174話 毒ガスのエリアを脱する
再び歩き始めてしばらく経った。しかし、周りは相変わらず毒ガスが噴き出しており、視界不良の状態で先に進むしかなかった。
だが、魔物は化け木以降出てこず、襲われることはなかった。問題はやはり最初から心配していたこの毒ガスだけだ。
俺達は視界不良の中さらに歩みを進めていった。さらにしばらく進んでいくと、先のほうからまぶしい光が見えた。俺達はあまりのまぶしさから額に手を当てて光が目になるべく差し込まないようにしながら前方を見た。
そのまぶしい光の正体が判明した。その光は、太陽からあふれ出る日差しであった。それを確認したホーラルさんはこう告げてきた。
「皆、まぶしい光の正体は太陽だぞ。太陽が姿を現したということは、毒ガスのエリアからもう少しで抜け出せるということだ。皆、もう少しだ。頑張るぞ!!」
ホーラルさんの発言を聞いた俺達は「おー!!」という歓声を上げ活気を取り戻したのである。
俺達は、太陽の光が差し込む前よりも明らかに進む速度が上がっていた。やはりみんなは早くこのエリアを抜け出したくてしょうがないようだ。そういう自分もこのエリアを抜け出したくて仕方なかった。
そう思いながら進んでいくと、太陽の差し込む光の量が増えてきた。やがて、辺り一帯が光に包み込まれた。
俺達は辺りを見渡した。毒ガスが噴き出しておらず、どくどくしいガスも見えない。間違いない俺達は毒ガスのエリアを抜け出したのだ。
それは他の騎士の方々も思ったのか歓声と同時にはしゃぐものもいた。しかし、ホーラルさんがはしゃぐ騎士の方々を制止させた。どうやら、まだ抜け出したのか確証も持てないのに油断は禁物だとはしゃいでいた騎士の方々を制止させていたようだ。そのことについて自分も同じような思いを持っていた。
その後、ホーラルさんは完全に毒ガスが出ていないところまで俺達を率いていった。そして、だいぶ進んだ場所に到達すると、ホーラルさんは無事抜け出したのか確認するため、細長い紙を取り出した。
その紙は毒ガスに反応すると、紙の色が変化するようである。ホーラルさんが取り出した紙に変化はなかった。ということは、毒ガスのエリアから完全に抜け出したということになる。
ホーラルさんは紙で確認した後、本当に安全なのかガスマスクを取り出すことにしたのである。ホーラルさんは、リーダーとして真っ先に安全を確認しなくてはいけなしからだ。
ホーラルさんは、ガスマスクをとったが何も体に異変は生じていなかった。これで、この場所は毒ガスのエリアから完全に抜け出したということを証明できた。
すると、ホーラルさんは、皆に「ガスマスクをとっても大丈夫だ!!」と発言した。俺達はすぐさまガスマスクをとった。
俺はすぐに深呼吸した。吸った空気はとてもおいしかった。
こうして、俺達は毒ガスのエリアを脱したのである。