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181話 訓練場にいる女性

 俺ことカルロスがエリエンス街から出て、アイスランドに向けて進んでいた頃、ガリエント王国にある学園の訓練場にある一人の女性がいた。


 訓練場は、平らな大地が広がり、その大地の隅には草が生い茂っている。その訓練場の周りには、真新しい木でできた塀が取り囲んでいる。


 その木でできた塀は、柱が一定間隔を置いて建てられている。その柱や、壁には、窓が一定間隔でとりつけられており、建物の中は、人が通れるように通路になっている。


 その平らな大地が広がる訓練場で、女性は火の魔法を放っていた。


 放たれた火の魔法は大きな火の塊となって、人間サイズの木造の人形に直撃した。直撃した人形は、吹き飛ばされたものの、防御の魔法がかかっていたため、燃えてはいなかった。


 火の魔法を放った人物は、魔法の威力を見て、驚きながらも納得した表情をしながらこうつぶやいた。


「も…ものすごい威力だわ。やはり火属性の魔法の力が上昇しているわ!! あの本に記載されている通り、霊獣の力によって火属性の魔法が上昇しているわ!!」


 その人物は、霊獣に関する本を読み、試してみたく、訓練場で火属性の魔法を放ったようだ。すると、すぐ近くにいた男性が魔法を放った女性に声をかけた。


「エマさん、とんでもない威力の魔法すね。やはり本に書かれてある内容は間違ってはいなかったようすね」


「そのようね、ディーラー。私もここまで火属性の魔法の威力が上昇しているとは思わなかったわ!!」


 魔法を放っていた女性はエマさんで、話しかけてきた男性はディーラーであった。

 

 エマさんは、霊獣の力によって火属性の魔法が上昇したことに満足した表情を浮かべていた。だが、それと同時に疑問も抱いていた。


「火属性の魔法が上昇したことは試してみてわかったけど、なぜ霊獣の力によって、霊獣の属性の魔法が上昇するのかそのメカニズムがとても気になるわね」


「それは俺も気になりますけど、本には記載されていなかったんすから、そのメカニズムはわからないすよ」


 ディーラーの返事にエマさんはこう返してきた。


「なら、そのメカニズムを研究してみようかしら!!」


「ええーーーー!!まじっすか」

 

 ディーラーはエマさんの一言に驚いた表情を浮かべた。


「ちょっと何もそこまで驚くことないでしょう」


「いやだって、メカニズムを研究するなんて膨大な時間がかかるかもしれませんよ」


「徹底的に研究はしないわよ。メカニズムを少しひも解く程度に調べてみる程度よ」


 その一言を聞いてほっと一息をついたディーラーは安心した表情を浮かべた。


「その一言を聞いて安心しました。それなら、短期間でできそうですね」


「長期間になると困るわけでもあるの」


「いえ…別に困るというわけではないすけど、できればカルロスが来るまでには、自分も魔法の一つや二つ覚えたいなー…なんて…」


 どうやらディーラーは、俺が学園に到着するまでに、魔法を覚えたくて仕方ないようである。


「私が講習に行っている時間に好きなだけ魔法について勉強すればよいじゃない!!」


「そ…それは…そうですけど…できればエマさんから教わったほうが覚えるのが早いかなーと…」


「ったく! そんな甘えた感じじゃいつまでたっても魔法は覚えられないわよ」


 ディーラーは、エマさんに厳しい一言を言われ少し落ち込んだのであった。


 

 その光景を、木造の塀の通路から窓越しに見ていた女性がいた。


 

 


 

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