アメリスアード世界編シーン57
レイド達の前でさらなる力をみせるレイラ。
果たして。
僕達の目の前に、新たに発生したバットスパイダー。
そして、一人笑うレイラ。
「ふふ…そうね…私のバットスパイダーが、さっき捕まってたはずなのに居なくなったのが不思議に感じてるってことね?」
レイラは勿体ぶるようにそう話す。
「くっ!?貴女はさっきあのペリオットをまだ、ひよっこのような言い方をしていた。それがどういうことか。」
「そう…そこまでは分かるってことは…これから貴方たちに何か起こる事はわかるって事よね。」
「バット…スパイダー。」
レイラがそう言った瞬間。
ここにいる全ての生物は死を直感した。
俺の身も心も…不思議な感覚に襲われる。
言うならば…死神にでも睨まれてしまったかのような…まさに蛇に睨まれた蛙のような。
俺は嫌な予感が心の奥から湧き上がってくる。
すると男達は更なるレイラの力に、様子がおかしくなってくる。
「う………ぅぅぅぅ。」
「うわぁぁぁ!!!」
レイド達の元仲間たち。
そして。彼『マイケル』も頭を抱え悶え苦しむ。
「うぁぁあああっ!!??」
「マイケル!?」
見ていたエレナもマイケルにしがみつく。
「さぁ!ここからが地獄の始まりよ。」
そのレイラの言葉に呼応するかのように、マイケルの狂気も増していく。
「うう………うぉぉぉっ!!」
「マイケル!?いや!リーダー!!??しっかりしてくれよ!!」
その、レイドの声に驚きの表情へと変わるマイケル。
「なぁに??私のバットスパイダーからマイケルに投与した魔神薬はこれでもう80パーセント…普通なら他の子の様にゾンビ化して私の奴隷になるのよ…だけどこの子は…これまで耐えてきたけど…これ以上になったらどうなっちゃうのかしら……ね?」
「やめろ!!もうやめてくれ!!??」
レイドのその声にマイケルへの毒針を指すのを止めるレイラ。
するとあやしい笑みを浮かべ口を開く。
「ねぇ…レイド?じゃあマイケルを解放する代わりに貴方が私のペットになるっていうのはどうかしら?」
「レ…レイド…僕なら絶対負けないから!そんなのは絶対ダメだぞ!?」
そう言い放つマイケル。
そんな彼にずぷりと右腕に刺さろうかと迫るバットスパイダーの毒針。
「だ、ダメよ!レイド…そんなの絶対ワナに決まってるわ…。」
そう叫んだのはエレナだった。
マイケルの身体を支えていたエレナは僕の方を見てそう言い放つ。
「へぇ…そう言えば私はずっと貴女には興味なかったから何もしなかったけど…そうそう…この彼女に何かをしたら…この二人が素直になるのかしら??」
レイラはエレナに近づいていく。
「やめろーーーーーっ!!!!……」
レイドはエレナを守るかのようにフラフラと歩き彼女の前で座り込む。
「レイド??」
「ははっ!そんな心配そうな顔するなよエレナ?」
「えっ!?」
「あの時もそうだった…わざと僕達に嫌われようと本当の事を話さず自分の罪として君はずっと苦しんできたハズだ…エレナ…今はあの時とは違う…僕は敵と戦う力を手にしたんだ…だから……」
エレナの目からは涙がつつ……っと零れ落ちる。
「ここからは僕が君を守るから!!!」
「レイド………。」
エレナは口を押さえ涙を流す。
レイドの声を聞きギロリと睨むレイラ。
「ふん!やれるものならやってみなさい…レイド君…貴方に力の差という絶望を教えてあげるわ。」
「メガロ…ゼロ……ミクロ。」
シューッと槍から発生した水蒸気。
それは辺り一面を水蒸気化し霧状化し皆の視界をも奪う。
「なぁに??これは??こんな攻撃が効くとでも思ってるのかしら??」
そう言い放つレイラは鋼糸を構える。
「バットスパイダー!!!」
レイラはじっとメガロを見つめる。
メガロを糸で絡みつかせ捕え締め上げるバットスパイダー。
「ふふ…どうかしら??今度はその進化したって姿をも捕らえたわ…これならもう。」
レイラは余裕の笑みを浮かべる。
するとレイラのバットスパイダーはその鋼糸を拡げ伸ばしていく。
シュルシュルと鋼糸は地を這い空進みそして敵とみなすものを捉えていく。
もうここで囚われてしまったらこの状況から挽回のチャンスはもうないと思われる。
「皆!!!なんとか!!!にげ!!!」
そう言ったレイドの身体にも再び鋼糸が忍び寄りそして俺の身体にも!!??
すると。
俺の脳裏に再び声をかけてくる、その声の主は。
「雷武??」
「はぁぁぁ??なんだぁ??お前??」
俺の目の前で偉そうに飛んでいる…このちいせえドラゴンはそう…紛れもない俺の魔神雷武である。
すると…雷武を見て急に取り乱し、レイラは叫ぶ。
「えっ!!??なになに??なんなの貴方は!??」
俺と雷武を見て突然震える…レイラ。
「そ!その魔神は貴方一体何者なの??そしてその魔神様って!!!???えっ?えっ?どういう??」
なぜか雷武を見てからこの女はずっと取り乱しているのだ。
「今だ!!!僕のメガロ。内から破壊だ。」
パーーーーーーンッ!!という何かの破裂音がどこからか聞こえてくる。
と同時にレイラの身体に衝撃が走るのが目に見えた。
「ううっ!!うぐぅぅぅーーーーっ!!??」
唇の隙間から血を流し…はぁはぁと肩で息をし、フラフラと立ち尽くすレイラ。
すると!
そこに何者かが入ってきたのだ。
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