最終章邪馬国編シーン72
「サキノちゃん!?」
私の名を叫ぶリオちゃん、そしてエンポリオさん、イシメールさんもまた…魔王ゼルドリスの力に翻弄されていた。
魔王から産み出された魔物達…そしてここには魔王本人までもがその莫大な力を放ってきてるの。
『はあああーーーーーーーーーーっ!!??』
魔王が放った掌底は兵士たちをも吹き飛ばし背後の山々をも吹き飛ばしていく。
その力はさすが魔王。
『もういい…もういい!!……もういいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
激しい怒りを周囲にぶつけはじめる魔王。
怒りの先にあるのはひたすら破壊行為だったの。
その力に誰も止める事が出来ず巻き込まれ傷を負ってしまう仲間達。
「くっ!?サキノちゃんの覚醒で怒りに暴走はじめたね……でも止めようが……。」
リオちゃんのその言葉に亀山さんが口を開く。
「それは違うよ…サキノちゃんの問題じゃないんだ…ここからは皆がアイツ……魔王ゼルドリスを倒す為に戦わなければならないんだ。」
私を庇い語る亀山さん。
私はそれが凄く嬉しい。
「ごめんね…そうじゃないの…言い方が悪かったわ…ごめんねサキノちゃん?」
「ううん…大丈夫だよリオちゃん。」
私の声に笑みを浮かべるリオちゃん…でもここでの戦いでリオちゃん…そして他の仲間達も限界に近かったんだ。
すると私の耳が反応する。
そして亀山さんもあの気配を感じたみたい。
私達は目を合わせ頷く。
「あのね……リオちゃんもエンポリオさんもイシメールさんも…そして皆聞いて!?」
私の言葉に耳を傾ける皆…。
「あのね……もうすぐ……カルマお姉ちゃん…そしてクロノもここにくる!!だからもう大丈夫!!」
私の大声に皆が唖然としている。
すると肩に手を添えてきたのは亀山さん。
「僕達には感じているこの力……ここへもうすぐクロノちゃんがくる……それまでもう少し…踏ん張ろう。」
すると傷ついた兵士たちから声が上がる。
「そんな勇者がここに来たって……相手はあんな最悪な化け物……魔王なんだぞ!?」
「そうだそうだ…勇者が来た所で魔王に勝てるわけねえだろ!?こっちは生身の人間なんだ!!いくら命があっても足りねえぜ!!」
傷つきボロボロの兵士たちは口々にそう語る。
私、余計な事言っちゃったかな。
そう肩を落とした私をそっと抱きしめてくれる亀山さん。
すると魔王が口を開く。
『クックック……何を言うかと思えば……そんなデタラメを言いおって……勇者達はこの私が自ら葬り去ったのだ……今更ここになど………ん?』
仲間達は愕然と肩を落とし私達その言葉に悔しい気持ちでいっぱいだった。
「魔王………………」
「ゼルドリス……お姉ちゃんとクロノを………」
震える私に魔力が宿る。
その時私にカルマお姉ちゃんの声が聞こえてきたの。
『サキノちゃん……私がそこの空間に歪みをつくるわ…そしたらそこ目掛けて魔法をうってほしいの……その魔法は……………………』
私は目を見開き構える…そして。
「皆さん……力を私に貸してください!!勇者をここに降臨させるには……魔力が必要です。」
一同に皆が私に魔力を送ってくれる………ここにいる皆が…さっき私に言ってきた人達も……。
そして亀山さんが手を握ってくれる。
きっとこれなら。
「「ゲーーーート。」」
向こうからはカルマお姉ちゃんが歪みをつくってくれる…そしてこっちからは……私達が。
次の瞬間、グオーーーンっと空中の空間が歪みはじめる。
「くっ!!もう少し……もう少し………」
「サキノちゃん………頑張ろう。」
私と亀山さんの心は一つとなる。
『『ラバーズクイーン』』
そして…私達の魔神は重なり一つになる。
『私達の相性はきっと100%を超えてるはず………『聖獣玄咲』』
その時…私達の魔神が重なり…一つになる。
一つになった魔神は力を放つ。
そして……パーーーーーーーーーーーーっと光り輝き空間に光の花が咲き乱れ……亀裂がうまれる。
そして。
パリパリパリーーーーーーーーーーーんっと音をたて空間に穴が空いていく。
『くそっ!?本当にくるのか!?ヤツめ……こうなったら!!?』
魔王ゼルドリスは渾身の力を放つその時……なにか違和感を感じる。
『なんだ……?これは一体。』
次の瞬間……空中に神々しく舞い降りてきたのはカグヤ様…いや……羽衣を纏い降りてきたのはなんとカルマお姉ちゃんだったの。
カルマお姉ちゃんは口を開く。
『魔王ゼルドリス……勇者は復活しました……あなたにここからの未来はありません……皆さん……今こそ立ち上がる時です……そして……最後の戦いです………勇者クロノ。』
『なっ!?くそっ!?』
魔王ゼルドリスはたじろぐ。
すると……天高く上空がキラリと光る。
そう……それは皆が期待してやまない彼の姿だった。
『『勇者クロノ!!!???』』
ザンッと着地するクロノ。
舞い降りたクロノ……それはドラゴンを感じさせるその姿だった。
『ふぅ……待たせたな……皆。』
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