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105話 ヨルドとハンガ

 俺達がジーメン村に向けて出立したころ、ジーメン村の領主であるヨルドは領主の屋敷の一室で、経営のきりもみをしていた。


 「うむ。今のところは、収益のほうが多いようだ。さらに奴隷商人に女性たちを売りつけるのが成功すれば、さらなる収益が見込めよう。フフフフフ」


 ヨルドは収入と費用を計算して損益が出ていると判断した。さらに、女性たちを売りつければさらなり収入が入ると思い、笑みを浮かべていたのである。


 「しかし、女性を性奴隷として売りつければ、村人の数が減ってしまう恐れがある。そのため、手下どもにはこの村の女性たちとの種付けをより活発に進める必要があるな」


 ヨルドは真剣な表情で考え込んでいた。


 「まあ、そこから生まれた子の中から何人かは奴隷として過ごすことになるんだがな」


 ヨルドは恐ろしいことを考えていた。村に残った女性たちに種付けして、その生まれた子たちの中から何人かは奴隷にする。


 奴隷にならなかったものとは協力して、このシステムを未来永劫行うようにしていたのである。


 「このシステムがうまくいけば俺や俺の子孫はず―――と安泰だ!! フハハハハハハハ!!」


 ヨルドは嬉しくて仕方なくなりずっと笑っていたのである。その姿は他から見たら不気味に思うほどであろう。


 すると、ヨルドがいる部屋のドアをノックする音がしたのである。


 ヨルドは笑みを浮かべるのをやめ、誰なのか尋ねた。




 「誰だ!!」


 「私です。ハンガです。急用があり伺った次第です」


 「急用‥‥‥!? どういった要件なのか部屋に入り教えろ!!」


 どういった要件で来たのか気になったヨルドは部屋の中に入るように促したのである。


 「では入らせていただきます!!」


 ハンガは部屋の中に入ってきた。ハンガはスキンヘッドで体格が非常によい。


 「それで要件は一体なんだ!?」


  ヨルドは気になって仕方なくなり有無をいわさずハンガに質問してきたのだ。


 「はっ。実は、護衛の団体に潜り込ませたものから報せがきたのです。どうやらその団体の一部の者が、この村のうわさを聞きつけ、調査あるいは私どもを捕らえに来たようです」


 ハンガはいたって普通の表情でスパイからの報せを報告した。


 「なに‥‥‥!! それは本当か!?」


 ヨルドは驚愕した表情をしながら座っていた高級なイスから立ち上がった。


 「はい。本当です。しかもどうやらその団体は、我らのアジトに入り、奴隷商人と私どもの手下を壊滅させて捕らえたようです」


 「何ということだ‥‥‥それが本当なら、奴隷商人との交渉は失敗に終わったということになる。そればかりか捕らえられた手下どもが我らの情報を話すかもしれん」


 ヨルドは落ち込んだような表情をしながら、高級なイスに座り込んだ。


 「はいその可能性は大いにあります。しかし、この状況を打破する方法が一つあります!!」


 「それはどんな方法だ。いいから話してみろ!!」


 ヨルドは解決策があると知り、表情が明るくなったのである。


 「その方法とは、潜り込ませているスパイによって、ジーメン村に訪れようとしている護衛の者達をある家の一室に閉じ込め、天井裏に隠してある多くの岩の下敷きになってもらう。これが私のs買うです」


 「し‥‥‥しかし、そんな簡単に上手くいくものか!?」


 ヨルドはその策を聞いて本当に上手くいくのか疑問に思っていた。


 「ご安心ください。もうそのスパイは、活躍しているため、疑われることなくその者の案を受け入れることでしょう。しかも、その者は我らがいるジーメン村に向かっているようです。きっとうまくいくと思います」


 「な‥‥‥なるほど、策を提供してもおかしくないほど信頼されているのか。であるならば、その策を信用しよう!! それで、その策の準備の方は完了しているのか」


 ヨルドはスパイが信頼されているなら策を護衛の団体が信じるだろうと判断したのである。


 「それも抜かりはありません。すでに準備を整えてあります。あとは村人に協力させて、その者らを家に泊めるようにし、あとはスパイが促すだけです」


 「なるほど。そこまでの準備をしていたのか。ならば、安心だな!!」


 ヨルドはその策を聞き、安心したのかホット一息ついたのである。


 「そういってくださると嬉しいです」


  ハンガは笑みをこぼした。


  ヨルドもジーメン村に来るものを一網打尽にできると思い、少しホッとしたのか口元が緩んでいた。


 「ところで、村人の男達はしっかり働いているんだろうな!!」

 

 「ご安心ください。休ませることなく日々働かせており、そのおかげもあってか、もう少しで洞窟内の奥底まで探索や発掘作業が完了する見込みです」


 「そうか、もう少しか、もう少しで多くの財宝を手に入れることができるのか!! さすれば俺はクリエント街で一番の大金持ちになれるぞ。フハハハハハハハ」


 「喜ばしいかぎりですね」


 「うむ。だが待ちきれん。もっと男達を死ぬ寸前まで働かせろ。そして早く洞窟の奥底まで探索を完了するのだ。そうダンジョンの奥底までな!!」


 ヨルドはダンジョンを攻略して、さらに大金持ちになろうとしていたのである。


 二つのたくらみを完了できるかもしれないと思い、ヨルドは笑みをこぼしまくっていた。それにつられハンガも笑っていた。


 はたしてカルロスはヨルド達の仕組んだ策を乗り越えることができるのだろうか!?

 

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