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第6話 英雄の限界
戦線が、軋む。
A級冒険者たちが散る。
倒れる。
吹き飛ぶ。
撤退する。
それでも前に立つ者がいた。
S級冒険者たち。
そして。
「俺が行く」
勇者アレスが、前へ出る。
剣を握り、
地を蹴る。
一撃。
飛行型の龍の竜が、落ちる。
一撃。
重装型の装甲が、
叩き割れる。
一撃。
砲撃型の魔核が、粉砕される。
歓声が上がる。
「さすが勇者!」
「やれる……!」
ブレイブが雄叫びを上げ、
超竜へ突っ込む。
リナが高位魔法を連続詠唱。
空が燃える。
カインが必死に回復を回す。
倒れる者を、引き戻す。
勇者パーティーは、
確かに強い。
だが
勇者アレスの肩が、わずかに落ちる。
息が荒い。
剣を振るう速度が、
ほんの僅か、遅れる。
「……数が……」
超竜は、まだいる。
倒しても、
倒しても、
終わらない。
一撃必殺。
一撃粉砕。
それでも。
「……減らない……」
それが、
単発最強主義の限界だった。
英雄は強い。
だが、英雄は一人だ。
消耗は、確実に積み上がる。
勇者アレスは歯を食いしばる。
「……くそ……!」
その時。
戦場の端。
誰も注目していなかった場所で
C級の陣形が、まだ崩れていなかった。
英雄が、限界を迎えようとする中で。
次の“異常”が、
静かに息を潜めていた。




