最終章邪馬国編シーン68
俺達の目に映る仲間達の絶望の姿。
「くそっ………………………………」
「みんな……………………。」
先程まで優勢だった仲間達の戦いが劣勢化していたんだ。
魔王との戦いを繰り広げている今の俺にとって…この状況が一番辛い状況だった。
するとゼルドリスは醜い笑みを浮かべる。
『んん!?先程までの様子と大分違うようだが……なぜそんな焦っているのだ?いいか?私は魔族の頂点である魔王なのだ…圧倒的な力の差があると初めから分かりきっている事ではないのか?』
「卑怯よ!!!???」
魔王に対しそう叫び震えるカルマ。
すると…ゆっくりと答えるゼルドリス。
『何が………卑怯……なのだ?どこの魔族にそんな騎士道精神などを求めるのだ?私は魔王であり…この世界を支配する存在……私の言葉に従えず反抗的な行動をとるお前達の方が私からすれば邪魔な存在なのだぞ?それをこの神に等しい存在のこの私に語るなど言語道断………手始めにお前らの身体を切り裂き……世界への見せしめにでもしようか?』
ゼルドリスの言葉に震えるカルマ。
俺は魔神具である刀を握り構える。
「ま……魔王……ゼルドリス……お前の相手は……この……俺だ……カルマは何も関係ない…やるならこの俺を……。」
『ほう…面白い……そうだ動くなよ…お前が動いた時……映像に映し出された場所に魔物を追加させてやる………。』
「なっ!?」
「卑怯よ!!???」
『黙れ…………では……遠慮なく……………。』
そう言ったゼルドリスの背後に見えたのは巨大な右腕。
そう……それは俺が斬り落とした腕の逆の残った腕だ。
その時。
ドガンっと俺の身体に激しい痛みと衝撃を覚える。
「がはっ!!???」
そのまま俺の身体は激しく吹き飛ばされる。
シューーーーーーーーッと吹き飛ぶ俺の身体は魔王の居城内の壁に向かう。
『あがあああっ!?うああああーーーーーっ』
次に俺の耳に聞こえた叫び声!!
それは亀山の声だった。
盾である亀山と俺を吹き飛ばしていた魔王の激しい攻撃は俺たちをとらえていたんだ。
ドガーーーーーーーーーーーーーーーーンっと激しく衝突し壁をも貫き壁という壁を粉々に破壊してしまう。
その激しい衝突は俺達に激しいダメージを与えていた。
そして聞こえるゼルドリスの声。
『クククッ……まずは挨拶程度に殴ってやったのだ……まだまだこれからだぞ……勇者よ。』
「う…………うううぅぅ…………………………。」
俺は全身に激痛を感じる…数ヶ所の骨が軋む状態……骨までいったのだろう……声も出せなくなってしまっている。
「いや……いや………もう……やめて……」
カルマの声が聞こえる。
だが魔王は俺に近づいてくる。
そして……魔王は俺の身体を巨大な腕で掴んでくる。
「うううぅぅっ……あああっ………」
「クククッ…貴様……俺様が殺した竜人……そして……元勇者……からの転生者らしいな……私にも興味深い存在だったのだがな……だから生かしておいて私の力として使ってやろうと考えていたのだがな……そんな時に私に抵抗し腕を斬り落とし我が娘を引き離した行為……これは私への侮辱と反抗の意思と私は捉えたのだ……決して許される事ではないのだ……よって世界への見せしめに……貴様を血祭りに上げ……私の存在を知らしめようと考えたのだ……世界を滅ぼす事など私にとっては容易い事……これはその為の良き宣伝となる………お前を殺し…そして世界に絶望を植え付けようではないか?」
そう言い放った魔王は魔神具である大鎌をその手に構える。
「くっ……そう…………それなら………」
俺は激痛に耐え…なんとか立ち上がると魔神具である刀を握り構える。
俺の構えに対し、口を開くゼルドリス。
『ほお?それはお前の得意とする…これまで我が部下達をも葬ってきた『武神流』という技よなあ……だが貴様はこれまで武神流という技を無意識に使ってきたようだが…それを使っていたのはな……貴様の前身である竜人『竜天』だ……。』
俺はその言葉に驚きを隠せなかったんだ。
これまで無意識に必殺技の際に体現してきたのがこの武神流だった。
「それがどうした……俺のこの技は究極まで完結したんだ…これで決めてやる。」
俺は構える。
そう……究極にまで上り詰め到達し完成した技……『武神流…………奥義…竜刃』
俺はこの技に自信を持っていたんだ。
するとゼルドリスはニヤつき口を開く。
『クククッ……ならばこの私にその技を放つがいい…私は一度その技を破り…お前の前身『竜天』を殺したのだ………そして…今一度……お前のそれを打ち砕いた時……お前の死が決まる……』
「いい加減な事を言うんじゃない!?俺は究極にまで上り詰めこの技を得たんだ……これで魔王……お前を倒すんだ!!」
俺はあの技を放つ為に構える。
そして奴もまた俺に対しニヤつきながら構えをとる。
『いくぞ………武神流…奥義……『竜刃』』
俺の背後に姿を現し俺の身体を解し具現化していく黒き竜。
そして俺は竜人と化す。
俺は刀を握り技を放つ。
『はあああああーーーーーーーーーーっ!?』
超高速でズザザザーーーーーーーーーーーーっと魔王の身体を斬り裂いていく斬撃。
そして………俺は刀をガチャリと納める。
「クロノ!?やった…………わね」
「ああ……なんとか……これで………………どうだ!?」
すると……俺たちの前に立ち尽くし、動きを止め大鎌を地に下ろす魔王ゼルドリス。
だが……………………………………………………。
ニヤリと微笑む魔王ゼルドリス。
『何を……したんだ?』
「えっ………………?」
静かにそう呟くゼルドリス。
俺の背中に冷や汗を感じる………。
俺の最大の技が………防がれた?…………きかなかった……のか……。
俺は絶望に震えたんだ。
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