アメリスアード世界編シーン53
レイドの過去そして。
ジェイクは、突然何かを思い出したかのように震え出す。
「あ…ああ…………。」
「レイド…」
「くっ!!もうやめろ!!」
ジェイクのその声に反応するレイラ。
「ふふ…ほぉら…レイド君はね…私には攻撃すら出来ないの…だって私は女性だものね…紳士の貴方には女子を攻撃するなんて…無理よね。」
すると…倒れ気を失っていたはずの旧友であるマイケルが口を開く。
「レ…レイド………お前……ぐっ!!」
「マイケル?」
「はぁ…はぁ…はぁ……。」
マイケルは既にガリガリに痩せこけ…それはかつてのアイドルという存在とは打って変わって全くの別人という見た目だった。
「僕は…あの事件の時…そこの女…レイラ…だっけか…そいつに毒をこの身体に打たれたんだ。」
「えっ!?」
「そう…毒とは名ばかりの…これは、この僕の精神へ訴える媚薬と言ったものだろうな…」
するとレイラはクスリと笑う。
「ふふ…よく分かったわね…さすがと言うべきかしら?だけどもう遅い。」
「ああ…気を抜けばすぐ僕もお前に堕ちてしまうだろう…だけど。」
マイケルは声を振り絞る。
「僕は…力なんかなくても…君なんかに負けない!!!僕はアイドルグループ『テイルズ』のリーダー『マイケル』だぞ!!その誇りだけは誰にも負けないんだ!!!」
「マイケル………そう……だよね?僕………。」
「ふふ…レイド君……どうしたのかしら?でもこの子が、ここまで頑張るなんて…まあ私の魔神の能力にここまで耐えた子は貴方が初めて…かもね。」
バッ!!と手を振りあげたレイラ…すると。
部屋の奥の方に倒れていた男達がゆっくりと起き上がってくる。
「う……うぅぅぅ………。」
「レ……レイラ……………様。」
一人…また一人と起き上がってくる男達。
「これは………。」
「ふふ…私の魔神はこうして私への『愛』を獲物…に注入して意のままに操る事も可能なの…素敵…でしょう??」
「愛…だって……こんなのはまやかしだ!!!無理やり振り向かせる愛なんて…僕達はアイドルだった…でも…人を無理やり振り向かせる事なんかなかった…僕達は自ら努力して切磋琢磨して自分を磨き上げて!それでファンに喜んでもらう!!」
ぷるぷる震えるレイド。
「僕達の…アイドルなんて形は無くなってしまった…だけど…心はずっとファンの為に生きる…『アイドル』なんだ!!!!!」
そう言い放ったレイドはとても熱く輝きを放っていたんだ。
「フフ…本当に嬉しいわ……貴方は本当に心からアイドルで…素敵な男…だわ……さぁ…貴方達…レイドを捕らえなさい!!」
起き上がった男達はまるでゾンビの様に…一斉にレイドに襲いかかる!!!
「レイド!!??」
「レイドーーーーーーーっ!!???」
レイドの手にする槍その名は『ウォータースピア』。
その槍がどこから彼の手に来たのか。
彼の父『ルグド・メリーエル』は古物を集めるのが趣味であった。
その彼の元に…とある古物商が訪ねてくる。
どこから来たのか…その古物商はいくつかの商品を持ちやってくる。
そして商品を並べる。
「さぁ…商品を手に取りご覧いただいても構いませんよ??」
「おお…。」
レイドの父であるルグドは次々と、そしてゆっくりとその品を見ていく。
これはいつもの光景で実は度々…この古物商が訪れていたのだ。
そしてこの日も。
「ほぉ……今日もまた色々な物を持ってきてくれたのだな?」
「はい…それで何か今日はお眼鏡にかなう物はありますでしょうか?」
すると、そこへ入ってきたのは。
「ん?レイド??」
「あ!お父様……。」
その時、何故か分からなかったのだが…レイドはその槍を手にしていたのだ。
「どうした?レイド…そんな槍を持って?」
「僕…何故かこれが欲しい。」
「あっはっはっはっは!そうなのか?なら。」
レイドが触れてる槍を指さすルグド。
「今回はこれを貰おうかな?」
「この槍ですか?」
古物商は問うてくる。
「ああ。」
こうして槍…名は水の槍ウォータースピアがレイドの元へやってきたのだ。
それからウォータースピアはレイドが成人したら渡すという事になりずっと屋敷の保管庫で保管されていたのだ。
そして。
◇
◇
◇
成人したレイドは今では誰も立ち寄る事もなくなったメリーエル家へ導かれる様に立ち寄る。
「ふぅ~あれから随分経つけど…やっぱり埃だらけだね…お?ここに確か。」
レイドは倉庫への入口を発見する。
「ん……うぅぅぅーーーーーっ!!!」
ガタンッ!!!という音と共に扉は開く。
「おおっ!!開いた!?ゴホッゴホッ!!うわぁ…凄い埃だ。」
埃を払い倉庫へと足を踏み入れるレイド。
そして…中で青白く発光する何かを目にする。
「あっ!?君…僕が大人になったこの時までここで待っていてくれたんだね?」
レイドは光り輝く槍を手にする。
槍は不思議と更に光った様に見える。
「父さん…このウォータースピアは僕…大切にするね。」
◇
◇
◇
レイドのウォータースピアは輝く。
ドクンッという音。
そして…ズシャーーーーーーッと槍から巨大なメガロドンが飛び出し跳ね上がる!!!!!
◇
◇
◇
マイケルのアイドルとしての戦い!!
レイドもその声に力が湧き上がってくる。
レイドとウォータースピアの出会い。
そして再会。
レイドは。
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