アメリスアード世界編シーン63
レイラ、そしてアルミナの野望を阻止したクロノ達。
その後。
世界レベルの犯罪者として、この世界の警察機関である国家魔導軍に拘束されるレイラ。
そして自分の欲望の為に犯罪を続けてきた依頼者アルミナ。長年バレず罪に問われることも無かった重要参考人としてようやく逮捕されたアルミナ。
こうして、二人はこれまでの罪を問われこれから償っていかなければならないのだ。
ただ……無理やり魔神の力を得ようとしたアルミナは…今や力をなくし自我をも失ってしまった。行き過ぎた自分の欲望野望にようやく諦めを感じたのかもしれないが…。
魔神を生身の人間が扱おうとするリスクはまだそこまで世間には知られてはいなかった…。
一つここで確実に言えるとするならば…アルミナには魔神を扱う事は無理だった…という現実。
生命の力を奪い取られたアルミナは、今は見るも無惨な姿で憔悴しきり…これからは大人しくなると思われる。
◇
そんなアルミナとレイラは連行されていく。
するとレイラは俺達の前で立ち止まる。
そして俺たちの元へと近づいてくる。
「私は…偶然にもバットスパイダーと適合率が良かっただけなのかもしれない…でも…あのままなら…」
「ええ…あのままならばいつかレイラさんもアルミナと同じ様な道を辿っていたかも知れませんね…」
そう言ったシェリルは彼女の言葉を待つ。
「そうかもしれないわね。私…今となってから後悔しても、もう遅いのだけれど…でも…バットスパイダーは私の娘『レナ』を媒体としていたの。魔神具『鋼糸』。そう…でもね…私の娘の身体は弱すぎたの…だから。」
そこまで話したレイラは続ける。
「私は魔神具の恐怖…そして私が消えたら娘は生きてはいけなくなる…そんな時、私は魔導協会を頼りそしてアルミナと出会ったの。そしてアルミナは私の身体で試してみる事にしたの。そして……魔神具…鋼糸を手にして祈ってみたわ。」
「さぁ!レイラ…覚悟を決めて!レナを救いたいんでしょ??」
私の中に恐ろしい程の力が入ってきて私自身が食べられそうな感覚!!!
そして。
必死に…必死に…。
何度も…何度も…祈り。
そして。
バットスパイダーは私を受け入れてくれた。
◇
◇
◇
それから私はバットスパイダーの心であろう…獲物を捉える為に興奮する心と。
その狩猟本能。
怪物が怪物であるが為の心はきっちり心の中にありそして身体も破壊衝動に駆られそして私はいつしかこの国でも有名な犯罪者となっていた。
私との約束は果たされてはいた。
娘はしっかり守られそして私は徐々に怪物へと変わっていく。
そして気がつくと。
今に至っていたの。
涙を流すレイラ。
「本当に…本当にごめんなさい……私は。」
きっとこれはレイドに向けられた言葉だったのだろう。
「聞いたよレイラさん!テイルスのメンバーにも、エレナにも謝罪してくれて。すっかり自分を取り戻したのでしょ??」
そうニッコリ笑ってレイラさんに笑顔を向ける。
「えっ!?」
目からは涙を溢れさせるレイラさん。
「やっぱり女性には笑顔が似合いますよ!」
ハンカチをレイラさんに渡したレイドはニコリと微笑む。
◇
そして彼女達二人を国家魔道軍に引き渡す俺達。
◇
◇
◇
そして俺達の元へやってくるエレナ達。
レイドへの依頼できたエレナ。
エレナの元事務所では新たにマイケルを社長、エレナを副社長とした新体制で改めて世界にアイドルグループを発信していくそうだ。
◇
「エレナ?マイケルと二人でやってくってのは凄いね!これからはメンバーとしてじゃなくてファンの一人って事で応援していくよ!?」
「ええ!レイド!貴方も……もし良かったら。」
「そうだぜレイド!?僕はリーダーとしてではなくこれからは社長としてやっていくんだ!レイドがこれからのアイドル達を育成してくれたら本当にありがたいんだけどな?」
エレナとマイケルのこの言葉はきっと本心からの言葉なのだろう。
「えっとね……」
僕がヘッドホンを指を指す。
「それは…音楽を鳴らすヘッドホンでしょ??」
すると。
『こんばんわ!あ!こんにちは!か!?』
『ん?あ!レイドさまぁ!!??』
『レイド様!お怪我はありませんか!?』
「おおっ!!みんなお待たせ!ようやく仕事はひと段落したからね!!」
「きゃーーーっ!!??嬉しいですわー!」
その光景をぽかんと口を開けたまま見ているエレナとマイケル。
「これはね?ライブ配信ってやつでさ!!今僕がこうして話しているのも別世界に配信!つまり放送されてるんだぜ??これは凄いだろ??」
ニコニコと配信を回しながらエレナ達に説明をしているレイド。
◇
◇
◇
「もしかしたらレイドは根っからのアイドルなのかもね?」
「ああ!でも俺たちのように決まった何かではなくソロでアイドル活動を配信していく新しいスタイルかもな?」
その後…この世界のアイドルも徐々に色んな世界でもライブ配信されるようになっていったとか行かないとか。
◇
◇
◇
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