アメリスアード世界編シーン49
クロノ達はエルザックの魔神解放と行方不明の人間達を救う為に向かっていた。
サキノ…そして…二人の応援をもらった俺は、シェリル達の後を追う。
そして、俺は、ようやくシェリルに追いつく。
「シェリル!?はぁはぁっ!」
「えっ!クロノ君!?君も残っていれば良かったのに……。」
「はぁぁ??そんな訳いくかよ!?あの『レイラ』とかいう女に何かあるのか!?」
するとシェリルの表情は、いつにもまして暗い影を見せている様な気がしたんだ。
「シェリル!?どうした??」
「あ!ううん!なんでもないわ…。」
明らかに、おかしい雰囲気のシェリル…。
「シェリル…俺達さ。」
「えっ!?」
「アメリスアードに来てお前らに会って仲間が増えてさ…良かったと思ってる!!」
「…………………」
驚きの表情を見せるシェリル。
前を走るジェイクとレイドは何も語らない。
「俺は…俺達はもう……お前らの仲間だ!いつか…シェリルの話も…聞かせてくれる事…待ってるぜ。」
シェリルは目を閉じる。
そして…ふと微笑んだ気がしたんだ。
「ありがとう…。」
俺達は走る。
目的は…そう…救わなきゃならない人達がいるから。
◇
◇
◇
俺達が向かっているのは、隣町のバーヘント。
ここは田舎町でもあり、家はぽつりぽつりとあるが、それでも最近は大都会に近い事から…お金持ちが、こぞってここに家を建てていたりする街でもあるのだ。
「この街がバーヘントの街…さ!この街のどこかの屋敷に彼らは幽閉されているはずよ。」
シェリルがそう言うと、一緒にきたエレナが口を開く。
「ここに…マイケルもいるのね?」
「エレナ…君は僕達の後ろをついてくるんだ!」
レイドのその言葉に驚きの表情へと変わるエレナ。
「レイド…貴方……随分変わったわね?以前はもっとナヨナヨしてたのにね?」
「そうかい??僕はそうだなぁ…確かにあの頃よりは強くなったかもね!」
「そっか…レイド…確かに本当に強くてカッコよくなったね!」
ニコリとレイドに微笑むエレナ。
すると…ヘッドホンからリスナーのコメントが聞こえてくる。
『ちょっと!なによ!あの女!レイド様の事を!!』
「えっ!?なに…それ??」
リスナーの声に驚くエレナ。
『私達はレイド王子様のリスナーでレイド王子様推しなのよ!どお??』
「いやぁ!皆本当にありがと!僕は君達が大好きだよ!」
『キャーーーー!!素敵すぎます!レイド王子!!』
『もうだめ〜〜〜かっこよ〜〜〜♡』
黄色い声援をうけるレイド。
「レイド?これって一体??」
エレナはレイドを見ると。
そこには…デレデレと鼻をのばしながらリスナーと話しているレイドの姿。
「どうだい!?僕は最高だろ??みんなーーー??」
唖然とした表情のエレナに近づいたのはシェリル。
そして…エレナに問いかける。
「あれでも…カッコよくなった??」
「え…あ……いや。」
「まあでも……レイドもやる時はやってくれるから大丈夫よ…さ!いきましょ!?」
そしてシェリルは先を見つめる。
そう…シェリルの視線の先には…例の洋館が立っていたのだった。
◇
◇
◇
俺達は洋館の玄関前に辿り着く。
すると…中から大きな高笑いが聞こえてくる。
「ほぉーっほっほっほーーーー!!!」
この高笑いの主はそう。
あの『アルミナ』の声である。
「いい?レイラ!私は貴女をこれでもか??ってくらいの大金をはたいて買ってるのよ…もちろんそれは貴女の力を買ってるって事よ。」
「それは有り難いお話です!」
「でしょぉ??このアメリスアードでも屈指の財を私は持ってるの…だから貴女…これからも是非!私の護衛…側近として、傍にいてちょうだい!いいわね??」
「ええ…分かりましたわ…アルミナ様。」
「うんうん!聞き分けもいいし腕もたつ…これはもう私の御屋敷の専属の護衛だわ…まあ…まさか世界的犯罪者をこの私が護衛につけてるなどと誰しもが予想もしないでしょうけどね?」
「ええ…それにしても私…先程から何か嫌な予感がさっきからしてるのですけれど……。」
「なによそれ…まあいいわ!それにしても貴女のその大きな蜘蛛の巣に捕らわれてるのは何なのかしらね?不気味ね。」
「ええ…これは私の蜘蛛『バットスパイダー』の能力ですわ。そして捕らわれてるのはここを監視にきた迷い蛇です。まあ…こうして私に捕われたまま…ですけどね?」
レイラの蜘蛛の巣に絡まり囚われているバラコンダ。
もちろん本体のエルザックはバラコンダが捕らわれてる為…動けなくなっているのだ。
この巨大な力を持つ魔神が捕えられるとは…誰しもが予想もしなかっただろう。
実は遠隔になると魔神とマジェストの繋がりは、どうしても薄くなり力も弱まってしまうのだ。
その為…本来は本体の近くでしか行動しないのだ。
だが…このバラコンダとマジェストのエルザックの力は遠距離でも発揮できるというのが強みである。
そのバラコンダを捕らえるのだから、この女レイラの力は相当なものでもあるのだ。
「いい?レイラ!?貴女には高額なお金をつぎ込んでるの…だから失敗は許さないわ。」
そして…アルミナの言葉にニヤリと口元を緩ませるレイラは頷く。
「はい…もちろんです。」
◇
◇
◇
屋敷の前に辿り着く一行。
だが中では。
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