96話 VS モグランド
「「な‥‥‥なんだこりゃあ一体!!」」
ホーラルさんに同行していた20人の護衛の者達は驚愕していた。
そんな時、目の前から現れた人の身長二人分ぐらいある灰色のモグラの化け物はすかさず俺達に攻撃してきたのである。
黄砂が吹き荒れているせいで視界不良のため、よく見えていなかった護衛の者達は攻撃されようとしていることに気づかず対応できなかった。
そのためモグラの化け物は所持しているスコップで護衛の一人を叩きつけたのである。
たたきつけられた護衛の一人は、押しつぶされてしまったが助けてくれと返事があったのでどうやら生きてはいるようである‥‥‥。
そう思っている内に、モグラの化け物ががスコップを構えようとしていた。
「モグラの化け物がスコップを構えようとしています。皆さん盾を構えてください」
俺は、護衛の者達に持っている盾で防御態勢をとるように言った。
「カルロス、この視界不良のなか敵を確認することができるのか!?」
「はい、モグラの化け物の行動を何とか確認できます。これも3週間の間に修行したたまものです」
俺はスライムフィットを装備して修行したおかげで視界不良でもなんとか敵を把握することができたのである。
「なるほど‥‥‥お前達カルロスの言う通り、盾で防御態勢を構築するのだ。また、やられた仲間は盾の内側に入れること。分かったな」
「「はっ!!」」
すると、護衛の者達は一斉に盾で防御態勢をとったのである。
そこにモグラの化け物がスコップを叩きつけたのである。
スコップは盾に当たったが、盾にあてられた衝撃で護衛の者達は一瞬ぐらついた。しかし、何とか持ちこたえ、逆にスコップを盾で押し上げたのである。
すると、モグラの化け物は地中に潜り、姿が見えなくなったのである。
「まさか‥‥‥いなくなった」
俺が発言すると、ホーラルさんはこう答えた。
「いやいなくなってなどいない。奴は‥‥‥いなくなったと見せかけて再び攻撃してくるはずだ。それがやつ‥‥‥モグランドの行動習性だ」
「モグランドとは先ほどのモグラの化け物のことですか!?」
「いかにも。やつは潜って相手が油断したと思わせてまた現れる可能性がある。そのため、俺達は油断することなく奴が現れるのを待つのだ。また、カルロスはこの視界不良の中でも見ることができるので、モグランドへの攻撃はお前に任せる」
任せると言われ一瞬とまどったもののモグランドへの攻撃を引き受けることにした。
俺が攻撃を引き受けた直後であった。なんと‥‥‥目の前にもっこりした砂のかたまりが見えたのである。
「間違いない。モグランドだ!!」
ホーラルさんがそう発言すると、護衛の者達は身構えた。
すると、砂のかたまりからモグランドの姿がかすかに見えた。その直後モグランドはスコップを叩きつけたのである。
護衛達は盾で守ったおかげで何とか防ぐことができたのである。
「よし!! 今だカルロス!!」
ホーラルさんに今だと言われ、俺は助走して、盾を利用して、大きくジャンプし、モグランドを斬りつけたのである。
斬りつけられたモグランドはおはやああああ~~と悲鳴を上げた。
俺は近くの砂の上に着地した後、そのまま回転斬りを行い足を切りつけた。
モグランドはその影響で、膝をおとしたのである。
その隙をつき、俺はモグランドの首目掛けて、剣を突っ込ませた。剣先は、モグランドの首を貫いたのである。
貫かれたモグランドは悲鳴をあげながらその場に倒れたのであった。
その瞬間護衛達のわ――――――!! という歓声が聞こえたのである。
俺は貫いた刀をとり、真下の砂に着地した。
すると、ホーラルさんとショウカさんが駆け寄ってきた。
「よくモグランドを倒しましたね。お見事です」
「うむ。お前の修行の成果見させてもらったぞ。見事だ」
「ありがとうございます」
俺は手を頭部にやり、照れた表情をしたのであった。
だが‥‥‥そんなやりとりをしている俺達の近くで不穏に行動する魔物の姿があった。




