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103話 生々しい証言

 奴隷商人がヨルドのことについて話を終えた。俺とセリエルはその非道の数々に唖然としていた。


 その時だった。近くにいた女性たちが、「そんなものじゃないわ」と言い始めたのである。


 ボーランは貴重な証言を聞けると思い、女性たちに話をするよう促した。


 「皆さんつらい目にあってきたと思います。どうか経験してきたことや見てきたことなどを私たちに話してはくれませんか!?」


 すると、一人の女性が前に出てきて、「私が話します」と言ってきた。


 その女性は、おしとやかそうな顔をしており、スレンダーな髪型をしていた。また、身長は他の女性たちもそうだが低かった。


 「ありがとうございます。話してもらいたいと思いますが、その前に、自己紹介をお願いできますか」


 「はい、構いません。私の名前はジェリエルです。あなたたちが今から向かう、ジーメン村で生まれた時から暮らしていました」


 「では、どのようなことがあったのか話してくれるかな」


 ボーランさんは穏やかな口調で話を伺った。


 「はい。私たちはヨルドによって、性奴隷として、ヨルドの部下たちのお世話をさせられておりました。何度断ろうと、殴ったり蹴られたりなど暴力されて歯向かうことができず毎回毎回痛い目にあわされ私たちは泣かされておりました」


 話していたジェリエルは恐ろしそうな顔つきで話していた。


 その話を聞いていた他の女性の中には耐えられず泣いたり吐いたりするものがいた。


「逃げ出すものもいたようですが、その者は警備活動していた者に捕まり殺されてしまったようです。なんせ領主はヨルドですから、その配下たちが警備活動というなの監視を行ったり殺したりなどを行っても誰にも咎められないんです」


 ジェリエルさんの話を聞いて俺達は悲痛な思いをしていた。


「また、逃げ出した娘の親も罰を受けることになり、磔の刑に処される方もおりました。このような光景を見ているため、逃げ出すものは少なかったのです」


 両親をたてに性奴隷にさせるなんて、何てひどい奴らなんだ。そう自分は憤慨していた。


「でも、私が小さいときはこんな村ではなかったんです。他の村同様、皆で協力しながら和気あいあいとする村でした。でも、そんな村を破壊したものがおります。それがヨルドとその執事のハンガです」


 ハンガという人物のことについては知らなかったので俺は女性の話をさらによく聞くようにした。


「そのヨルドとハンガは最初の時は、村人たちに優しく接しておりました。ある者には無償でお金や食料をはぐくんだりもしました。しかし、彼らは村人から領主に推薦されると、人が変わりました。女性たちを無理やり犯したり、男達に巨額の税金をつけたりしたのです」


「さらに他の村や街に知らせに行こうとした人を串刺しにしたりしたのです。私たちは推薦した後に気づきました。このヨルドという男がとてつもなくヤバい奴であることを‥‥‥ですが、その圧政を許せなかった者が現れ腕っぷしに自信のある人たちが果敢に反撃したのです」


「ところが奴らはとてつもなく強く、ヨルド・ハンガに至っては背後霊を操れるため、腕っぷしのある男達は瞬く間にやられてしまったのです。そして私たちはその強さに恐怖して最終的には従うしかなくなったのです。そのため、男は肉体労働をし、女は性奴隷として売られたりもしました。もう私たちは限界なんです。どうかあのけだものを倒してください」


 ジェリエルは今まで村人たちが味わってきたつらい出来事をこれでもかというくらい暴露した。


 俺達はそのあまりにもむごたらしい話の数々に絶句しながら怒りをこみ上げていたのである。


「ボーランさん。ヨルドとハンガたちはとんでもない奴らです。今からでも村に行って奴らを倒しましょう!!」


「気持ちはわかる。でも、まだ準備ができていない。ひとまずホーラルが合流してから、これからどうするべきか判断しよう」


 ボーランさんは至極まっとうな意見を言った。俺達はその意見を聞いて我に返り冷静になった。


 その後、俺達はホーラルさんが来るまでは何もしないということにした。


 ただ、倒した奴隷商人と組織の者は縄で縛って置き、保護した女性たちには服や食料品を用意した。


 そうしながら、ホーラルさんが来るのを待っていたのである。

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