終わりなき結末
数秒後、さらに五人の兵士が倒れ、血が床を染めた。
その赤い色が、暗く、冷たい紅に変わる。
残された兵士たちは、もはや何の勇気も見せず、力尽きていた。
パニックが心を支配し、鉄の規律さえも失われていく。
「動くな、クソガキ共!」
ニコラスの雷のような声が響く。
彼の目は前方の影に釘付けだった。
それは、人間に見えたが、彼らの武器には無敵で、致命的に危険な存在。
ニコラスは機械的に動き、ライフルに新しいマガジンを装填した。
再び銃口を向け、弾を叩きつける。
しかし、避けられぬ死の前でも、ニコラスは退くことなく立ち続けた。
撤退など考えられなかった。
ジャングルで死がひそみ、無名の砂漠で血が染み込み、絶叫が響く夜々…
彼はもう後退を許されなかった。
奈落の底を覗き込んだ彼は、今、その奈落に見つめ返されていた。
その嘲笑うような笑みが、彼の血を凍らせる。
部屋の中央に立つその姿は、動揺もなく無感動に光景を見守っていた。
弾丸がその周りを舞い、見えない壁に弾かれて跳ね返る。
金属的な音と、兵士たちの叫びが、絶望的なカオスを生んでいた。
「なんて熱意だ。」
見知らぬ男の声は静かだったが、混乱を切り裂く刃のように鋭かった。
唇には冷徹な微笑みが浮かんでいる。
その微笑みには、温かさなど一切ない。
獲物を弄ぶ冷徹な嘲笑が宿っていた。
さらに一人の兵士が、必死に逃げようとした。
だが、倒れた仲間の体に足を取られて転んだ。
助けを求める叫びが、急に空気が重くなった瞬間に途絶えた。
見えない力によって壁に叩きつけられ、その音は骨が砕ける音のように響いた。
ニコラスは歯を食いしばり、武器を強く握りしめた。
その手で現実をねじ伏せられるかのように。
「お前は一体何なんだ?!」
彼の声は怒りと恐怖で震えていた。
見知らぬ男はわずかに首を傾け、目に哀れみと軽蔑の混じった表情を浮かべた。
「君は間違った質問をしている、ニコラス。」
男は皮肉を込めて答えた。
その言葉には冷徹な嘲笑がにじんでいた。
「本当の質問は、君があとどれだけ持ちこたえられるか、だ。」
その瞬間、目に見えない力が再び部屋を襲った。
兵士たちをまるでぬいぐるみのように壁や柱に叩きつける。
彼らの叫びが次々と消え、体が壁にぶつかる音が響く。
その度に静寂が破られる。
血が壁に飛び散り、この場所は絶望の絵画に変わっていった。
血の海の中、ただ一人残ったニコラスは、謎の男をまっすぐに見つめた。
その目には挑戦の火が灯っていた。
体は震えていたが、それは恐怖ではなく、暴走するアドレナリンの波に押し流されていた。
最後の力を振り絞り、銃を構える。
歯を食いしばり、目には兵士の決意が宿っていた。
謎の男は静かに笑った。
その笑い声は、深い闇から響いてくるようで、ニコラスの肌をゾクゾクとさせた。
「勇気か…尊敬に値するな。」
男は一歩踏み出した。
その存在感は、まるで周囲の空気さえも歪ませるかのようだった。
現実がその姿から退こうとしているかのように。
「しかし、力なき勇気は、ただの愚かさに過ぎん。」
ニコラスは動じなかった。
謎の男が近づいてきても、彼の目は揺るがなかった。
その影が血まみれの床に落ちても、彼はひたすらに踏みとどまった。
兵士として生きる彼の信念は一つだった。
どんな状況でも戦い続けること。そして、死ぬ時は、銃を握りしめ、誇りを持って死ぬこと。
「さあ、見せてみろ。」
ニコラスは唸るように言った。
その声には、従わぬ最後の証が込められていた。
謎の男の笑みは広がった。
冷徹な楽しみの裏に、もっと恐ろしい何かが垣間見えた。
「おお、もちろんだ。」
彼の言葉は氷のように冷たく、まるで約束のように響いた。
指先が鳴った音はほとんど風の囁きのように微かだった。
その結果は恐ろしいものだった。
ニコラスの頭は、まるでノコギリで割ったクルミの殻のように粉々に砕けた。
血の飛沫が壁や床に散らばり、命を失った体は重く床に崩れ落ちた。
銃は力なく手から滑り落ち、金属音を立てて転がった。
部屋は不気味な静寂に包まれていた。
残されたのは藤原家の一族だけ。
彼らは恐怖で震え、惨めなかたまりとなっていた。
顔はチョークのように白く、目は恐怖で大きく見開かれ、前に立つ存在から目を離すことができなかった。
その男――いや、魔術師、いや、魔物のような姿をした者は、力だけでなく、もっと恐ろしい何かを放っていた。
絶対的な優越感、そして一切の慈悲の欠如。
「さて、誰かが足りないようだな。」
彼が沈黙を破るように言った。
その声は思索的でありながら、どこか疑問を含んでいた。
次の瞬間、彼の顔に陰湿な、まるで子供のような楽しさが浮かんだ。
「思い出した! あなたたちの叔父さん、タケヒロはどこだ?」
彼は首をかしげ、鋭い眼差しで全員を見つめた。
まるで出席者全員の魂を貫くかのように。
「なんだ、あの臆病者はもう逃げたのか?」
彼は演技めいた失望を声に込めながら、だるそうに手を振った。
その振る舞いはあまりにも軽薄で、不適切にさえ感じられた。
それが彼から放たれる脅威を一層強調していた。
まるでディナーに遅れたゲストを話題にしているかのように。
彼は次のターゲットが誰になるかを軽々しく語った。
藤原家の一族は震え上がり、言葉も発せずに縮こまり、ほんの少しの動きや音が命取りになることを感じ取っていた。
ただ、かすかな呼吸音と、指が床を叩く音だけがその恐怖を物語っていた。
その魔術師は、まるでその沈黙から楽しんでいるかのように見えた。
歪んだ、嘲笑を含んだ微笑みが、ゆっくりと獰猛な笑みに変わった。
「そうだな、もし彼がここにいないなら、問題ではない。」
彼の言葉は穏やかで、ほとんど面倒くさそうだった。
「どうせ俺は彼を見つけ出す。そして、確信しろ、彼はその傲慢さを利子付きで支払うことになる。」
魔術師は一歩前に進んだ。
部屋の空気が重くなったような感覚を与えた。
まるでその場の空間が彼を中心に圧縮されたかのようだった。
彼の一挙手一投足は、まるで誰も彼に逆らうことができないと知り尽くした捕食者の優雅な動きそのものであった。




