最終章邪馬国編シーン70
『死……あるのみだ……………。』
ゼルドリスは魔王として本能のまま行動してるようだ。
そして奴は魔神具である大鎌を振り回す。
『さあ…我が解き放ち魔物共よ……世界を破壊し尽くすのだ。』
するとカルマの母であるカグヤは天に祈り始める。
『天の精霊よ……世界に蔓延る魔の獣共の……邪気を納め払いたまへ……『月癒光』』
パアアアーーーーーーーーーーーッと放たれたカグヤの力は俺とカルマを癒していく……。
「おお………傷が癒えていくみたいだ……この力は…………」
『ええ……私は世界の精霊から力を借り自分の力とできるとある魔神を使役しています……魔王を倒せるようなものではありませんが…少なからずお役に立てるかと。』
そう語るカグヤ。
「ママ……本当に凄い…………………」
カルマは母親の力に驚きの表情だったんだ。
すると…ゼルドリスが口を開く。
「ほお?カグヤ……お前は俺の妻でありながら…私に対してそんな反抗的な態度をとってくるとはな……今までのように従順に私に従うのではなかったのか?」
そう問いかける魔王ゼルドリス。
するとカグヤは口を開く。
『私は貴方を取り戻す為……そう……この時の為にずっと力をため続けてきました…本来ならこの授かりし力を使い……貴方を封じたかった…でも復活した魔王の力は巨大過ぎました……前回勇者ラブラ様に封じられた怨み……そして魔王にとって魔族以外は認めないという狂気の思い、そして更に勇者を復活させようとしていた勇者計画への怒り……そしてそんな新たにこの地に召喚され部下達をどんどん倒し成長し自らの地上支配の為の願望をことごとく邪魔をしてきたその勇者の行動……そしてそんな勇者が遂に目の前に……そんな出来事ひとつひとつが貴方にとって最大の屈辱だったのでしょう?』
その時……魔王ゼルドリスの表情から笑みが消えていたんだ。
すると…その瞬間……先程までとは違う気配を強烈に感じとる。
俺の身体に身震いを感じる。
『クククッ…さすが我が妻とでも言うべきか……しかしながら……我が力をお前はまだ知れてない…』
そういうと魔神具を振り上げていくゼルドリス。
その凶悪な力は黒い闇を巨大な鎌の刃先に集まっていく………。
そして。
『冥界の鎌…………『冥界烈断』…』
スパンっと空間を斬るゼルドリス。
すると。
パリんっ!!という音と共に俺たちのいる空間は切り裂かれ空間内に落ちていく。
それと同時に魔王の大鎌により俺は斬られたんだ。
『がはっ!?』
「どうしよう!?クロノが!!??それに…私達も…落ちてる!!」
『いけない!?……貴方………そこまでして…。』
カルマとカグヤの声が聞こえる。
その時…宙に浮いた感覚の俺。
同時に全身に激痛が走る。
『身体が動かない…俺は魔王ゼルドリスに斬られたんだ…血が溢れ流れていくのが見え……そして……力を失っていく感覚……俺は殺られたのか!?』
すると聞こえてきたのはカグヤさんの声。
『クロノさん…貴方は夫の力で斬られてしまったようです。』
『なに………?』
『ですが…幸いクロノさんの身体はやはり竜人のもの……あの魔王の攻撃に……運良く致命的には至らなかったようです……ですが…亀山さんの力が切り離されてしまったみたいです…』
その時……聞こえてきたのは亀山の声。
俺はずっと気がかりだった事、それは地上の仲間達の事。
俺は察したのんだと思う…そして亀山の話が気になったんだ。
『クロノちゃん…』
『亀山か!?』
『うん…魔王ゼルドリスはきっとそこから離れて地上に向かうはずだ…そして…地上の事も気になってるはずの君に言わないといけない事があるんだ……聞いてくれるかい?』
『ああ……なんだ?』
すると亀山は語ったんだ。
『あれはね……ここに来る時の事なんだけど…』
◇
◇
◇
僕はサキノちゃんに呼ばれたんだ。
