アメリスアード世界編シーン62
魔神相手に勇者ラブラとクロノの技が発現
!!
どうなる!?
「勇者の血よ。私の力となり敵を鎮めよ。はぁぁぁーーーーっ!」
◇
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勇者ラブラと同化した俺の身体が、光り輝きだし、その光は形を変えながらバットスパイダーを包み込んでいく。
その姿は黒い液状のドラゴンの形状の何か。
それはまるでバットスパイダーを包み込み食すかのように…中で不思議な動きをし。
そして…ラブラの用意していた小瓶の中に吸い込まれて行ったのだ。
「これは!!??」
「フフン!!今アンタが目にした力…これで私は沢山の魔神達を封じてきたの…そして本来これを移すのは武器やアイテムなのだけれど。」
ラブラは小瓶を拾い上げると手のひらの上でみせてくれる。
俺の目に映ったのは小瓶の中で丸くなる小さいバットスパイダーの姿。
「私の力で魔神は力を失ったの…まあどんな敵でもとまでいくかは分からないけどあの雷武ちゃんもこれで私は封じたってことよ?」
「そうなのか…でも確かにこれは凄いぜ…ラブラ…お前が勇者だって事…改めて実感できたぜ?」
ラブラはニヤリと微笑むと、バットスパイダーと同化をしていた力を欲した欲の女アルミナとして倒れていたのだ。
「この女は大丈夫なのか?」
「ええ…バットスパイダーに取り込まれたとはいえやはり元から魔神との相性ってのもあるからね!この強欲おばさんには魔神は使いこなせなかったって事よ?」
「なるほどな…あ!でもバットスパイダーはどうなるんだ??俺が倒したボムズラッドは消滅したけどな?」
俺が小瓶の中を覗くと中でカサカサとミニのバットスパイダーは動いている。
「ははっ!こいつはどっかの誰かさん見てぇだな?」
「はぁ??そいつぁ誰のことだよ??」
不思議と聞こえてきた雷武の声。
「なんだ…いたのかよ。」
「うるせぇ!」
俺達が、そんな会話をしているとフラフラのレイラを支えるシェリル。
そして、ジェイクは正気を取り戻した青年たちを助けきっていた。
ジェイクは最奥へと足を踏み入れていくと…あのエルザックの魔神バラコンダを捉えていた鋼糸をアースドラゴンは噛みちぎる。
ズババババッ!!!
「よし!エルの元へ戻れよ。」
するとジェイクの周りを一周するバラコンダ。
そしてフッと消えたのだった。
「ふぅ…これでまずは…大丈夫ですか??」
レイラに声をかけるシェリル。
「ごめん…なさい………本当に…ごめんなさい…。」
レイラはその身体を震わせ声にする。
「レイラさん…これからは…娘さんをうちでお預かりし医療と魔法両方の観点から復活へ僅かの可能性があるのならば…そうしていきましょう!!」
レイラの目からは涙が流れる。
声にならない声を上げ彼女は泣いた。
◇
◇
◇
レイラはこの世界でもかなりのレベルの犯罪者として名前は通っていた。
レイドの家族はもちろんの事。
エレナの事務所もその通りだ。
理由はどうあれ…簡単に許されるものではないのだ。
そして、その事は…レイラが一番分かっている。
「では…皆さん…本当に今回は迷惑をかけすぎてしまったわ…罪をきちんと償い出てきたら…娘を迎えに行きます。そうだアルミナ様は。」
レイラが見たアルミナ。
初めは興味から魔神具に惹かれた彼女は、これまでの全てのレイラに関する事件は彼女と彼女に関わる者からの指示で犯罪に手を染めてきたのだ。
だが…魔神から離れたレイラもアルミナもこれからはそんな力を持つことは無く。
だけど彼女らのしてきた行為は犯罪であって罪はとても重い。故に。
自分達の罪を償ってもらうのだ。
そんなレイラを何も言えず無言で送り出していたのはレイド達元アイドルグループ『テイルズ』のメンバー達だ。
するとレイド…そしてボロボロにまでなって耐えていたマイケルは口を開く。
「マイケル…大丈夫か??君達も??」
「レイド…なんて顔してるんだ??僕達は皆…今エレナとレイド…そしてレイドの頼もしい仲間たちのおかげでこうして生き残れたんだぜ??本当にありかとう!!!」
「えっ!?そんな、僕はいや。」
「一先ず!レイド?ジェイク!いい?エレナさん、マイケル君及び他のメンバーも、うちのマジェスト協会に運ぶのよ!?」
すると、嫌そうな顔でジェイクが叫ぶ。
「マジかよ!?本当にずっと働きすぎじゃねぇかよ??」
「あはは…僕も一緒だからさ!ジェイク!」
レイドはジェイクを見ながら愛想笑いを浮かべる。
「はは…レイド…お前変わったな!」
そう声をかけてきたのはマイケルだ。
「確かに!すごく変わってカッコよくなった。」
エレナもそう笑顔で応える。
「レイド…マイケルとはこうなる前に話してはいたんだけどね?私達はこれから身体を治したらまたアイドルグループをやっていこうと思ってるの。」
「エレナ??」
「僕もさ、他の皆とも話して四人でやっていこうと思ってる!」
「四人…か………。」
レイドの脳裏に浮かんだのはステージ上で輝く。皆の姿。
「いてっ!??」
突然…肩を叩き、レイドの頭を撫る…その
男は。
「ジェイク!?」
「なんだ??戻りてぇなら今だぞ??」
ジェイクはレイドにニヤニヤしながら揶揄う。
「ぼ!僕は!!………。」
「レイド!!貴方もさっさと事務所戻って次の仕事の準備よ??もぉ…忙しいんだから!」
「うわっ!!いっつも手厳しいね!シェリル?」
「うるさいわ!ジェイク!帰ったら覚えてなさい!!」
◇
◇
◇
俺が耳にした…このやり取りが聞いてて心地いい。
三人は本当に仲の良い仲間なんだと改めて思ったんだ。
そして俺達は帰路についたのだった。
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