迫る敵の影
細い雨が庇から滴り落ち、
重い水滴となってアスファルトに「プチュ」と音を立てて落ちていく。
二人の警備員は大きな門の前に立ち、
無気力そうに何も起きていない通りを眺めていた。
「西の埠頭でまたトラブルがあったって聞いたか?」
最初の男が低い声で言った。
顔に硬い顎と一週間のひげをたくわえた、背の高い男だ。
「どうやら、変な奴が肉屋みたいに人をナイフで切り刻んでたらしいぜ。」
「はっ、ナイフ?」
二番目の男が返事をした。
若いが、目が常に周囲を探っているような、警戒心の強いタイプだ。
「弾に対してナイフなんて自殺志願者の道具だろう。」
少しの沈黙。
「ところでさ、そっちは合併に金をかけたか?」
二番目の男が続ける。
「株価、あっという間に上がるって話だ。」
最初の男は眉をひとつ上げ、軽く唸るように答えた。
「株か… 大きな金が動いてるらしいが、どうも臭いがする。」
一瞬の間。
「お前も知ってるだろ、うちのボスのこと。血を流さないと動かない。」
「まぁ、我々はいつでも仕事があるさ。」
二番目の男が笑いながら言った。
「金がきちんと払われれば、それでいいんだよ、あとはどうでも。俺たちは背景で、どこかで祝砲一発撃って、それで終わりさ。」
鋭い乾いた音が彼の言葉を断ち切った。
振り向くと、仲間が一瞬体を震わせ、目を虚ろにしたまま、糸が切れた人形のように背中から倒れた。
その額には小さな穴が開き、そこから赤い血がゆっくりと滴り落ち、雨と混ざり合っていく。
「クソ…」
彼は息を呑み、無線機を掴んだ。
「襲撃…」
明るい閃光が灰色の霧を突き抜け、まるで電流が空気を貫いたかのようだった。
痛み—鋭く、焼けるような—が脇腹に突き刺さり、呼吸を断ち切った。
警備員はよろめき、しかし手足はもう言うことを聞かない。
胸の中で、温かな血が重く、焼けるような感覚を与えていった。
背後から足音—猫のように柔らかい音—が響く。
暗闇から人影が現れ、まるでそれら自体が冷徹で無感情なこの世界の幽霊のように、影と一体化していった。
顔はマスクで覆われ、動きはあまりにも滑らかで自信に満ち、まるで凡人とは思えないほどだった。
最後の息が雨の中で消え失せたとき、特別部隊の一人がゆっりと手を上げた。
まるで、死の交響曲が終わった後の指揮者のように。