17話 ショウカの家
俺は早速、荷車を引いてショウカさんからもらった地図を見ながら、家に向かった。
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ショウカさんの家は街の南側にあった。街の南側は、家や商店が立ち並び、通りは石畳で敷き詰められていた。
その多くの家の一角にショウカさんの家があった。
地図に書いてあった印がついていた場所にたどり着いた。
家は、2階建てのレンガ造りの建物であった。
その家の玄関には、鉄製のわっかがあった。俺は、そのわっかを玄関に何度もたたきつけて鳴らした。
「はい、どちら様でしょうか?」
「イムルさんの豪邸の近くで待っていた者です。渡された地図を見ながらこちらに伺いました。」
すると、玄関が開いた。中からショウカさんが出てきた。
「これは、よくぞお越しいただきました。どうぞ中にお入りください。」
「いや、その前に言っておかなくてはいけないことがあります。」
俺がそのように発言すると、ショウカさんは戸惑った表情をしていた。
俺は、裏路地のことをショウカさんさんにつたえた。
「‥‥‥ということがあったんです。」
「なるほど。で、私の家になぜ、その組織の者達を連れて来たんです?」
「それは、この者達を脅して組織の知っていることを洗いざらい履いてもらうためです。しかし、脅しは宿屋ではできません。そこで、ショウカさんの家を使わせていただけないかと来た次第です。」
「そうですか。」
「はい、もちろんお金は支払わせていただきますので。」
ショウカは最初黙っていたがしばらくして口を開いた。
「しょうがありませんね。私もお金がなく困っていたところです。それに、悪者を退治するためなら悪くない。分かりました。私の家を使ってください。」
「ありがとうございます。」
「ただ、あまり大きな声を出させないようにしてください。あと、お金はいくらほどになりますか?」
「分かっています。お金は、2万ゴールド程でいかがでしょうか?」
「その額なら悪くないですね。あと、確認していなかったのですが、あなたのお名前を確認してもよろしいでしょうか?」
「俺の名前は、カルロス・トーマスです。カルロスと呼んでください。」
「カルロスさんですね。分かりました。では、どうぞ中にお入りください。」
ショウカは家の中に入れてくれた。家の中は、少し薄暗かったが、ほこりがすくなかった。
また、脅すための部屋も案内してくれた。その部屋は、全て木製で、荷物などは一切なかった。
「確かにこの部屋はよさそうですね。では、外にいるあの連中を運びますね。」
こうして、組織の連中を部屋に一人づつ連れてきた。
さらにロープを使い、柱の四方に倒した連中をくくりつけた。
その後、家の水を使い、連中の顔にかけた。連中は起きた。
「「なっ‥‥‥なんだ‥‥‥ここは」」
「お前たちが知っていること洗いざらい白状してもらうぞ!」
俺は、倒した連中に刀を見せて脅した。
連中は、最初見た時は吐かなかったが、ずっと首の近くで刀をちらつかせていたので耐えかねて、正直にしゃべってくれたのである。
まず組織の名称は、スイダークというらしい。
比較的最近にできたのではなく、少なくとも30年近くある組織のようだ。
また、組織の行っている所業の数々も知れた。誘拐・強盗・奴隷売買・暗殺‥‥‥様々な悪事を働く組織のようだ。あと、合言葉も教えてくれた。
合言葉は”東のはずれで栄光の光をともせ”。
俺は何度も拷問をかけながら聞いたので、間違いない。
さらに、組織の服装は、倒した連中が来ている服で統一しているようだ。
男達の服装は、上はフードがついている長袖の服で真っ黒だった。下は緑色のズボンだ。
俺は男達の一人から、服をいただいた。代わりの服は近くの服屋で購入した。服装一式で100ゴールドほどであった。
あと、組織の幹部やボスについて聞いたが知らないようだった。まあ、普通下っ端には正体は明かさないかと納得した。
あらかた、男達から組織の情報を聞いた俺は男達のことをどうするべきか考えた。
「あの‥‥‥この連中は少なくとも、ボスが捕まるまでは隠し続けたほうがいいのでは‥‥‥」
「確かにそうですね。しかし、ずっとここに置くわけには‥‥‥」
「そのことなら、安心してください。私の友人に王国の警護の者がいますのでその人に明け渡します。」
(王国の警護の者。もしその人が俺の正体を知っていたなら、めんどくさいことになるな‥‥‥‥‥‥)
「その友人は、組織の者と関わりあいがあるということは?」
「ありえません。王国の警護を務める者です。王宮ならいざ知らず、東の辺境の街の組織とかかわりがあるとは思えません。また、彼はそのような人物ではありません。」
ショウカさんは、その友人をえらく信頼しているようだった。他に方法はないし、ここはショウカさんのいう通りに進めるか‥‥‥
「なるほど。分かりました。ではショウカさんのいう通りに進めましょう。」
「では、すぐに友人に連絡しますね。」
「ええ、お願いします。」
俺は、組織の情報が手に入ったことと、この連中をどう扱うべきか決まって、ひとまずほっとしていた。
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