172話 毒ガスが影響した地形
毒ガスが蔓延してできた毒々しい色の濃い霧があたりを包み込んでいたため、目の前が非常に見えにくくなっていたのである。
さらにあたりには一面枯れた草木が多く、目印となるものが少ないため、前を進んでいくのが非常に危険であった。
しかし、俺たちは危険を承知で前に進んでいく。進まなければガリエント王国に着かないからである。
俺達は慎重に進んでいたが、一番先頭で歩いていたホーラルさんが警告のために大声を上げた。
「この先に大きな水たまりがある。本来であれば進んでも平気だが、毒ガスの影響で水たまりに毒が沈殿しているかもしれん。そのため、水たまりがあれば迂回して進む。 いいな!!」
「「はっ!!」」
水だまりは毒ガスの影響で非常に危険なため、迂回して進むようだ。ホーラルさんの発言を聞いた直後、俺達は水たまりを迂回して進んでいく。
水たまりはそこそこあったため、幾度も迂回しながら進んでいった。そのため、進む時間が遅くなってしまう。
毒による影響を避けながら進んでいくと、大きなきのこが見えた。俺達はきのこを発見すると、警戒感を高めたのである。
普通の山であればきのこがあるのはおかしなことではないが、ここは毒ガスが蔓延したエリアである。草木などは毒ガスで枯れてしまっているというのに、普通に生えている大きなきのこに異様さを感じていた。
なぜ…こんな場所に…平然と生息しているんだ…このきのこは!?
俺や騎士の方々が平然と生えているきのこを怪しんで凝視していた。少し凝視をし続けていると、きのこが何やら少し動いた感じがしたのである。
やはりこのきのこは怪しい。そう怪しんでみていた時、突然きのこからピンク色の怪しげな粉末を放出したのである。
あたりがピンク色の粉末で包まれ前がより見えにくくなった時である。うっすら見えていた大きなきのこがはい出てきたのである。
きのこには足が生えていたのである。その姿には見覚えがある。あれは化けきのこである。
先頭にいたホーラルさんや周りにいた騎士の方々は、化けきのこであるとすぐに気づき、すぐさま腰に掛けていた剣を鞘から取り出し構えたのである。
化けきのこは胞子を大量に放出していたがガスマスクにより影響を受けない俺達を見て、作戦を変えてきて、ガスマスクを取り外そうとホーラルさんの顔面に向かって襲ってきた。
しかし相手が悪かった。ホーラルさんは襲ってくるばけきのこの狙いが自分のガスマスクだとすぐに気づくと、襲われる直前で急に真横によけた。
ホーラルさんが真横によけたことにより、化けきのこは後ろで構えていた騎士の剣に突き刺さったのである。
これで化けきのこは絶命したと考えたが、念のためホーラルさんは真横から化けきのこを切ったのであった。
とどめをさされた化けきのこは真っ二つにされて絶命していた。
俺はホーラルさんが無事化けきのこを退治したことに喜ぶよりも、このエリアで生息できる魔物がいるということに驚きとより一層の警戒を行ったのである。