misterio&sueno
かなりぐだぐだな文です。相変わらず分かりずらいモノになってしまいました。
「あなたの願いは何でごさいましょう?」
そう俺に問い掛けたのは、見たことも無い「生き物」だった
ジリリッと、またくだらない一日の始まりを告げる鐘が鳴った。
一つスイッチを押し、煩い音を止める。
窓から差し込む光がやたら眩しく目に入った。
先程まで音を鳴らしていたそれを見れば短針は8と9の間を、長針は5と6を指していた。
......完全に遅刻だ。
だからといって急ぐ理由も自分には無い。
いつも通りのペースで支度をし、一階へとおりる。
電気はついておらず、閉じられたカーテンの僅かな隙間から差し込む日の光はどこか冷たかった。
パチッとリビング入り口のボタンを押せば、この部屋一帯が明かりを帯びる。
誰が見ても生活感のないこの家には自分一人。
所詮一人暮しというものだ。
ソファーに投げ捨てられている黒い鞄を開け、適当に教材を詰め込んだ。
どうせ行ったところで授業などまともに聞きはしないし、周りの奴らも俺を相手にしない。
結局俺は何処でもひとりさ。
笑えるだろう?
そんなひとりの俺には広すぎるこの家は、自分を捨てた父と母が俺に残していったものだ。
好きに生きろ、そう言って。
俺は自分を捨てた父と母が嫌いであり、そんな奴らの残していったモノに縋り付く自分が嫌いだ。
そんなことをいってもこの家を捨てられないのは、まだ心のどこかで両親の帰りを待っているからなのかもしれない。
そういうば父と母はこの家以外に現金も残していってくれた。
収入の無い俺には有り難い。
そこはこんな父と母でも感謝している。
キッチンには食器らしい食器や料理器具はない。
ただ箸やスプーン、フォークやナイフが無造作に置かれている。
いつも食事はコンビニ弁当やインスタントで済ませているため、特に食器等は必要ない。
そんな生活をしているためか、キッチンに油汚れ等は見当たらない。
戸棚に入れてあったカップラーメンを取り出し、まわりを包むビニールを破く。
蓋を半分程開け、ポットの中に入っていたお湯を注いだ。
蓋が開かないよう上にティッシュ箱をのせ、それをリビングのテーブルに置いた。
側にあるソファーに腰を下ろし、携帯を開く。
デジタル表示の時計は8:41。
メールの知らせなど全くない携帯のディスプレイは何処か淋しい。
それも当たり前か...俺のメールアドレスやケータイバンゴウなど、今は誰一人として知らないのだ。
昔(といっても二ヶ月程前)、唯一の友だち...なのだろうか?まぁいい、つまりそいつに「誰にもアドレスや番号を教えないのに、なんで携帯なんか持ってんだ?」と言われた事があったが...そんなのこっちが知りたいさ。
まぁ、そんなあいつも二日前のあの日にいなくなった。
行方不明だとかならまだ良かったのかもしれない。
あいつは俺が休んだその日に死んだ。
この世界から、本当にいなくなったのだ。
クラスのどうでもいい奴の話によれば、屋上から飛び降りたらしい。
一部の奴は、たまたま休んでいた俺が自殺に見せかけて殺した、とか何とか言ってたな。
特に気にしてはいないけど。
再び携帯の横のボタンを押せば、8:45と表示された。
いつの間にか3分を過ぎてしまった。
蓋を開ければ上がる湯気は、ほんの一瞬俺の視界を遮る。
別に猫舌ではないから、熱さなど気にする事なく多少のびた麺を啜った。
リモコンを手に取りテレビの電源を入れれば、流れて来るのはつまらない政治のニュースばかりだった。
この家で聞こえて来るものといえば、俺自身が日常生活で立てる音と、時折つくテレビの声だろう。
どちらも自分が居なければ聞こえてこないものだ。
俺は再び麺を啜った。
ずずっと汁を少し飲む。
ありきたりな醤油の味にそろそろ飽きてきた、次はみそ味にしよう。
そう思いながらテレビに表示されている時計を見れば8:58。
もう一時限目が始まってしまった。
だからといって急ぐ事はない。
カップに残った汁をキッチンのシンクに流し、空になった容器をゴミ箱に捨てた。ゴミ箱には昨日食べたコンビニ弁当の容器がまだ入っている。
またソファーへと戻り、腰を下ろす。
携帯を開きインターネットへとつないだが、やはりパソコンを使おうと思い電源ボタンを押した。
先ほどまで寝ていた部屋の一つとなりの部屋へと入る。
その部屋もまた生活感のあまりないような部屋で、置いてあるのは小さなテーブル一つとパソコン一台、その他諸々。
パソコンの側にあるオフィスチェアーに座り、パソコンを起動する。
俺はカチカチとマウスを、カタカタとキーボードを操る。
次々と現れる文字を目で追い、俺はパソコンにのめり込んでいった。
気がつけば日は高く昇り、午後になっていた。
学校は休もう。
そう思い一階へと行く。
テレビが点けっ放しなのを思い出したのは、階段を降りていた時だった。
リビングへ行き、リモコンを持つ。
そして電源ボタンを押そうとした。
けれども、それは叶わなかった。
耳に入ってきたニュースキャスターの声。
「今日午前10時30分頃、〇〇私立△△高校二年男子生徒一名が屋上から転落。先ほど死亡が確認されました。警察は自殺と見て捜査を続けています。△△高校では二日前にも男子生徒一名が亡くなっており――」
ピッという音を立てて電源が落ちる。
俺が消したのだ。
「まさか、二人も自殺するなんて...。」
思わず口から声がこぼれてた。
...自分が他人の死を悲しむような事を言ったのが、俺は信じられなかった。
ニュースによれば高校は休みになったらしい。
連絡を入れる手間が省けたと心のなかで思う俺はひどい奴だろう。
その日、俺はパソコンに向き合い一日を過ごした。
23時頃にはベットに潜り込み、日付が変わる前には寝た。
誰もいない部屋と家は、口を閉ざしたままだった。
「私は¢*£%。迷い子の皆様方に夢を与える者でございます」
そいつは明らかに作った顔をして俺に問い掛けた。
「さぁ、あなたの願いは…?」
笑ったその姿は、ヒトではなかった。
次の日の朝、俺は後悔した。
テレビなんて見なければ良かったと......。
「今朝午前5時頃、〇〇私立△△高校女生徒二名の遺体が××川にて発見されました。この高校では――」
願
い
は
残
酷
に
ご
ざ
い
ま
す
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続く...かもしれません(*^^*)