アメリスアード世界編シーン44
レイド達の元へやってきた女性とは!?
レイドの元へ突然現れた女性。
彼女は何者なのか?
◇
「久しぶりね!レイド。」
「ん?エレナ??どうしたんだい??こんな所まで??」
「あのね…レイド……実はお願いがあって貴方を探してここまで来たの。」
「ん??お願い??」
「そう……あのね……また……。」
「また??なんだい??」
「アイドルグループ『テイルズ』に戻って…そして私を助けて!!」
俺たちはその言葉に沈黙してしまう。
そして。
「「ええーーーーーーーーーーっ!!??」」
◇
◇
◇
俺達は彼女を一先ず屋敷の中に連れていくとお茶を出し、話を聞く事にしたんだ。
◇
◇
◇
レイドの話を聞く俺達。
するとレイドが口を開く。
「そうなんだよ…皆には黙っていたけど僕は何を隠そう…あのアイドルグループ『テイルズ』のメンバーの一人だったんだ。」
「レイド…私も初めて知ったわ…そうだったのね?『テイルズ』といえばアメリスアードでは確かに名の通ったアイドルグループね?私はアイドルとかには興味がなかったから気づかなかった。」
レイドはシェリルの問いに頷き応える。
「シェリル…そうなんだよ…あれは僕がシェリルと再会する…半年前の事。」
◇
◇
◇
僕はアメリスアードでは中々メジャーなアイドルグループ『テイルズ』のメンバーの一人だった。
毎日、歌、ダンス、演劇とこれでも多忙な毎日を過ごしていたんだ。
◇
◇
◇
「レイド!今日もダンス決まってるじゃん!」
「ほんとほんと!レイドはメンバー一のダンサーだよね!」
「いやいや!そんな事ないってば!リーダーにはどうやっても勝てないよ!」
僕のその言葉にリーダーの『マイケル』は笑みを浮かべながら答える。
「そう謙遜するなよレイド!本当にダンスにおいては僕達の中でトップ…いや、この芸能の世界でもトップじゃないのか?」
マイケルはそう言うとニコりと笑う。
コンコンッ!
楽屋のドアをノックする音。
そしてガチャリと扉が開く。
そこへ元気よくドアを開けて入ってきた者がいた。
「皆さーん!差し入れ届きましたよ!」
入ってきたのは眼鏡をかけた美しいというより…可愛いらしい女性…それがエレナだった。
エレナは僕達と同じ年齢。
そして僕達のファンでもあり事務所の会長の一人娘。
そんな事もあり僕達のマネージャーをしてくれていたのだ。
エレナは差し入れをテーブルに置くとお茶を入れ始める。
「さ!休憩してください…今お茶を入れますね!?」
そう言って、いそいそとお茶の用意を始めるエレナ。
「うわぁ!エレナさん!ありがとうございます!」
「エレナさんは本当に僕達のマネージャーとして凄い尊敬してます!いつもありがとうございます!」
僕達の中でエレナはいつも優しくて気が利いていて凄く素敵な存在だったんだ。
そんな事から僕達のグループメンバー五人の中でもエレナに気がある者が多かったと思う。
「エレナちゃん〜〜〜!今日もすっごい可愛いね!」
メンバーの一人がそう言うと。
「またまた〜!皆さんの方がいつも輝いていて、すっごい素敵ですよ〜!!」
そんな会話が日常で素敵で充実した日々を僕達は過ごしていた…かにみえたんだ。
そんなある日。
◇
突然報道されたニュースに僕達メンバーに衝撃が走る。
『アイドルグループ『テイルズ』のリーダー『マイケル』とマネージャーが深夜に密会か!?某ホテルから出てきた二人を激写!!』
そう…こんな見出しのニュースが全国に報道されてしまったんだ。
◇
「エレナ!!??これは一体どういう事だ!!??そして…マイケル…。」
その日社長の怒りの声が事務所内に響き渡ったんだ。
僕達五人のメンバーは皆社長の用意してくれている宿舎で寝泊まりして暮らしていた。
宿舎へと怒りの形相で乗り込んだきた社長。
僕達はこの時。
このニュースを知り、そして集まっていた所だったんだ。
「それで!!??これは一体どういう事だ??マイケル!!??」
マイケルは俯きぷるぷると震えていた。
そして更に社長は問いただす。
するとマイケルはやっとゆっくり口を開く。
「こ…これは……」
「ん?なんだマイケル?言いたい事があるなら言ってみろ??この俺の一人娘に手を出しておいて言える言葉があるならな!!」
隣で肩を震わせながら俯いているエレナ。
「エレナ…。」
僕はこの時…彼女の何かに怯えているような…その表情に声をかける事が出来ずにいたんだ。
すると。
「これは…これはエレナさんに誘われて僕は仕方なくホテルに行ったんです!!!!!」
マイケルの衝撃的な言葉は、僕達を唖然とさせるには十分な言葉だった。
「えっ!?」
この時。誰もがエレナに視線をぶつけてしまった。
エレナもその言葉に沈黙してしまう。
でも…その表情は何かを知り…明らかに動揺している顔だったと…今も僕は認識している。
すると。
少しの間を置きエレナが言葉を発する。
「そう…」
「ん?エレナ?それは本当なのか!?」
「はい!お父さん!本当にごめんなさい!!」
エレナの謝罪の声に僕達は驚き…固まってしまう。
その時のエレナの涙の意味は誰もこの時は…誰も分からず…そこには触れなかった。
◇
◇
◇
レイドの過去。
それはなんとアイドルだったという。
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