第7話 この世界にはギルドが存在する
俺は姫乃と異世界のフレイゾンという街にいるという宅間 透、こちらの世界ではスレイブという名前で生活している人物を見つけ出し、現世と異世界にそれぞれの魂を固定する方法を聞き出す目的を見つけた。
早速、俺達はヴォルケンの街に出かけ情報収集から始めることにした。
「そういえば私達はまだ、ヴォルケンの街しか知らないんですよね」
「これからもし他の街や場所に行くといっても、転々と旅しながら暮らすというのは、ある程度のリスクを考えないといけない」
「せっかくフレーディアに住む家を用意してもらってますし、お金をある程度溜めないと厳しそうですね……」
「とりあえずはヴォルケンの場所だけ確認して、しばらくは資金を溜めるのが無難か……(仕事探しかぁ)」
そうこうしているうちに街にたどり着き、先日、知り合いになったばかりの八百屋のおばさんにヴォルケンの街はどこにあるのかを聞くことにした。
しかし彼女は、聞いたことがないと首を横に振った。
だが、もしかしたら冒険者ギルドに行けばわかるかもしれないと、隣街のガイレルに行くことを勧められるのであった。
「ぎ、ギルド?」
「冒険者っていう職業があるってことか? (この世界には魔法はないはずだよな……つまり武器と体術を使うってことなのか?)」
「隣街なら、馬車に乗れば昼前には着けそうですよ」
そして俺達は馬車を捕まえ、ギルドへ向かうことにした。
――そしてガイレルの街に到着した。
馬車を降りた2人が見た街の印象は、ヴォルケンが商業の街だったのと違い、この街は武器屋や道具屋、そして飲み屋や宿が大半を占めていた。
「ここがガイレル……全然雰囲気が違いますね」
「とにかくギルドに行ってみよう――」
しかし、姫乃が急に怯え始める。
そう、彼女の能力が初めて反応したのだ。
『半径100m以内に近づく自分に対する悪意を察知できる』
そして、彼女は恐る恐る後ろを振り返ると2人組の身なりが怪しい男達が近づいてくる……つまり、悪意をもって接触しようとしてきているのだ。
だが、彼らは笑顔で街を案内しようかと声をかけてきたのであった。
俺は姫乃の能力に興味があったため、少し危険を冒すことにした。
「(姫乃、自然を装ってろ)」
「(う、うん)」
「よくわかりましたね。俺達、この街が初めてでして……助かります」
「やはりそうでしたか、どこに行かれるのですか?」
「この街にギルドがあると聞いたのですが……」
「見た感じ、冒険者ではなさそうですね? 依頼か何かをされるのですか?」
「そ、そんなところです」
男達は俺達を前後で挟むように、ギルドへの案内を始めた。
しかし、だんだん人気が少ない場所へ誘導され、ついには裏路地へ連れ込まれそうになったことに気付き、俺は姫乃に宿の確保をしたいと、その場にあった宿に逃げ込むように向かわせた。
「(こいつら、追いはぎの類だな……俺だけなら最悪、殺さる可能性があっても俺は時間を戻せるし、こいつらなら俺の身体能力で交わせるだろう)」
「ところで、ギルドの近くは人気が少ないんですね……」
「――ふん、のこのこと着いてきてくれてありがとよ、さぁ、兄ちゃん怪我したくなければ金品を置いて、おとなしく街から出ていきな」
そして男は俺に向かい刃を突き付けてきたが、俺は予想以上に機敏にかわすことができた。
「な、ちょこまかと! 貴様、その動きはなんだ?」
その時は意識していなかったが、いつも以上に体が軽い――それだけではなく力が溢れていることに気が付いた。
俺の異変に微塵も気付かない男は、必死に刃物を振り回すが全くかすりもしなかった。
そのうち、俺はつい反撃の蹴りを男に食らせてしまう。
すると、その男は5m以上吹き飛び路地の壁に激突し沈黙する。
「な、なんだ! 俺の体……どうかしちまったのか? いや、異世界だと身体能力が向上しているというのか――」
そういえば、現世で看護婦服の裾を体の自由が利かない中でも俺は引きちぎっていた。
俺にそこまでの握力があるわけがないのに……今は寝たきりだからはっきりと自覚できないが、能力が使えたのだから身体能力が向上している可能性が――。
そんな余韻の中、その場で居なくなっていたもう一人の男が姫乃の口を塞ぎ羽交い絞めにし、俺の後ろでナイフを突き立てて構えていた。
「おい! 貴様! 女がどうなってもいいのか?」
「うぐっ……」
壁に激突した男も苦しみながらも立ち上がり、再び俺に迫ってくる。
しかし俺が覚悟を決めた瞬間、姫乃を羽交い絞めにしてた男が中を舞いながらその男に向かって飛んでいき、2人は交錯し地面にひれ伏せるのであった。
「ひめ……ミーナ?」
そう彼女も身体能力が向上していた。
理由はそれだけではなかった。彼女は家の方針で護身術6級を身に着けており、それが生かされたのであった。
「え、私、そんな馬鹿力の女じゃないんですよ……こ、これは違うんですよ……ゲイツ!」
「ぷっ……わかってるよ、俺も馬鹿力になってるみたいだから」
俺は、フレーディアからは語られていなかった身体能力がおそらく2人とも向上している可能性を姫乃に説明した。
そして気を失っている2人を見張っている間に、誰かを呼んでくるように姫乃に指示をしたのであった。
――数分後、警備隊と思われる格好をした男達が姫乃と一緒に戻って来て、男達は連行されていくのであった。
そして警備隊に事情を説明し、ギルドまで案内してもらうことになったんだ。
「君の能力は本物だったね。君と一緒にいれば危険を避けていけそうだね」
「(わ、私と一緒にいて……いてくれる……カァ――ッ)」
「どうしたの、ミーナ?」
「ゲイツ、君たちは冒険者登録をしてもいいんじゃないか? 意外と素質があると思うよ」
「――話しはここまでだ、さぁここがギルドだ。では、私はこれで失礼するよ」
「「ありがとうございました」」
こうして俺達は、ついにギルドにたどり着くのであった。




