アメリスアード世界編シーン52
レイラが語るレイドの過去。
レイラは語る。
「それって…僕の昔話じゃないか…どうして貴女がそれを!?」
レイドは、レイラの語った話を聞き鋭い表情と言葉に変わる。
するとレイラは微笑み答えを返す。
「そうね…答えはその少年が貴方で…貴方の屋敷を潰したのが私だったって話で理解してくれるかしら??」
レイラの言葉に顔を強ばらせるレイド。
レイドはその言葉に驚きの表情へと変わる。
「は…はは……はははは……。」
「レイ……ド??」
蜘蛛の糸に絡まり囚われているシェリルは苦しそうな表情を浮かべながら声を振り絞る。
するとジェイクも声を上げる。
「レイド!!テメェ正気になりやがれ!!!そのままではお前のメガロもこいつの手の中に落ちるぞ??」
二人はレイドの昔の苦い経験をこの時…初めて知る。
しかもその宿敵が今目の前に存在し、そしてその牙を今度はレイドにも向けているという事実。
レイドはあまりにも衝撃的すぎて立ち尽くしながら大声を上げ笑っている。
「あはは…あははは………。」
そしてゆっくりと両膝は地につきレイドの目からは涙が流れる。
「いいわね…その絶望の表情は貴方の見せてくれる表情の中で中々稀少価値のある表情だわ……これは本当の絶望を味わったらどんな表情へと変わるのかしら??」
そういうと、レイラは右手を上げていく。
すると大蜘蛛の目はキラリと光り輝く。
「そうね… 私はやはり綺麗なものが好きだしね……」
レイラの視線はシェリルへと向いていく。
「くっ!!??」
するとレイラはシェリルへと。
「魔神具…鋼糸!!!!!」
レイラが片手をシェリルへ向けると、鋼の糸が飛んでいく!!!
そしてスルスルと鋼糸はシェリルの身体を捕らえていく。
「うぐっ!!ああっーーー!?」
シェリルの腕、そして太もも、所々に鋼糸はくい込み…糸に真っ赤な血が伝わりぽたぽたと滴り落ちる。
「シェリル!!!???」
するとレイラはニヤリと微笑む。
「素敵ね…貴女にもやはり真っ赤な色が良く似合うわ。」
「やめろ…シェリルを離せ……。」
レイドは静かに怒りを露わにする。
すると。
「へぇ…まだそんな口が聞けるようね…じゃ。」
レイラはパチンっと指を鳴らす。
シュンッという音を立て高速でレイラの鋼糸はレイドの頬を掠め後方にいたエレナに向かう!!
「エレナ!!???」
レイドが叫び振り向いた時には既に遅く。
俺の身体もエレナを庇おうと飛び出す!!
が、俺の身体にもいつの間にか鋼糸が伸び囚われてしまう。
そして…エレナもレイドの鋼糸に捉えられてしまっていた。
「くっ!!」
「クロノ君!!??」
「ふふ…もうこれで皆私の蜘蛛の巣に捕らわれたようね…さぁどうする?レイド君?こんな所まで貴方達が立ち入ってこなければこんな目に遭わなくて済んだものを。」
「……………………………。」
「レ……レイド……お前が紳士を目指していて女性に手が出せない体質だって聞いたが本当か??」
「!??クロノ君…一体誰にそれを聞いたんだい??」
レイドの驚きの表情へと変わる。
「やっぱり本当の事だったんだな?」
「くっ!!??でもね!僕だってやる時はやるんだ!こんなのは今に克服してやる!!??」
だが…そう言い放ったレイドはその身体を震わせていたんだ。
「レイド……レイド!?」
その時…僕の脳裏に過去の記憶が蘇る。
◇
◇
◇
「レイド…お前は我がメリーエル家の大事な一人息子だ…我が家は昔からの貴族…お前も貴族の一人として生きていかなければならないぞ?」
「はい!分かりました!お父様!」
「そうか…ならば女性には特に優しくするんだぞ??そうすればいつかお前にも母さんの様な素敵な女性が現れるはずだ。」
母さんは父の横で笑顔を見せてくれている。
「真の紳士とは!!女性もそうだが力の無い者を守り…そして紳士的に振る舞う。それが本物の紳士だぞレイド。」
そんなセリフを真剣に言う父が僕にはとても輝いて見えたんだ。
「はい!!!」
僕は、この言葉をことある事に父から聞かされて育った。
それから女性に優しく、そして真の紳士になろうとそうして育ってきた。
女性達も僕に優しくてそして僕も女性に優しくする事が当たり前だと思って生きていた。
そんなある時。
◇
「父さん!!!???」
「母さん!!!???」
一人の真っ赤な血に染まった女性と出会った。
レイラである。
僕は理解が出来なかった。
(えっ!?これってこの女性がやったの??)
「ふふ…貴方がメリーエル家の御子息なのね?」
「えっ!?お姉さん誰??」
「私??私はそう…わるーい」
レイラはレイドの耳元に口を寄せる。
「私はわるーいお姉さんよ。レイド君。」
レイドは震える。
父からの教えは女性には優しくしなけば…でも人生でこんなに恐ろしい何かを感じた女性は初めてだ。
レイドは力無く。
その場にへたりこんだんだ。
◇
◇
◇
レイド絶体絶命のピンチ。
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