アメリスアード世界編シーン58
クロノVSレイラ。
二人の戦いがはじまる。
俺達の前で負傷し…傷だらけで立つのはレイラ。
「はぁっ…はぁっ…」
しかも彼女は、何かに怯えているのだ。
「くっ!?」
するとレイラは、その場に両手を着きそして。
そこへ入ってきたのは。
「アルミナ…様??」
そう…彼女の雇い主である資産家『アルミナ』だったんだ。
アルミナは部屋に入るなり、大声を上げる。
「なによ!!??これは!!??どういう事なのレイラ!?」
すると、ふらふらのレイラはバットスパイダーに腰をかける。
「ふぅ…今すぐ片付けますので…お待ちください!」
すると、アルミナは冷めた目で彼女を見る。
「さっさと片付けなさい!!さっきからずっとうるさくて仕方ないわ。」
「ええ…今すぐに。」
ゴゴゴ…という音は、この屋敷の底から何かが来そうな…そんな違和感を感じる。
俺達の足元から何かが迫る様な音が足元から聞こえ…大地を揺るがす。
「これは一体。」
「ええ…私達の誰でもないこの音といったら。」
「レイラか!!??」
全員がレイラの恐るべき魔神に思わず目を向ける!!!
「やばい!!??」
「さっきまでとは違う異質な力!!??」
「クロノ様!?大丈夫ですか??そこには何か危ない力を感じます!!」
リオの冷静な分析した声に、俺の身も引き締まる。
ドクンッ!!!
すると…そこへ俺の身体が反応を始める。
そして雷武が話しかけてくる。
「くくっ!中々面白い敵と遭遇したじゃねぇかよ?クロノ??」
「はぁ??お前さ?んな事言ってる場合じゃねぇんだぜ??」
「なぜだ??あんな凶悪な力と中々遭遇なんて出来ねぇんだ!これは楽しそうだろ??」
「いや!俺にも感じるけどいかにもヤバいだろ??」
「そうか??」
俺と雷武の会話はリオ達にも届いているようで。
リオは会話に入ってくる。
「あの…あなたは……過去の歴史にも、あの恐ろしい凶悪な魔神は聞いた事が無かったと言われる魔神…雷武様……。」
「んあ??おお!いいぞ!?娘…お前はこの馬鹿な小僧とは違ってこの我に対する口がなっておる!」
「はぁ??その小僧ってもしかして俺の事かよ??」
「は?はぁ?ぁぁん??他に誰がいたっけ?そんなどんくさいガキなんてよ?」
「くっそー〜!まじ頭くんぜコイツ!!」
「ほれほれ!お前はすぐこの俺様のことをもコイツとか呼びやがる!そこのリオとかいう者の爪の垢でも煎じて飲むんだな!?」
「かっちーーーん!!うるせぇ!!今はてめぇもチビじゃねぇか!?それで何ができるっつーんだ??」
二人が激しい口喧嘩をしてる最中。
レイラは考える。
(この小さい魔神があの恐ろしい魔神『雷武』だっていうの?だけど先程感じた私の悪寒の正体はやはりこれだった。)
レイラは雷武をじっと見ながら考える。
(確かに以前一度だけお見かけした事はあった…あれは魔王に招集された魔神達…私は魔族として…そこに立っていた。)
◇
◇
◇
その時、レイラが見た……魔神雷武。
希少種でもある竜種の魔神。話には聞いてはいたが確かに変わっていたのだ。
ドラゴンがこんな魔族だらけの場所でしかも魔王様の話に何の興味を持ったのかこんな所まできたのだ。
もちろん…そんな竜族がどんな気まぐれでここへきたのか?
それは…あの魔王様ですら、その真意は分からず…ただ一つわかった事はこの魔神の機嫌を損ねた者は全てこの時…消え去ったという事実のみだった。
その後は、まあ…勇者によって全員が魔神具とかってアイテムに封印されたのだけれど。
(しかし…これはここでこの魔神雷武を味方につけるべきか…それとも…この力なき今…始末しておくか…。)
そんな考えが浮かんだレイラは微笑み口を開く。
「コホン…貴方が魔神雷武様ね。」
そう雷武に声をかけ始めるレイラ。
「なんだ?お前は?俺様は人間に知り合いなどほとんどいないはずだがな。」
そう言うとレイラは雷武に向かい…深々と頭を下げる。
「遅ればせながら…私レイラ…デモルラ。魔神として貴方様の武勲をこれまで沢山お聞きし一度はその尊敬する心からお話をお聞きしたいとずっと思っていたのです!!」
「なにっ!?急にどうしたんだ?レイラは?」
すると…やはりかと言わんばかりに雷武はニヤニヤと上機嫌でレイラの話を聞き始めたのだ。
「ほぉ?お前は中々見所がある女と見える。」
「はぁ?何いってんだ??皆をあんなに傷つけた女だぞ!!??」
「それは…我が主『アルミナ』様のご意向ですわ!そうですわ!なんなら雷武様も私と共に。」
レイラのその声にニヤリと笑う雷武。
「ほぉ??いいかもなぁ??暴れ放題出来そうだしお前の主は金持ちだしなぁ!!まったくこんな小僧といるよりよほど。」
「な?てめぇ……雷武。」
(ここへ来て魔神雷武との仲間割れ??ならば…今がチャンスね!!)
「このままコイツを始末してこれは金持ちにうつるかーーー!面白そうだ!!」
「ふざけんな!!雷武!!!!!」
その時。
俺の中の何かは、また吠えたんだ。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました!