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無限のゲーム - 絶望の先にある勝利』  作者: Marukuro Rafaella
第16章 再び、ケイト学院へ
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システムからの拒絶:新たな試練と決断

「この質問には答えた。だが、今は君のレベルを知る必要がある。」


部屋の中は静寂に包まれていた。

歩く音だけが、緊張した空気の中で響いていた。


ケイトの前に立つ男は、敬意を示しながらも、明らかな執拗さをもって彼を見つめていた。


彼は協会の代表であり、共に働く者たちの力を正確に把握することがいかに重要かをよく理解している。


しかし今、その忍耐は限界に達しつつあった。


「君がどれだけの力を持っているのか、はっきりさせる必要がある。」


男は警戒心を隠すことなく言った。


「君のレベルを、EランクからSランクまで評価しなければならない。これが我々の基準だ。君がどこに位置するのか、我々は知る必要がある。全員が評価されるべきで、後々の問題を避けるためにも。」


ケイトはテーブルの端に座り、怠そうに男を一瞥した。


その顔はバンダナで隠され、さらに謎めいた印象を与えている。


彼はすぐに答えることはなく、どう断るべきかを静かに考えているようだった。


「私の実力を評価する?」


ケイトは皮肉な笑みを浮かべながら、まるで自分が信じられないかのように繰り返した。


「私をランク付けするつもりか?

聞いてくれ、私はハンターでもプレイヤーでもない。

私はシャーマンだ。私の立場は、君たちの基準に当てはまらない。

だから、君たちのテストには参加しない。」


男は言葉を失い、何を聞いたのか理解するのに少し時間がかかった。


協会の代表者はぎこちなく沈黙を破ろうとしたが、

彼の声には依然として警戒心がにじみ出ていた。


「私たちは君を侮辱しようとしているわけではない。」


彼は言ったが、その言葉には説得力が欠けていた。



「ただ、誰と関わっているのかを理解する必要があるんだ。

もし君が最強の仲間に加わりたいのなら、この手続きを踏まなければならない。

そうでなければ、どうやって君を信じられる?」


ケイトは静かに立ち上がった。


その動きは穏やかだったが、その中には力強さと自信が感じられた。


彼はゆっくりと男に近づき、目は隠れていたが、声には最も危険な存在にも引けを取らない力が感じられた。


「侮辱だと?」

シゲロは少し鼻で笑いながら、眉を上げた。


「それは侮辱ではない。ただの馬鹿げた話だ。

君たちが使う評価基準は、僕には何の関係もない。

僕は君たちの世界の一員ではない。

僕はシャーマンだ。君たちが『テスト』と呼ぶもの、それは時間の無駄だ。

僕の力は君たちの尺度では測れない。」


男は、徐々に自分の自信が揺らぎ始めるのを感じた。

強力な能力を持つ者たちが、普通のプレイヤーのために作られたシステムをどう見ているか、彼は理解していた。

だが、ケイトからこんな反応を受けるとは思っていなかった。


「君はプレイヤーじゃないと言うが…」

男の声が少し小さくなり、何かを理解しようとしているかのようだった。

「君は戦場で戦ってきた。人々が生き延びるのを助けてきた。それは小さなことじゃない。そんなことを簡単に無視することはできないだろう。」


ケイトは席に戻るために一歩後ろに下がった。

再び椅子に腰掛け、その顔は隠れていたが、暗い瞳には冷徹な決意が宿っていた。


「僕は助けることを拒んだわけじゃない。」

彼の声はますます確信を帯びていった。

「本当に必要な時には戦うし、戦い続ける。

でも君たちのシステム、君たちのテスト、君たちのルール…それは他の誰かのためのものだ。

君たちが作ったゲームをしている人たちのためのものだ。

僕はゲームをしていない。」


彼は冷ややかに続けた。


「君たちの試練を受けるつもりはない。それは意味がないからだ。

僕は認められたり、承認されたりするつもりはない。そして、誰かに自分の力をこのくだらないスケールで評価させる必要もない。」


男はその場で立ち尽くし、どう返答すべきかを迷っていた。

ケイトの言葉がただの言葉ではないことを理解していた。

この人物は自分だけの戦争を戦っている人間で、レベルやランクといったものが存在する世界には関わりのない存在だった。

彼の力は普通の方法では測れない。


「それで、君はどうするつもりだ?」男がついに尋ねた。

「世界で最強のハンターたちとの会議に行かないというのか? 日本を代表するチャンスを与えられているのに、君は…断るのか?」


ケイトは冷たい目で男を見つめ、彼の言葉はまるで宣告のように響いた。


「はい、断る。僕はこのゲームの一部にはならないし、君たちのシステムで日本を代表することもない。」

ケイトの声は力強く、揺るがない決意を感じさせた。

「僕は君たちの一員ではない。認められたり、ステータスを求めたりしない。本当に助けが必要なら、タクミを再び説得してみることだ。でも、もし僕を代表者にしたり、試練を受けさせたりしたいなら…」

ケイトはその言葉に疲れを感じていた。

「それはしない。僕は他人のルールに従うつもりはない。」


部屋は静寂に包まれた。

男は言葉を探そうとしたが、何も言えなかった。

彼はようやく理解した。

目の前の人物はただの強者ではなく、自分自身の倫理観と道を持ち、それは通常の尺度では測れないものだった。

ケイトは自分のゲームをしているのだ。そして、周りで何が起ころうとも、それには関係なかった。


男は深いため息をつき、頭を振った。


「君は複雑な人間だな。」

彼の声にはもはや怒りはなく、理解が込められていた。


「しかし、誰もが自分の力と可能性を探し求める世界では、いつか必ず衝突が起きる。君がこの世界に関わりたくなくても、それは避けられない。」


ケイトはただ静かに目で答えた。

彼の決意は固かった。


「俺は自分のゲームをしている。」

彼の声は、深い湖のように静かだった。


「君たちのゲームは俺には関係ない。」


男は黙った後、頷いた。ケイトの決断を変えることはできないと理解したようだ。


彼は扉に向かって歩き始め、出る前にもう一度振り返った。


「分かった。」

彼は別れ際に言った。


「もし気が変わったら、いつでも戻ってきてくれ。俺たちはいつでも待っている。」


ケイトは答えなかった。

ただ椅子に座り、再び自分の思考に戻った。


彼は自分の道がただ一つであることを知っていた。

誰のゲームにも左右されることはない。

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