最終章邪馬国編シーン73
俺は魔王ゼルドリスの前に立っている。
これが本当のラストバトルになると俺は改めて認識する。
すると……ゼルドリスは笑い出す。
『クックック……これで私がお前を殺し…そしてこの世界を終わらせてやる。』
「…………アンタ……カルマとカグヤはどうするんだよ?」
すると不可思議な表情を浮かべる魔王ゼルドリス。
『今更なんの話をしようとしてるのだ?』
「こたえろよ?お前の中にはまだ…カルマ…いやあかりの父親がいるんだろ?」
俺がそう叫ぶ…するとゼルドリスは重々しそうに口を開く。
『クククッ……それはもう叶わぬ夢であろうなあ…この俺様が今は完全にこの身体を支配し、奴は俺に完全に取り込んでやったのだ…そしてここから全ての我が力を解放すれば……もう……奴が出てこれる事は……ない。』
魔王はそう呟くと……この大地が震えだし大気にピリピリという何らかの力が作用し始める。
するとそこへそんなカルマが声を上げる。
「パパ!!私達と一緒に帰ろうよ………」
涙ながらにそう呟く……。
「私…二人をここに迎えに来たんだよ?一人で不安だったけど……パパ達の後を追って…辛くて寂しかったけど…素敵な仲間の皆に出会ってここまで……」
カルマの目から再び涙が零れる。
「帰ろうよーーーーーーーーっ!!パパーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
心からのカルマの涙ながらの叫びが響き渡る。
その時。
ドクンッと周囲に聞こえる何かの心音。
そして何と空には巨大なオーロラが発生する。
すると聞こえてくる声。
『あなた……あかりの声が聞こえますか?』
その声はあのかぐやさん…そうカルマの母親の声だった。
『私はこの時を待っていました…魔王と言えど、あなたに働きかけるのは、やはり大切な娘…あかりの声だと……そう今この時を……最初で最後の私の魔神の技を…………』
輝き出すカグヤ………それは月からの光だった。
『魔神『月姫』……魔王ゼルドリスの身から我が夫を……解き放ち給え………『月詠』……。』
すると……月から舞い降りてきた美しい天女が魔王ゼルドリスの背後からその身体を抱きしめていく。
魔王は慌てふためくもその魔神は自身の身体に重なり消えていく。
『うがあーーっ!?なんだこれは!?』
叫ぶ魔王……そして…次の瞬間。
ドオオオオーーーーーーーーーーーーンッと魔王ゼルドリスの身体から光が飛び去っていく。
立ちすくむ魔王ゼルドリス。
「おお……魔王ゼルドリスの身体から何かが魔神により連れ去られたようだ……あれは…もしかして……。」
「そうみたい…あれはきっとカルマお姉ちゃんのお父さんかも知れない。」
すると……皆がその場で身震いする……それに伴い ……禍々しい黒き巨大な姿がその姿を現す。
「もうよい……あの忌々しい勇者の力……魔神具等はもういらん……私は私の全魔力をこの地に解き放つ。」
ドウっと力を解放させる魔王。
魔王の力は自身が言うように恐ろしい程の力だった。
大地が震え海面は激しく波打ちそして火山にはまるで火が灯ったかのように天変地異を引き起こす。
「魔王ゼルドリス………皆さん……魔王の力は本物です……これではこの地上事消し飛んでしまいかねません!…僅かですが私の残った力を今解放し魔王に打ちます…ですがその力のぶつかり合いは……地上、そして皆さんにも多大な影響を及ぼすかも知れません……私…」
『クククッ…では私は遠慮なくいかせてもらう事にしようではないか……貴様はただ何もできず全てを失うがいい…唸れ……『魔王世界』』
どーーーーーーーーーーーーっとエネルギーをためていく魔王ゼルドリス。
「仕方ありません……」
カグヤもまたその力をさらけ出していく。
二人の力は周囲を震えさせ…恐ろしい状況へと変わっていく。
「ママっ!?パパも!?」
「これは……!?皆………全防御に……くそっ!?」
「皆を救うには間に合わないか!?」
「クロノ!?」
ここにいたのはカルマ一人。
俺は涙で目を潤ませる彼女を抱きしめる。
「クロノ…………」
彼女は俺にしがみつく。
この子は……カルマだけは。
せめて俺は彼女だけは!!???
俺は魔神具を構える。
『カルマ……絶対お前だけは守ってやる……。』
『クロノ…………うん………』
『魔神雷武………武神流『最終奥義……』…………』
俺は………その時………何かを感じる……………。
◇
すると…その時…非情にも聞こえる魔王ゼルドリスの声……それに返すカグヤの全てをかけた一撃。
『終わりだ…………………………』
『させないわ!!??』
ドオオオオーーーーーーーーーーーーンッと放たれる二人の魔力。
それは周囲、いやこの地上全てに影響を与える程の威力。
これは。
次の瞬間。
◇
◇
◇
シンッと…………何も無くなったような感覚。
世界は全てが無と化したような状況。
だがそこには……一人の男が立ち尽くしていた。
禍々しい力を纏い存在していた男。
『クククッ……さあ……何も無くなったぞ…我が力は……やはり最強だ……さあ……我が冥界の鎌。』
ガチャりとその手には彼の魔神具が現れる。
すると彼は叫ぶ。
『これで邪魔者は消し飛んだ……全ては無に返りそしてこの地は我らが魔族だけのもの……これでいい……』
『これでいいんだあああーーーーーーーーっ!?』
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。




