アメリスアード世界編シーン65
クロノ達の前に現れたヤシュア。
果たして。
ヤシュアは俺達の元へやってきたんだ。
そして…何かを感じ無言になる俺達。
「はぁ~~うるさいのぉ…クロノ。」
「え?あ!うるさいって俺なの?」
ヤシュアは酒臭い息を吐きながら答える。
「おうおう!そうじゃ…もう少ししずかにはしてられないのかね?ほら!シェリルなんか大人しいじゃろ?」
そうヤシュアの視線の先には、いつもと様子が違うシェリルの姿があった。
いつもは、せかせかと仕事、デスクワークもこなしているのだが。
ふと俺と視線があったシェリルは、顔を赤らめまた下を向き書類を書き出す。
なんだか確かにその様子がおかしい。
そんな中…ヤシュアは口を開く。
「クロノ…ちょっと話があるのじゃが……よいか??」
「ん?あ…ああ。」
俺はそのまま一人ヤシュアの後を追いかける。
そして来たのはここマジェスト、アメリスアード本部の地下室の連なる回廊だったんた。
「ここにこんな地下室が広がってたなんて思わなかったぜ??」
「まあそうじゃろうな…表向きにはしてないがここには実は魔神犯罪などを起こした者をとらえている牢がならんでいる。」
コツコツと俺たちはその牢前を進んでいく。
ほとんどが空のこの牢空間。
すると見えてきたのは。
「!!???あれは!!??」
「思い出したか?あやつはサキノが倒してくれた魔神薬を食らったモンスター。」
次に進んだ先にいたのはカルマとフェリスに倒されたモンスター。
「おお!コイツらもいるのか。」
そして立ち止まるヤシュアは指をさす。
「お主…こいつを覚えとるか??」
「こいつは!!??」
俺が男の足元まで目を向けて行った先には。
「これは!!??」
「見覚えもあるじゃろうて??」
「ああ…こいつはブルーノ…そしてこの魔神具は『キラーステルス』結構強い敵だったんだ。」
「そうじゃの?じゃが…コイツらも一度マジェストになってしまったら。な。」
ヤシュアはそこまでで口を止めると。
俺にブルーノを見ろと言わんばかりに顎で指示を出す。
そして俺の目に映ったのは。
突然呻き声を上げるブルーノの姿。
「う………うぅぅぅっ。」
これは以前のヤツとは明らかに違う雰囲気。
見ているだけで以前のやつを知ってる俺からは想像しえない光景。
そう奴は部屋の隅で震え怯えているのだ。
するとヤシュアは口を開く。
「我々マジェストにとっては魔神の存在があってこそ、その力を有効に使えるようになるのだ。だが…一度その魔神との契約をどういった訳かは分からないが無くなってしまうと。」
ブルーノは恐ろしさにガタガタ震えている。
「は…はわわわわっ!。!」
「ヤシュア…でも、あいつはあそこまで自分の魔神に怯えるやつでもなかったと思うけどな。」
「そうじゃな…じゃが…ここからがワシらの役目といえる事を行うのじゃ。見ておれ。」
ヤシュアは胸元から何かを取り出すとブルーノの前にポンっと投げる。
ブルーノの前にカランカランっと音を立て転がったものは。
「あれは??」
俺が目にした物は。
そう。
俺が勇者ラブラの力によりこないだ見たもの。
それと同等の何かだったのだ。
その物はブルーノの前に転がると彼は震え上がる。
鎖で繋がれたブルーノの脇の台座に置かれたキラリと光る何か。
それこそが。
「殺戮のナイフ」
そして魔神の名は『キラーステルス』
投げつけられた何かから酷いほどの煙幕が立ち込めてくる。
もくもくとブルーノ達は燻されてしまう。
「ごふっ!!はぁっ!!がはっ!!!」
ブルーノは身を潜めその煙を避けようとしている。
するとブルーノの身体の上にバチバチと電磁波が立ち煙の中にエネルギーを感じる。
すると中から声が聞こえてくる。
『ぐぉぉぉぉ!!!っ!!!我が力を封じようとは!!貴様!!一体!!!??』
「これは!?キラーステルスの声か!?」
「そうじゃ…奴もまた魔神の一人じゃ声を上げる事くらいはできる。」
するとヤシュアは手をキラーステルスに向かい構える。
「ヤシュア!?なにを!!??」
「魔神は宿るアイテム…そして扱う者の力を源にその力を振るえるのだ!!本体となっていたはずのブルーノはこの状態じゃ。そしてキラーステルスはこれ以上生かしても殺人鬼を増やすだけじゃ…。よって。」
「世界に眠る覇邪の封印よ…今こそ我の声に応えよ…『封!!!』」
ヤシュアから発した力はキラーステルスを包み込みそして。
先程の小瓶に吸われ吸収されていくキラーステルス。
そして、たちまちのうちにその姿はきえさり。
この後、ブルーノはただの人間へと変わってしまったのだ。
そして主な機関に彼を引渡し。
世界から一人の魔神は封じられたのだ。
「クロノよ…これからお前を主としてこの世界に蔓延るであろう魔神の討伐を命ずる。」
するといつの間にか俺達の周りには。
皆がいた。
◇
◇
◇
魔神名『キラーステルス』
魔神具『殺戮のナイフ』
封印済。