アメリスアード世界編シーン54
レイドの前には強敵レイラが立ち塞がる。
はたして。
空中に、レイドのウォーターメガロは、飛び出し跳ね上がる。
その巨大な鮫はまさに怪物。
「はぁぁぁーーーーーーっ!!??」
レイドは槍を構え振るう。
するとメガロはレイラに向かい飛びかかっていく。
「!!???レイド??」
レイラは、まさかの攻撃に身構えると…鋼糸を手繰る。
「バットスパイダー…戻って!!」
蜘蛛の巣でかかっていた皆を捕らえていた巨大な蜘蛛はレイラの元へ戻っていく。
その時…レイドは叫ぶ。
「今だ!!!動けそうな誰か!!??」
俺の耳にレイドの声が届く。
「レイド??うっ!!??」
「やっとやる気になったか!?くそっ!でもこの糸…結構解くには厄介だ!!」
シェリルもジェイクも…どうやら動けなさそうだ。
「俺がやるしか…おい!雷武!!??雷武!!??」
俺は雷武に話しかける。
が…シンっ…と全く反応を感じられない。
「くそっ!?なら!!ラブラ!!おい!ラブラ!!」
ラブラに声をかけるも…今度はラブラも俺の声に反応しない。
「これは!!??でも!今しか!!今しかチャンスはない!!!」
すると…俺の行動を感知したかのようにレイラは何かをしようと動き出す。
「そんな事は、この私も百も承知よ…レイド君の魔神を止めないといけないし…そっちには。」
「くっ!?気づかれたか!?くそっ!!今がチャンスなんだ!!俺!!俺!!今やらねーと!!皆を…」
「ふふ…そんなんじゃなダメ…私が相手じゃなかったらいけてたかも…だけどね。」
レイラは、そういうと小さな蜘蛛の子は糸にワラワラと集まってくる。
「くそっ!!こんな所で!!」
俺の中に無力感が湧いてくる。
「こんな時に…こんな時に俺は…。」
自然に感情が爆発しそうだ。
悔し涙が頬を伝う。
「くそおぉぉーーーーーーーーーつ!!??」
◇
◇
◇
「なら僕が相手だーーーーーっ!!!」
レイドの声が耳に届く!!!
レイドのメガロはレイラに向かう!!!
ドゴォォォーーーーーーンっという激しい音。
メガロVSバットスパイダー!!!
二人の魔神は激突する。
自分の無力さに脱力してしまう俺。
「そうだよな…異世界からこの世界にきて…運良くなんとかここまで生き残って戦ってこれて…」
俺の涙は止まらない。
「皆をたまたま運良く救ってこれただけで…俺は…無力だ。」
その時。
ガガ…ガガッ…………。
ヘッドホンに通信の音が聞こえてくる。
『……ロノ……クロノお兄ちゃん!!?』
「サキノ??」
『クロノ様っ!!!??』
「あれ?リオ??」
『ちょっと!クロノ!!』
「あ!カルマ??ど…ど、どうした?」
『クロノ…聞いて…実は私達にも貴方達の動きが見れるようになったの…。』
「ん??どういう事だ??」
『クロノのライブ配信を画像化してもらったのよ?』
「お!おお!そういう事だったのか!?って事は今もずっと見てたって事か…。」
「うん!」
「そっか…あはは…なんかかっこ悪いとこ見せてしまってたな…。」
すると俺に聞こえてる声が変わる。
ん?この声は…サキノか。
「お兄ちゃん!?サキノが恥ずかしかったけどお守りほっぺにしたんだからね!だから…気をつけてね!」
「ありがとうサキノ…。」
すると今度はリオの声が聞こえてくる。
「あ!クロノ様??私…応援してます!きゃーーーーーっ!!」
「リオ!ありがとな!」
「あはっ!クロノ様!お帰りをお待ちしております!」
「ああ!」
そして…。
「カルマか?」
「うん!クロノ…今辛いね……。」
「ああ。」
「クロノ……私……信じてるよ。」
「ああ………。」
「クロノ…私ね……いつも何かって時…私を守ってくれる……クロノの事…。」
俺の目からは涙が溢れてくる。
「うん。」
「信じてるから!」
俺の中で何かが弾ける。
◇
◇
◇
「はぁ…はぁ…はぁ……。」
「レイド…貴方のウォーターメガロ…攻撃力はさすがと言うべきものあるわね。でも。」
ウォーターメガロは勢いを増し、レイラに突っ込んでいく!!!
「捉えた!!!たぁぁーーっ!!!」
ウォーターメガロはバットスパイダーに巨大な口を開け突っ込んでいく。
ふわりとレイラは飛び上がる。
「バットスパイダー……ポイズンネット……。」
ババっとバットスパイダーは糸を吐き出す!!
それは瞬く間に広がりウォーターメガロを捉える。
「ぐっ!!??ぐきき!!うあっ!!」
「レイド!!!???」
レイドのウォーターメガロは先ほどとは違う鋼糸のネットに絡めとられてしまう。
そしてレイドの身体も遂には動けなくなってしまう。
「くっ!!この女やはり。」
「強い。」
「それだけじゃないわ。」
レイラがそうつぶやくと
。
「ぐはっ!!!???」
レイドは吐血し。
両膝を地につけてしまう。
「うふふ…あはは…あーーーっはっはっは!!」
◇
◇
◇
レイラの笑い声だけが屋敷中に響きわたったんだ。
◇
レイドのピンチ、そして何も出来ないクロノ。
お読み下さりありがとうございました!