◇
◇
◇
「亀山………さん……………。」
「サキノちゃん?どうしたの?」
サキノちゃんは、はにかんだ笑顔で話し始める。
「私ね…カルマお姉ちゃんとそしてクロノと……ここまで一緒にきたの……色々な事あったんだよ?……だからずっと一緒に最後まで一緒にいたかったんだあ。」
「サキノちゃん……………」
「でも……私が一緒に行ったら……きっとまた足をひっぱっちゃう気がするの。」
悲しげな表情で語るサキノちゃん。
「サキノちゃん……そんな事ないと思うよ?クロノちゃんはきっとサキノちゃんといたいんじゃないかな?」
首を横に振るサキノちゃん。
その目には涙が溢れていた。
僕は何とも言えない感情に襲われていた。
「私…本当は感じてたの…クロノが魔王を倒したら…元の世界に帰っちゃうんじゃないかって……」
「サキノちゃん…」
「えへへ…でも…わがままは言わないよ……私はクロノが大好きだもん……。」
震えながらそう言ったサキノちゃんは何かを見せてくれる。
「これ……」
そういい見せてくれたのはどこかで撮ったクロノちゃんとサキノちゃんの写真だった。
「これは?」
「出会った時泣いてる私を励まそうと変顔してくれたクロノと私だよ…リスナーさんが撮ってくれてそれをエンポリオさんがシャシンってのにしてくれた私の宝物……あれからずっと。」
そう言ったサキノちゃんは写真をしまう。
「サキノちゃん。」
「これから世界に何が起きても…クロノには前を向いていって伝えてほしいの。」
「大丈夫……クロノちゃんはきっと僕がサキノちゃんの分も守ってみせるからさ……それにサキノちゃんだって他の仲間達だって…僕が守って見せるさ……。」
僕はそう告げたんだ。
「亀山さん………………」
「サキノちゃん……」
「うっうっ………うあああーーーーーーんっ。」
泣き出したサキノちゃん。
感情が昂り……溢れ出したんだと思う。
震えるサキノちゃんはフラフラに。
僕はそんな彼女を放ってはおけなかったんだ。
そっと僕は彼女を抱きしめる。
するとサキノちゃんは僕にしがみついて泣きかれるまで……泣いたんだ。
◇
「クロノちゃん……彼女は君を信じて待ってる……」
「ああ……亀山……さんきゅ…だけどお前俺と力を切り離されたんだろ!?」
『確かにそうみたいだ…その代わり今の僕はきっとゼルドリスに追いつける…クロノちゃんの思い……先に…地上…………。』
その瞬間…プツリと聞こえなくなった亀山の声。
『亀山!?おいどうした!?』
すると……ゼルドリスが大声を上げる!!
「クククッ…さあ…お前達はどこまでも落ちていくがいい……妻であるかぐや…そして娘…あかり……お前達の望む男は私に支配され…もう…存在などない……絶望し我がホールに勇者と共に消えるが良い……ククッ………クククッ………。」
そして笑い声と共に消えていくゼルドリス。
そこへかぐやさんの声が聞こえてくる。
『クロノさん……ゼルドリスは私達を消した……そう考えています……』
「かぐやさん………俺…………………。」
「先程……貴方は潜在的に亀山さんと切り離す事で自分が斬られる事を避けたようですね…その為に力を半分は失いましたがきっと……それに貴方にはまだあの魔神がいます……さあ信じて……最終決戦に向かうのです……勇者クロノ!!」
俺は……………………………………………………。
俺はかぐやさん……そしてカルマを魔法で取り囲む。
『魔神雷武……力を貸してくれ……そして……勇者力………『転地。』』
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◇
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お読みくださりありがとうございました。




