がお辞儀をすると、まんざらでもないように2人は、



「そうね。さすが私たちよね、ブルガリエ」


「当然よ。ねぇ、シャネルエ」



 2人は私の姿より、ドレスの出来栄えに満足しているようにも見えた。



「じゃ、私たち行くわね。さ、行きましょう、ブルガリエ」


「ええ。ごきげんよう、人間」



 最後に笑って言うと、黒い鞄を持って窓から飛んで行ってしまった。



「ぅえ? ご、ごきげんよう!」



 聞こえたのかな?

 窓に駆け寄ると、すぐに2人の姿は小さくなって見えなくなった。

 後ろから、ミセスブラウンの嘆き声が聞こえる。


 「ミセスブラウン。さっきの小さい子たちは何だったの? 人間人間って言ってたけど」


「まぁ、お忘れですか? マジカルシュシュのオーナー兼デザイナーの双子の妖精族ですよ」


 お忘れって言うか、記憶にないし。

 ん?

 妖精?



「今、妖精って言った?」



 ミセスブラウンはきょとんとして。



「妖精と言いましたが、それが何か?」


「妖精がいるの?!」



 昨日から何度見ただろうか、ミセスブラウンが呆れた顔で言う。



「先程、いらしたじゃないですか」


「そ、そうよね」



 ぶすっとふてくされたような顔をした10歳くらいの少女たち。

 背中に羽は付いていなかったから、子供としか見えない2人。

 最後に見せた笑顔はとても可愛らしかったけど、妖精だったのか。

 君セナには登場しない人物だ。

 そもそも妖精自体、存在しない。



 やはり、ここは君セナの世界じゃないのだろうか?

 鏡に映る自分を見る。

 私なのに自分では無い、自分リリアーナの姿。

 ゲームで堂々としていた姿とも違う。

 ラピスラズリのドレスを身に纏い、綺麗だが憂いを帯びた表情は弱弱しく儚げに映っていた。


お読みいただきましてありがとうございました。

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