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無限のゲーム - 絶望の先にある勝利』  作者: Marukuro Rafaella
第14章 過去の記憶が蘇る!苦悩と決意のフラッシュバック
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思い出の中で蘇る決断の瞬間!その記憶が未来をどう変えるのか?

その抱擁は数秒間続いたが、タケシが不満げにぶつぶつ言い始めた。


「おい、もういい加減にしろよ! まるで卒業式のガキみたいだな。」


「つまり、気に入らないってこと?」


ヒカルはにやりと笑いながら、手を放す気配を見せなかった。


「当たり前だろ!」


タケシはぶっきらぼうに言ったが、どうも説得力がないように見えた。


パンダは大きくあくびをして、ようやくみんなを解放し、地面に座り込んだ。


カイオはその様子を見て微笑み、何かを思い出したようにポケットから古い携帯電話を取り出した。


「じゃあ、写真を撮ろうか?」


みんな一瞬止まった。


「写真?」


タケシは眉を上げ、疑問を投げかけた。


「まあ、記念にね。」カイオは静かに答えた。「これからどうなるかわからないし…この瞬間を残しておいたほうがいい。」


短い沈黙が流れたが、その後、ケイトが腕を組んでゆっくりと頷いた。


「まあ、悪くないな。」


「え、じゃあ、もし先生が嫌じゃなければ…」ヒカルは呟いた。


タケシはため息をついて、伸びをした。


「わかったよ、でもバカな顔はなしだぞ。」


「おい、俺はいつでもフォトジェニックだって。」パンダはだらっと言って、中心で体を楽にした。


みんなが集まり、誰かは座り、誰かは後ろに立った。カイオはカメラのタイマーをセットし、素早くみんなに加わった。


「みんな準備はいい?」


「うんうん、さっさと撮ってくれ。」タケシは手を振って言った。


「パンダ、頭から手をどけろ!」ヒカルがふいに叫んだ。


「え?こうしたほうがもっと快適だろ?」パンダは無表情に呟いた。


「おい、少しは笑ってくれよ!」カイオがボタンを押す直前に言った。


カシャ。


画面に写真が表示された。誰かは笑っていて、誰かは不満そうな顔をしていて、パンダはまるで無理に参加させられたかのような表情をしていた。


「まあ、これでいいか。」カイオは微笑みながら写真を眺めた。


「うん…」タケシは軽く笑いながら言った。「思い出にはなるな。」


ケイトはその様子を見て、少し口元を上げた。


「思い出じゃない。これは『思い出させるもの』だ。」


みんなの視線がケイトに集まった。


「俺たちが互いにいるってことを思い出させるんだ。」ケイトは続けた。「何があっても。」


一瞬、沈黙が広がった。でも、次の瞬間、みんなが一人ずつ笑顔になった。


この瞬間は、絶対に彼らの記憶に残るだろう。


写真を撮り終わった瞬間、ケイトは急に前に伸びて、素早くカイオから電話を奪った。


「え、ちょっと、先生、返して!」カイオは驚き、抗議したが、ケイトはすでに画面を素早く操作していた。


みんなが顔を見合わせた。


「何してるんだ?」ヒカルが疑いの目を向けて尋ねた。


ケイトはニヤリと笑い、電話をみんなに見せた。


写真には、パンダに不思議な眼鏡、タケシにバカみたいなヒゲ、ヒカルに猫耳としっぽが描かれていた。そしてケイト自身には、頭に王冠と輝くオーラが描き加えられていた。


「どうだ?完璧だろ?」ケイトは得意げに言った。


タケシはその写真を見て、目を見開いた。


「な、なんだこれは?!」


「これはアートだ。」ケイトは冷静に答えた。


「消せ!」タケシは叫んだ。


「いや、これは歴史に残るんだ。」ケイトはニヤリとし、電話を奪われる前に素早くその写真をグループチャットに送信した。


電話が震えた。


「せんせい!!!」


「おっと、もう遅いな。」ケイトはクスクス笑いながら、電話をポケットにしまい、何もなかったかのように振る舞った。


みんなが彼を見つめ、殺意をむき出しにしたが、ケイトは気にすることなく手をひらひら振った。


「リラックスしろよ、みんな。結局、大事なのは思い出だろ?」


「お前を絞め殺してやる、絶対に!」タケシは怒鳴りながらケイトの襟を掴もうとした。


しかしケイトはお馴染みの戦法を使い、最後の瞬間に消え去り、風だけが残った。


「くそ…」


カイオは顔を手で隠し、笑いをこらえた。


「もう手遅れだわ…」


「ほんとにね。」ヒカルは暗い表情で言い、もう永久にチャットに残るその写真を見つめた。


パンダはだらけて伸びをした。


「まあ、少なくとも、何かを覚えておくことはできるな。」


そして、誰もそれに異論を唱えることはできなかった。



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