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☆異世界転移したはずなのに! 何故か、現代でも生きてます?  作者: うにかいな


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第1話 俺? 異世界転移したはずじゃ?

 俺の名前は、磯貝(いそがい) 陽斗(はると)

青春真っ盛りの高校3年生だ。

と……言いたい所なんだが、かなり複雑な秘密を抱えている。



――あれは、1ヶ月前の学校からの帰宅途中の話。


その日、俺はとてつもなく急いでいた。


「やべぇ、部活、めちゃくちゃ遅くなっちまったぜ……店はまだ開いてるよな?」


明日は彼女の誕生日だった。

俺は誕生日プレゼントを買いに行くのに必死で、普段は通らない工事現場がある裏道を近道に使った。


そして、お目当ての店がある通りが見えたところで、ある異変に気付く。

たまたま、そこを歩いていた、おそらく同じ高校である制服を着た女子高生の姿が目に入ったんだ。

それだけなら、良かったんだが――。


「あんな綺麗な娘、居たっけ? いかんいかん、俺には瑠菜(るな)が――」


俺は彼女の美しさに目を奪われないように、目線を空に向けると工事中の建物の上から搬送中の鉄筋の鎖が切れ、こともあろうか彼女の真上に落下しようとしていた。


「――上を見ろっ! 危ないっ!」


俺は彼女に向かって大声で叫んだ。

だが彼女は上を見上げた瞬間、危険な状況に足がすくみ腰を抜かしてしまう。


しかし、それを見た俺は、彼女を救う為に勝手に体が動いていたが、無常にも2人共、鉄筋の下敷きになってしまったんだ。





 ――そして次に気づいた時には、俺は白く輝く不思議な空間に居た。


周りを見渡すと、事故に巻き込まれたはずの彼女は無傷で横になり倒れていた。


「おいっ、君、大丈夫か?」


「う、う……こ、ここは? 私、確か鉄筋の下敷きに……磯貝(いそがい)先輩」


そして俺は、彼女を助けようと自らも落下する鉄筋の下に飛び込んだが結局、助けられなかった事を思い出す。

つまり、2人は死んだ事を理解した。


「先輩、私達、どうなったんですか?」

「まさか、ここは……天国なんですか?」


「!? 先輩って、俺の事を知ってる? 後輩?」


「はい、死んでしまっては自己紹介してもしょうがないかもしれませんが、私は二階堂(にかいどう) 姫乃(ひめの)と申します。同じ高校の2年生です」


「なんで俺の事を……それより二階堂(にかいどう)って――」


突然、自己紹介を遮るかのように、白い装束に身をまとった神々しい女性が、会話に割り込んできたんだ。


「だ、誰だよ、あんた?」

「――ま、まさか、神様なのか? 俺達はこれからどうな――」


陽斗(はると)さん、落ち着きなさい! これから順を追って説明しますから」



とりあえず、俺達は彼女の話を聞くことにした。

彼女の名前は、女神フレーディア。

どうやら、俺達は死ぬ予定でなかったにもかかわらず、本来、その時に死ぬ予定だった人間の代わりに事故に巻き込まれ死んでしまったのだという。


しかし、死んでしまった以上、肉体に魂を戻すことはできないと言われ、2人は新しく生きられるように、異世界で今の魂が記憶している肉体のまま、転移することで許してほしいと懇願される。


あまりにも唐突な話で、まさか本当に異世界転移があるなんて思いもしなかった俺は返答に詰まっていた。だが、姫乃(ひめの)はあっさり、それを受け入れようとしていた。


「やっぱり、私、死んじゃったんですね……何度か考えた事はあったけど、現実に――これで解放されるんだ」

「私、その提案、受け入れます!」


「はぁ? ひ、姫乃(ひめの)さん? 残して来た親とか……そうそう、君みたいな美人なら、彼氏とか――」


彼女は突然、俺を睨みつけるように食い下がって来た。

どうやら、彼女には事情があることに土足で踏み込んだことに切れたのだど悟った俺は、すぐに謝り理由を聞くのであった。



 二階堂(にかいどう)財閥。

自分の住んでいる地域では有名な大企業であり、彼女はその社長の一人娘であった。

だが、政略結婚で勝手に、他の外資系企業と提携するために30歳のバカ息子と高校を卒業したら結婚させられるのが嫌で、何度か自殺まで考えていたほど悩み苦しんでいたのであった。


「そうなのか……(自殺を考えるって相当だぞ、相手はどんなヤツなんだ?)本当にごめんな」


「いいえ、私こそすみません先輩」

「……先輩は……転移、嫌ですか?」


彼女は急に、甘い目線で誘惑するかのように俺を誘う。

確かに、彼女である瑠菜(るな)の18歳の誕生日祝いをしてやれないことより、あいつが悲しんでいるだろう姿を想像したくなかったが、今の状況ではどうすることもできないことはわかっていた。


「俺は未練がたくさんあるんだけどさ……死んじまったんだからな……つきあうぜ姫乃(ひめの)さん」


そしてフレーディアは俺達に、『1つだけ好きな能力』を授けるとし、それを使い異世界で楽しく余生を過ごしてほしいと言う。


「それはいいが、異世界で2人送られてもどう過ごせってんだ?」


「2人には夫婦として、ある家で住んでもらう」


「はぁ」

「ふ……夫婦」


「おいおい、俺は困るぞ! ねぇ姫乃(ひめの)さ――」

「だ――なんで、照れてるんですかっ!」


「ご、ごめんなさい。不謹慎でした(だって、先輩と……)」



フレーディアが言うには、異世界での住む家と、近所に住む住人とその町の戸籍としてこれから登録する名前で環境を設定すると言い出したのだ。

2人が別々だと、生きていくのが不自由であろうと、形だけでも夫婦にしてほしいと言われたのである。


しかたなく転移の条件を呑むことにした俺達は、『1つだけ好きな能力』を決めることになった。


俺達は、それぞれに考えた能力をフレーディアに伝え、儀式が行われ2人は光に包まれる。

そして、新しい世界への転移が始まろうとしていた。


そんな中――。

聞き覚えのある声が、遠くから聞こえてくるのであった。


 と……ると……陽斗(はると)っ!




俺は光から目が覚めると、そこは病院のベッドの上であった。

そして、その布団に覆いかぶさるように瑠菜(るな)が崩れ落ち眠っていた。


「(これは……人工呼吸器? ここは? 病院だと? 姫乃(ひめの)さんは……)」


「ん、んっ、は、陽斗(はると)ぉ~っ! わーんっ」



「俺は、生きてる……のか? (あれは夢だったというのか?)」


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